ネットワンが発表した「クラウドブローカーサービス」とはまずAWSとvCloud Airに対応

ネットワンシステムズは2015年12月17日、複数のパブリッククラウドサービスおよびオンプレミスのクラウド環境にまたがる一括運用を実現するサービスを提供開始したことを発表した。アプリケーション起点で、デプロイの自動化、ベンチマークテスト、他クラウドへの移行などが行える点が特徴。

» 2015年12月21日 08時13分 公開
[三木 泉@IT]

 ネットワンシステムズは2015年12月17日、複数のパブリッククラウドサービスおよびオンプレミスのクラウド環境にまたがって、アプリケーションの一括運用を実現するサービスを提供開始したことを発表した。同社はこれを「クラウドブローカリングサービス」と名付けている。ネットワンは、同サービスを単体で提供するほか、プライベートクラウド構築支援、仮想ネットワーク運用、セキュリティ運用などのサービスと組み合わせた展開を目指している。

 サービス提供時点では、パブリッククラウドサービスとして、Amazon Web ServicesとvCloud Airに対応。今後、他のクラウドサービスにもサポートを広げるという。オンプレミスのクラウド環境については、近いうちに正式サポートを始めるという。

 ネットワンの「クラウドブローカリングサービス」は、米CliQr Technologiesの「CliQr CloudCenter」というソフトウエアをサービスとして提供するもの。CloudCenterについて詳しくは、こちらの記事をお読みいただきたい。要約すると、CloudCenterは、アプリケーション起点で複数クラウドの統合運用を実現している。この、アプリケーション起点というところが、一般的なマルチクラウド統合運用管理ツールとは異なる。

 CloudCenterの機能は、統一的なアプリケーションのデプロイ・移行と、クラウド利用の統合管理の二つの側面から説明できる。

 まず、アプリケーションのデプロイ・移行に関しては、アプリケーションの実体から、アプリケーションプロファイルを作成、これをカタログに登録して管理できる。プロファイルは、各クラウドサービスのサービス/APIに依存しない中立的な形で、Webアプリケーションサーバーやロードバランサー、ファイアウォールなどのコンポーネントのドラッグ・アンド・ドロップにより定義。デプロイは、これに基づいて、特定のクラウドサービスの仮想インスタンスサイズやマネージドサービスなどの構成を指定し、「デプロイ」のボタンを押すことで実行できる。

アプリケーションをカタログ化、社内マーケットプレイスを作れる
アプリケーションプロファイルでは、ドラッグ・アンド・ドロップで構成を定義できる
クラウドサービスに依存するパラメーターを設定して、デプロイを自動化できる

 デプロイ前に、このアプリケーションに関する複数のクラウドサービス間でのコスト比較が行える。また、実際に複数のクラウドサービスに試験デプロイを行い、パフォーマンスベンチマークを取ることができる。こうして、コストとパフォーマンスの両面から、デプロイ先として最適なクラウドを選択できるという。デプロイしたアプリケーションについては、アプリケーションのリソース利用状況を把握し、仮想インスタンスがダウンすると、これを通知できる。

アプリケーションを実際に試験デプロイし、ベンチマークを取ることができる
デプロイしたアプリケーションについて、移行を含む運用が行える

 さらに、いったんデプロイしたアプリケーションを、他のクラウドに移行できるという。これはいったん実稼働中のアプリケーションのデータを、別クラウドに退避してから移行先に移行、一方で、移行先でアプリケーションを再デプロイしたものと組み合わせることで行われる。

 クラウドの統合管理については、各クラウドのリソース利用状況を統合的に可視化できるという。また、社内ユーザーがクラウドサービスへのSSHで利用する認証キーは、クラウドサービス側で発行する認証キーに紐付ける形で、組織独自のキーを利用することもできる。

ソフトウエアネットワーキングサービスと組み合わせて提供

 ネットワンは、上記のクラウドブローカーサービスを、関連するその他のサービスと必要に応じて組み合わせ提供する。例としては、SD-WANサービスや、Cisco ACI/VMware NSXによるレイヤー2延伸機能がある・

 同社は別途、「カスタマーポータル」を運用、この上で2016年の春以降、同社が顧客に納品したもの全てを、顧客が見られるようにする無償サービスを提供する予定。このサービスや、セキュリティ運用サービスなどについても、今回のクラウドブローカーサービスと連携させていきたいとしている。

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