ギョーカイ研究、自己分析――いざという時にオロオロしないための「就活準備」基礎の基礎就活のトリセツ(2)(3/3 ページ)

» 2015年11月26日 05時00分 公開
[中村昭典@IT]
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自己分析のワナ〜よくある失敗パターン

 就活準備にマストな自己分析だが、うまくできない人が結構いる。典型的な失敗例を2パターン解説しておこう。

1 自分に自信がない人

 自分の経験を振り返っても「人に自慢できるようなことなんか、やってない」と、何も書けなくなったり、自信をなくしてしまったりする人。「成績が優秀なわけでもないし」「部活だってレギュラーとれなかったし」「クラスじゃ地味な存在で生徒会なんてとんでもないし」……といった具合に、何を思い出しても、ナイナイづくしな人だ。

 しかし、だ。これまで数千人の学生の話を聞いてきた経験から自信を持って言うが、「強み」がない人なんていないんだよ。どんな人にも、必ずその人らしい「いいところ」ってのがあって、それが発揮された経験の一つや二つ、あるものなのだ。ただ、これに気付いていない人が実に多い。

 見つからない人にオススメなのは、人に話を聞いてもらうことだ。アナタのことをよく知っている、友だちとか親とか。恥ずかしいという人は、学校のキャリアセンターにいるスタッフとかカウンセラーに聞いてもらおう。これが最も近道だ。彼らは人の話を聞き、そこから強みや弱みを発見するプロフェッショナル。力を借りない手はないのだ。

2 経歴を「盛る」人

 「1」の逆で、たいしたことないような経験を大げさに並べてしまう、いわゆる「盛った」自己PRに走ってしまう人もいる。「バイトで毎日数百人のお客さまと接する中で、接客業の原点を学びました」「サークルではイベントのサブリーダーを任され大活躍しました」的な感じだろうか。マニュアル本の読み過ぎ、いや、書いてあるパターンを少し変えただけのヨクアリ系で満足している人だ。

 採用担当者というのは、毎日多数の学生と接し、多くの自己PRを聞いている。「どこかで聞いたような話」によい印象を持たないことはアタリ前だろう。プロの手にかかれば、「盛った」自己PRは、ちょっと話せばすぐにバレてしまうのだ。こうならないためには、「1」同様に他人、特に社会人に、自己分析した結果を見てもらうのが効果的だ。ここでもキャリアセンターをうまく活用するのがいいだろう。

「そのサークル、サブリーダー何人いるのよ。この人、経歴盛り過ぎ」(写真はイメージです)

企業が本当に欲しいのは?

 「1」「2」両方に共通するのは、自己分析を通じて自分をよく見せようという気持ちが強過ぎることだ。

 その原因は「優秀な人しか採用されない」という思い込みからくる。世の中にはもちろん優秀な人もいるし、そんな人を採用したがっている企業もある。しかし企業が本当に必要としているのは、「優秀な人」ではなく「向いている人」だ。その企業が欲しい人材に「ぴったり合った人」を探しているのだ。

 だから自己分析で大事なのは、「優れた点」を見つけるのではなく、「自分らしい点」を見つけるということ。そこをきっちり伝えれば、「そこ、気に入った!」という企業が必ず手を挙げてくれる。この点については、またあらためて別の章でも紹介するつもりだ。



 以上、いろいろな観点から就活準備のポイントをまとめてみた。他にもまだまだやっておきたいことがたくさんある。え? もうおなかいっぱいだって? まぁそう言わずに。

 「就活のトリセツ」第3章では、履歴書の書き方や筆記試験対策、就活マストアイテムの紹介など、超実用的な内容をお届けする予定だ。楽しみに待っててちょうだいね。

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中村昭典(なかむらあきのり)

中村昭典

人材採用情報誌の元編集長など採用支援を手掛け、その後大学でキャリア支援系の教員に。著書に「親子就活」(アスキー新書・単著)、「雇用崩壊」(アスキー新書・共著)など。もともと人間好きなはずだが、最近は海辺とか田んぼとかにいることが多い。


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