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» 2016年02月24日 05時00分 公開

Windows 10の「ワークプレース参加」はどうなる?[前編]vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(43)(2/2 ページ)

[山市良,テクニカルライター]
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Azure ADとの統合でワークプレース参加はハイブリッド環境へ

 ワークプレース参加機能はその後、Microsoft Azureの「Azure Active Directory」(以下、Azure AD)でもサポートされるようになりました(画面3)。

画面3 画面3 ワークプレース参加機能は「ユーザーはデバイスをAZURE ADに登録できます」でサポートされる。ちょっと前までは「ワークプレース参加の有効化」というUIだった

 Azure ADは、Office 365やMicrosoft Intuneでも利用されている、クラウドベースのID基盤サービスです。Azure ADのワークプレース参加機能は、企業のデバイスポリシーに準拠する登録済みデバイスからのみのアクセスを許可するといったような、Office 365のアプリやサービスへの条件付きアクセスに利用できます。

 また、Azure ADはオンプレミスのWindows ServerのActive Directoryとディレクトリ同期ができるため、社外のPCやデバイスはAzure ADでワークプレース参加をセットアップし、オンプレミスのPCやデバイスはオンプレミスのAD FSのデバイス登録サービスでワークプレース参加をセットアップするといった運用も可能になります。

 これにより、オンプレミスのユーザーはドメインの認証でOffice 365にアクセスでき、社外のPCやデバイスはデバイス認証に基づいてオンプレミスのアプリケーションやリソースに安全にアクセスできるといった環境を実現できます(図3)。

図3 図3 Azure ADとオンプレミスのActive Directoryをディレクトリ統合した、ID基盤のハイブリッド環境

Windows 10で利用可能になった新しい認証方式

 Windows 7以前のWindowsの認証は、ローカルアカウント(ワークグループ構成)またはWindows ServerのActive DirectoryにPCを参加させて行うドメインアカウントのいずれかでした。Windows 8以降では、非ドメイン環境の選択肢として、Microsoftアカウントによるサインインが利用可能になりました。

 Windows 10では、Microsoftアカウントを使用する場合、「Microsoft Passport」という新しい認証方法がサポートされます。Microsoft Passportでは、2段階の認証でMicrosoftアカウントのクラウドサービスにデバイスが登録され、ローカルデバイス(TPMの使用を推奨)にMicrosoft Passportがセットアップされます。ユーザーは、PIN入力やWindows Helloの生体認証を用いて、パスワードを入力することなく、そしてクラウド側にパスワードが送信されることなく、Windowsにサインインすることができ、クラウドアプリにSSO(シングルサインオン)アクセスできます。

 Windows 10 Pro、Enterprise、およびEducationエディションでは、「Azure AD参加(Azure AD Join)」という、Microsoftアカウントやドメイン参加とは別の認証方法も利用可能になりました。

 Azure AD参加は「クラウドドメイン参加」とも呼ばれるもので、Azure ADにPCを参加させ、Azure ADのID認証でWindowsにサインインし、クラウドアプリにSSOアクセスできるようにします。Azure AD参加でもMicrosoft Passportがサポートされます。こちらは、「Microsoft Passport for Work」と呼ばれます(図4)。

図4 図4 Windows 10 Pro以上のエディションは、Azure AD参加という方法で、Microsoft Passportを利用したパスワードを使用しないログオンとクラウドアプリへのSSOアクセスが可能になる

 Office 365のサブスクリプションを利用できるのであれば、Office 365のIDでAzure AD参加をセットアップできます。Azure ADをオンプレミスのActive Directoryとディレクトリ同期している場合は、オンプレミスのIDでAzure AD参加をセットアップできます(画面4)。

画面4 画面4 Windows 10でのAzure AD参加のセットアップ

 以下の連載記事でも指摘したように、「Windows 8.1スタイル」のワークプレース参加機能はWindows 10には存在しません。

 Windows 8.1スタイルとは、電子メールアドレスを指定して、オンプレミスのAD FSのデバイス登録サービスにワークプレース参加する方法です。しかしながら、Windows 10からワークプレース参加機能が完全に削除されたわけではありません。

 Windows 10をワークプレース参加でオンプレミスのActive Directoryにデバイス登録する方法は幾つかありますが、運用環境に実装するためにはWindows Server 2016の登場を待つ必要があります。その環境は、オンプレミスでMicrosoft Passport for Workを実装する基盤にもなります。詳しくは、次回説明します。

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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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