無線LANのラッカス、コントローラーが実質無償の新AP製品発表中小規模拠点への浸透狙う

ラッカスワイヤレスジャパンは2015年10月20日、コントローラー機能をソフトウエアとして内蔵した無線LANアクセスポイント製品シリーズ、「Ruckus Unleashed」を発表した。既存製品と同一価格で、コントローラーは実質的に無償提供ということになる。

» 2015年10月21日 07時26分 公開
[三木 泉@IT]

 米Ruckus Wirelessの日本法人であるラッカスワイヤレスジャパンは2015年10月20日、コントローラー機能を内蔵した無線LANアクセスポイント製品シリーズ、「Ruckus Unleashed」の国内出荷を、同日に開始したと発表した。

 Ruckus Wirelessは、独自のアンテナ技術を持ち、電波の到達距離が長いことなどから、特にアウトドアWi-Fiに強い無線LANアクセスポイントベンダー。国内ではKDDIが、データ通信のオフロードのためにラッカスの製品を採用して屋外無線LANアクセスポイントを展開していることが知られている。また、ホテルなどのホスピタリティ業界にも強い。

 米Ruckusは企業向け製品においても主要ベンダーの一社として知られている。一方、日本市場では、一般企業の攻略が課題となっている。Ruckus Unleashedでは、通常別のハードウエアとして調達するか、サービスとして利用する必要のある無線LANコントローラーの機能を、無線LANアクセスポイント製品に無償搭載して提供、また、技術に詳しくない人でも運用できるようにする容易な管理インターフェースを提供することで、中小規模拠点の無線LANニーズに応えることを狙っている。

 具体的には、ラッカスジャパンが提供する企業向け無線LAN製品シリーズの最下位機種である「Ruckus ZoneFlex R500」「Ruckus ZoneFlex R600」に、無線LANコントローラー機能をソフトウエアとして搭載したものを、「Unleashed」という別製品として販売する。Unleashed製品の価格は、既存のR500、R600と同一。従って、実質的にコントローラーは無償で提供されることになる。

Unleashedシリーズの特徴

 Unleashedが搭載するコントローラーの機能は、基本的には既存の同社コントローラー製品と同等。ただし、利用できる規模は、無線LANアクセスポイント最大25台、接続端末最大512台に限定されている。複数の無線LANポイントを利用する場合、最初に立ち上がったアクセスポイントが、自動的にマスターコントローラーの役割を担い、このマスターコントローラーが、スタンバイコントローラーを指定することで、HA構成が実現する仕組みになっている。従って、無償とはいえ、高い可用性を維持できるという。

 Unleashedは数台の無線LANアクセスポイントしか運用しないが、企業で使うため、コンシューマー向け製品にはないセキュリティ対策などを必要とするユーザー組織を主なターゲットとしている。導入や運用は、ITに詳しくない人が行うことを想定する。このため、アクセスポイントを設置後、60秒程度の作業で利用を開始できるようになっている。運用管理は全てグラフィカルインターフェースで行うようになっていて、逆にいえばコマンドラインインターフェースは使えないようになっている。

 Unleashedは当面ZoneFlex R500、R600をベースにした製品のみだが、他の802.11 対応無線LANアクセスポイントに順次拡大していくという。既存製品の販売は継続される。Unleashedから外部コントローラーを使う構成への移行パスも用意されるという。

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