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» 2016年02月16日 05時00分 公開

“応用力”をつけるためのLinux再入門(1):いまさら聞けないLinuxの基礎知識 (2/2)

[西村めぐみ,@IT]
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本連載で扱うディストリビューション

 本連載では、Red Hat系の「CentOS」とDebian系の「Ubuntu」を中心に扱います。両者とも無償で配布されており、日本語の表示や入力も問題なく行えます。

 Windows PCやMacをお持ちであれば、仮想化ソフトウェアの「VirtualBox(バーチャルボックス)」や「VMware(ブイエムウェア)」を利用することで、手軽かつ簡単にLinuxを試すことができます。VirtualBoxとVMwareはどちらもPC内に「仮想化環境」を作るソフトウェアです。例えば、Windows環境にVirtualBoxをインストールして、VirtualBoxにUbuntuをインストールする、といった使い方をします。

 VirtualBoxはオープンソースソフトウェア(OSS)として開発・配布されており、Windows用とmacOS用が無償で使用できます。

 VMwareは商用ソフトですが、Windows環境では、非営利目的を対象としたユーザー向けの「VMware Workstation Player」を使用することができます。

Linuxの歴史

 実際にLinuxに触れる前に、ここでLinuxの歴史をちょっとだけ振り返っておきましょう。

 もともと、LinuxはUNIX互換のOSを目指して作られていました。UNIXは主に大型汎用機やワークステーションで利用されていましたが、最初の頃は商品としてではなく、研究用途として開発されており、設計内容が公開され自由に利用できるようになっていました。そして、さまざまな企業や団体が、自分の環境に合わせて独自に改造して利用していました。その結果、同じ“UNIX”を名乗っていても、内容に隔たりが生じてくることになります。

 そこで、UNIXの開発元であるAT&Tがライセンス契約を始め、UNIXを管理するようになりました。これ以降、AT&TおよびUNIXのライセンス管理団体と契約を結んだ組織だけがUNIXを名乗り、ライセンス契約を結んでいないものは「UNIX互換OS」と呼ばれるようになりました。これが“UNIX系OS”の誕生です。

 Linux発祥の地は、教育用のUNIX系OSである「MINIX」のユーザーコミュニティーでした。

 UNIXが動作するコンピュータは高価であり、UNIXのライセンス料も高価です。従って、ユーザーは企業や大学ではUNIXを利用できても、自分のPCではUNIXを使用することができません。そんな中、当時フィンランドの学生だったリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏が、PCで使えるUNIX風のOS「Linux」を公開しました。最初の公開は1991年(バージョン0.02)で、バージョン1.0の公開は1994年です。

 現在、UNIX系と称されるOSには、大きくわけて3つの系統があります。1つはAT&Tのベル研究所が開発したオリジナル版の流れをくむ「System V系」で、多くの商用UNIXに採用されています。

 もう1つは、Bill Joy(ビル・ジョイ)氏が米カリフォルニア大学バークレー校にいた時に開発した「BSD(Berkeley Software Distribution)系」で、研究・教育機関に強いとされています。現在最も有名なのが「FreeBSD」で、macOSの基礎部分にも使われています。

 そして3つ目が「Linux系」になります。多くの立場の人々が開発に携わり、学生や個人が無償で使えるものから企業が利用する商用版まで幅広くカバーされています。

Linuxのライセンス形式

 Linuxカーネルは、「GPL(GNU General Public License:GNU一般公衆利用許諾)」というライセンス形式で公開されました。GPLはソフトウェアを配布するためにフリーソフトウェア財団による「GNUプロジェクト」という団体によって作られたライセンス形式で、以下の4項目が定められています。

  • プログラムを実行する自由
  • プログラムの動作を調べ、それを改変することへの自由
  • プログラムの利用や再頒布の自由
  • プログラムを改良し、改良したものを公にリリースする自由

 この4項目により、多くのソフトウェアがソースコードとともに公開されており、さらに多くの人が改良を加えたりしています。なお、通常はGPLプログラムから派生して作られた二次的著作物もまたGPLでライセンスされます(※)。

【※】Linux関連のモノは全てGPLというわけではありません。バージョンによってライセンスが変更されているケースもありますし、GPLそのものも何度か改正されています。正統な手段で入手したものであれば、個人利用で問題になることはほとんどないはずですが、商用で使う場合や、独自に手を加えたり、頒布したりしようという場合には、ライセンスがどのようになっているかをしっかり確認しましょう。



 Linuxディストリビューションの多くが無償で公開されているのも、このライセンス形態が大きく影響しています。Linuxは多くの人が開発に参加し、またその成果が多くの人に共有されて大きな発展を遂げてきたのです。

 次回は、Linuxに触れて学ぶためのテスト環境を、VirtualBoxとCentOSで作成する手順を解説します。

「“応用力”をつけるためのLinux再入門」バックナンバー

筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801N/PC-386MからのDOSユーザー。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。のち退社し、出産・子育てをしながらライターとして活動。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


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