ネットワークのトラブルシューティング――レイヤー1編CCENT/CCNA 試験対策 2016年版(32)(1/2 ページ)

シスコの認定資格「CCENT/CCNA」のポイントを学ぶシリーズ。今回からは、「トラブルシューティング」について解説します。まずはレイヤー1におけるトラブルシューティングです。

» 2016年02月12日 05時00分 公開
CCENT/CCNA 試験対策 2016年版

連載目次

 ネットワーク初心者がCCENT/CCNAを受験するために必要な知識を学ぶ本連載。前回は、シスコシステムズが発表しているCCENT試験内容の6.2「スイッチのポートセキュリティ機能の設定と確認」から、スイッチへの悪意ある機器の接続に対処するためのポートセキュリティ機能を説明しました。

 今回は7.0「トラブルシューティング」です。特に、レイヤー1の各種機器に何らかの問題が発生したときなどに、原因を特定し、問題解決する方法について解説します。

レイヤー1の問題

 「レイヤー1の問題」とは、ケーブル―デバイス間の接続の問題を指します。具体的には、ケーブルを挿入するジャックや、ケーブルそのものの問題などが挙げられます。レイヤー1での問題が発生した際に考えられる原因を、以下に列挙します。

ケーブルが完全に接続されていない

 UTPケーブルでも光ファイバーでも、ケーブルをジャックの奥まで完全に差し込むと、抜け止めのロックが掛かります。また、完全に接続すれば、NIC(Network Interface Card)のLEDも点灯または点滅します。

接続したポートが間違っている

 設計したポートではなく、別のポートに接続してしまった状態です。設計者と作業者が別の人間の場合に、よく発生します。要因としては、作業手順書の記述ミスなどが考えられます。作業対象のポートが何番ポートなのか、作業前に確認することが重要です。

ケーブルの種類が異なっている

 UTPケーブルでは、終端方法により「ストレートケーブル」「クロスケーブル」「ロールオーバーケーブル」などの種類があります。ルーターとPC、あるいはPC同士の場合など、同じレイヤー同士の場合はクロスケーブルで接続します。一方、スイッチとルーター、スイッチとPCなど、異なるレイヤーの場合は、ストレートケーブルで接続します。このとき、ケーブルの種類を間違えてしまうと、リンクアップに失敗し、通信が行えなくなります。

 最近の機器では、NICに「Auto MDI-X」の機能が備わっており、ストレートとクロスのケーブル種別を自動判別して、NIC側でリンクアップするように調整できるものも増えています。

 なお、ロールオーバーケーブルは、ルーターやスイッチのコンソールポートとPCのCOMポートを接続するときに使用します。

ケーブルが途中で断線している。終端処理が間違っている

 「ケーブルの種類は合っているのにリンクアップしない」場合にチェックすべきポイントです。UTPケーブルには「単線タイプ」と「より線タイプ」があります。単線タイプはケーブルの曲げ伸ばしに比較的弱く、より線タイプより断線しやすいケーブルです。ケーブルが断線していないかは、「ケーブルテスター」を使用すればすぐにチェックできます。高性能なケーブルテスターでは、ワイヤーマップ(プラグ内の配線順序)やケーブル長までチェックすることができます。

2芯の光ファイバーで送信側、受信側同士をつなげてしまっている

 光通信を行う際に使用する光ファイバーには、1芯のものと2芯のものがあります。1芯の光ファイバーでは、送受信両方の信号を1本の光ファイバーに通します。2芯の光ファイバーは、それぞれの芯に送信専用、受信専用の役割を持たせます。送信専用を#A、受信専用を#Bとした場合、自身の#A側ファイバーは、対向機器では#Bである必要があります。送信と受信の向きを2芯のそれぞれで合わせる必要があるのです。この接続を誤ると、信号を送る側同士、受ける側同士がつながってしまい、通信できない状態となります。

SFPモジュールの故障

 光ファイバーもデバイスの設定も正しい場合、SFPモジュールの故障の可能性も考えられます。SFPモジュールとは、スイッチやルーターに光ファイバーを直接接続するためのパーツです。データーセンターなどで使用中のSFPモジュールが故障したとき、リンクダウンすれば明確に故障したと判断できるのですが、リンクアップしているにもかかわらずデータを送受信できないという現象を引き起こすこともあります。SFPモジュールはスイッチなどのデバイスと比べると安価であり、また耐用年数も比較的短いため、消耗品と考えた方がよいでしょう。故障して慌てて調達したのでは、復旧に長時間を要してしまいます。予備部材を確保すべきパーツです。

メディアコンバーターの故障

 SFPモジュールと同様に、光ファイバーを接続するための機器です。「コンバーター」という名前の通り、ケーブルの種類、帯域を変更できる機器です。よくあるパターンとしては、UTPケーブルと光ファイバーケーブルの変換があります。帯域幅がどちらも1Gbpsというケースが特に多いようです。また、2芯のマルチモードファイバーと、1芯のシングルモードファイバーの変換にメディアコンバーターを使用するケースもあります。

 変換可能なケーブルの種別にもよりますが、価格帯としてはスイッチとSFPモジュールの中間程度の機器です。UTPケーブルを接続するコネクターは、メディアコンバーター本体に固定されている場合がほとんどです。光ファイバーの収容ポートについては、固定タイプのもの、SFPモジュールを挿入できるものがあります。

管理上シャットダウン状態になっている

 特にルーターで多い設定ミスで、「no shutdown」コマンドの入力を忘れてしまったパターンです。ルーターのインタフェースは、初期状態ではシャットダウン状態であるのに対し、スイッチポートの初期状態はシャットダウンが解除された状態です。物理層の問題とはいえませんが、よくあるケースであるため、紹介しました。

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