キョーテイ、オワハラ、内々定、研究室推薦――スタート前に知っておきたい「就活のジョーシキ」就活のトリセツ(1)(1/3 ページ)

IT業界への就職を考えている学生のために就活のイロハを伝授する連載「就活のトリセツ」。第1章は、押さえておきたい「就活のジョーシキ」を手ほどきしよう。

» 2015年10月29日 05時00分 公開
[中村昭典@IT]
就活のトリセツ

連載目次

IT業界就職ラボ「就ラボ」

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 本連載「就活のトリセツ」では、就活を始めるに当たって知っておきたい基礎知識やIT業界特有の事情や実体などを「親子就活」の筆者が手取り足取りゆるふわに解説します。


就活には見えないルールがある

 この時期、大学でも専門学校でも盛んに開かれている「就職ガイダンス」。大学3年生や大学院1年生、専門学校1年生など、2017年3月の卒業予定者が主な対象となっている、就職活動のオリエンテーションだ。

 私は大学でキャリア支援という職務に携わっている関係で、これまで何度もガイダンスを企画してきたが、参加者の顔色を見たりアンケートを読んだりすると、皆さんの困惑ぶりがよく分かる。ただでさえ「就活って大変だー」と気が重くなっているのに加えて、初めて見聞きする世界に「???」な学生が多いようだ。

 例えば、新卒者の就職に関するニュースでよく登場する「就職キョーテイ」という言葉。さすがに「就職競艇」だと思っている人はいない……だろうが、就職にキョーテイ(協定)があると聞いて戸惑う学生が大半だろう。就職協定、正しくは「採用選考に関する指針」は、大学からの要望を受けて経団連が取りまとめた、「新卒学生を採用する場合のルール」のことである。

就活は争うもんじゃなくて。キョーテイでもカーレースでもないんだけどね(写真はイメージです)

 日本の新卒採用は、毎年4月に企業が新卒学生を定期的に採用する、いわゆる「新卒一括採用」が基本となっている。そのため、新卒社員を採用したい企業の採用競争がエスカレートし、就職活動が長期化する傾向にある。

 場合によっては学生生活にも大きな影響が出てしまうので、「それは困る」と学校側と企業側が調整し、就職活動のルールを作ってきた。それが「就職協定」と呼ばれるものである(※1)。時代とともにルールの中身も在り方も変わり、今は下記のようになっている。

行うこと 時期
広報活動 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
選考活動 卒業・修了年度の8月1日以降(※2)
採用内定 卒業・修了年度の10月1日以降
表1. 採用選考に関する指針(経団連 2014年9月16日改訂)

 この指針に沿って、大手企業を中心に就職活動のレールが敷かれる。具体的には、3月の広報活動開始に合わせ、就職の募集内容や待遇条件などの情報を掲載する「就職ナビサイト」がオープンする。大半の学生はこのナビサイトから情報を入手し、希望する企業を探し、応募する。ナビサイトは複数あるが、大手の「マイナビ」や「リクナビ」などを利用する人が9割を超えると言われ、今や就職活動の必須ツールとなっている。

 同時に大きな会場でたくさんの企業がブースを出して求人PRを行う「合同企業説明会」も3月から一斉に開かれる。昨今では大都市のドーム球場などに数万人の学生を集めて開かれるなど、大規模化が進んでいる。ちょうど同じころに、各大学でも「学内合同企業展」などの、大学内で就活できるイベントも開かれる。

 このように就活にはルールがあり、そのルールに沿って多くの学生が就職活動を展開することになる。だから「3月1日」を就職活動の「カイキン=解禁」(皆勤賞のことでも開襟シャツのことでもない)日と呼ぶのだ。

※1  歴史を振り返れば、就職協定は今から60年以上も前からあった。しかし協定は法律ではなく、仮に守らなくても罰則があるわけでもない。年によっては、協定は有名無実化し、影響力が失われた。作られては変えられ、また消えては作られるということを繰り返し、今に至っている。

※2 どうやらこの日程に変更が入りそうである。「経団連は8月1日を6月1日に前倒しする予定」と一部報道が出ている。多くの企業が8月を待たずに選考を開始している実態に合わせることになる。
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