Docker、Universal Control Planeなど2つのソリューションを発表、デモDockerCon EU 2015

米Dockerは2015年11月17日(現地時間)、DockerCon EU 2015の基調講演で、コンテナアプリケーションの「Build」「Ship」「Run」全サイクルをカバーする2つのソリューションを発表、デモした。Tutumを使ったクラウドベースのソリューション、そして新コンテナ管理ツール「Universal Control Plane」を使った、オンプレミス用のソリューションだ。

» 2015年11月18日 13時45分 公開
[三木 泉@IT]

 米Dockerは2015年11月17日(現地時間)、DockerCon EU 2015の基調講演で、コンテナアプリケーションの「Build」「Ship」「Run」全サイクルをカバーする2つのソリューションを発表、デモした。Dockerが10月下旬に買収したTutum(トゥタム)という企業の同名サービスを使ったクラウドベースのソリューション、そしてDockerが同日発表したコンテナ管理ツール「Universal Control Plane」を使った、オンプレミス用のソリューションだ。どちらもセキュリティに配慮しながら、CI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)プロセスを高度に自動化することを狙っている。

TutumでクラウドベースのDockerアプリライフサイクルを自動化

 Dockerはまず、Tutumを使ったクラウドベースのソリューションを紹介した。Tutumは、Dockerに特化した「シンプルで柔軟なコンテナ運用ダッシュボード」あるいは「Container as a Service」とも表現される、クラウド上のサービス。現在、アーリーアクセス版が提供されている。

Tutumを使ったソリューションは、クラウドベースのDockerアプリライフサイクルをカバーする

 Dockerアプリケーションのデプロイ先としては、Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)、Digital Ocean、IBM SoftLayerが使える。コンテナアプリを、複数のクラウドサービス事業者にまたがって運用することもできる。デモでは、Tutumによる一括管理の下で、アプリをDigital OceanとAWSにまたがってHA構成で動かして見せた。

 デモは、すでに稼働中のアプリで新バージョンを投入するシナリオで行われた。Git Repositoriesにプッシュするだけで、Docker Hubの自動ビルド機能(Autobuild)によりDockerイメージが自動作成され、さらにこれがTutumに自動登録される。あとはTutumで「redeploy」を選択すると、2つのクラウドサービス事業者にまたがって、アプリのローリングアップデートが実行される。

 Autobuildは、11月初旬に新バージョンがリリースされた。毎週6万ビルドという大量の処理に対応するため、再設計でパフォーマンスを向上した。同時に「Dynamic Matching」という新機能を導入。この機能では、開発チームが新たにブランチやタグを作成すると、これに関連付けられたコードに対するビルドが自動的にキックされる(この機能を使わない設定も可能)。上記のデモでは、この機能をTutumと組み合わせることで、高度な自動化が図れることを強調していた。

「100%クラウドに行けない」組織のために、Universal Control Planeを提供

 Dockerはこれに続いて、新コンテナ管理ツール「Universal Control Plane」を発表した。Universal Control Planeは、発表と同時にパブリックベータテストが開始されている。

 現実には、様々な理由から100%パブリッククラウドに行けない組織がある。少なくともコントロールプレーンはオンプレミスで運用することが求めれるケースが存在する。こうした環境における、開発チームと運用チームの双方を支援するコンテナ管理ツールがUniversal Control Planeだという。

 「アプリケーションの稼働環境がサイロ化されてしまっては、Dockerのメリットが半減してしまう」。そこで、Universal Control Planeはオンプレミス環境で動かすツールであるものの、管理対象となるDockerアプリのデプロイ先は、オンプレミスのベアメタルサーバー、仮想環境、パブリッククラウドのどこでもいいようになっている。併用もできる。

Universal Control Planeでは、アプリケーションの稼働状況をリアルタイムで一括把握できる。リソースの利用状況も直観的に示される

 Universal Control Planeは、Docker Swarmを基盤とし、その他の同社が提供するコンポーネントを統合して管理インターフェース/ポータルを提供するツール。各種インフラ上のリソースプロビジョニング、Docekrアプリのデプロイ/アップデート用のセルフサービスポータル、Docker Trusted RegistryとのLDAP/Active Dirrectory統合、ネイティブなDocker CLI/APIの利用、アプリケーションの稼働状況監視、スケーリングなどが行える。

Universal Control PlaneはDocker Trusted Registryと連携し、アプリケーションライフサイクル全体をカバーする

 Universal Control Planeは、一般提供が開始されたオンプレミス用のDockerレジストリソフトウエアである「Docker Trusted Registry 1.4」と組み合わせて利用できる。Docker Trusted Registry 1.4は、DockerCon EU 2015の第一日目に紹介されたDocker Content Trustと統合され、イメージの真正性管理およびアクセス権制御が行える。

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