OpenStackは「多様性を統合する基盤」、フォルクスワーゲンとAT&Tが導入について語るOpenStack Summit Austin 2016

OpenStack Foundationは2016年4月25日(米国時間)、「OpenStack Summit in Austin 2016」を開幕、基調講演では自動車大手フォルクスワーゲンおよび通信大手AT&Tが、自社のOpenStack導入について語った。

» 2016年04月26日 08時00分 公開
[三木 泉@IT]

 OpenStack Foundationは2016年4月25日(米国時間)、「OpenStack Summit in Austin 2016」を開幕、基調講演では自動車大手フォルクスワーゲンおよび通信大手AT&Tが、自社のOpenStack導入について語った。

 OpenStack Foundationのエグゼクティブディレクターであるジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)氏は、基調講演で「今やOpenStackはFortune 100の半数が使っている」と話した。ユーザー調査によると、導入の65%が本番用途だという。

 ブライス氏は、「多様性を包含できること」が、OpenStackの存在価値になってきたと話した。新しいアプリケーションに最適であると同時に、既存アプリケーションにも対応でき、プライベートクラウドとパブリッククラウドを単一のAPIでつなげられ、インフラからコンテナオーケストレーションに至るまで、複数レイヤの基盤をまとめ上げられるからだという。

通信事業者は、NFVを避けて通ることはできない

 AT&Tにとっては、NFV(Network Function Virtualization)が待ったなしの状況になってきたという。同社のネットワークでは、毎日平均114PBのデータが流れ、2020年までにはトラフィックが現在の10倍に膨れ上がると予測されている。この経済的現実から、ネットワーク構築手法の変革は不可避だという。

 AT&Tは2012年からOpenStackに取り組んできた。現在はこれを進化させた「AIC」と呼ぶ基盤を展開中だ。2020年までにネットワーク機能の75%を同基盤に移行することが目標だとする。このため、世界中に約1000のOpenStackゾーンを展開する必要があるという。

現在10のOpenStackコンポーネント/プロジェクトを採用している。今年末までに、3つのコンポーネント/プロジェクトを追加利用するつもりだという

 こうした規模になると、OpenStackインフラ構築および運用の自動化は不可避だとする。このため、例えばOpenStack環境の構築およびテストを自動化する「Fuel」は新しいプロジェクトであるものの、活用しているという。同社では運用についても、各ゾーン、グローバルの2つのレイヤに分けた統合管理の仕組みを構築、これを展開しているところだとしている。

フォルクスワーゲン・グループは、あらゆるソフトウェア開発の基盤に採用

 フォルクスワーゲンは、グループ全体の新規アプリケーション開発ニーズに対応するクラウドインフラ基盤として、2015年中頃にOpenStackの展開を始め、同年末に本番運用を開始したところだと、同社のIT運用サービス&インフラ担当コーポレート・ディレクター、マリオ・ムエラー(Mario Mueller)氏は話した。

 同社は新Webサイト、オンライン見積、ドライバー向けアプリケーション、生産のスマート化、3Dレンダリングなどのための基盤として、OpenStackの活用を進めているという。OpenStack上ではPaaS基盤としてCloud Foundryを動かし、開発者のニーズに応えている。

OpenStack専用データセンターでは、段階的にOpenStack環境を拡張していく

 フォルクスワーゲンは新たに「OpenStack専用」のデータセンターを竣工した。2000平方メートルのフロア面積を持つ同データセンターに、900コア、26万GBのRAM、2500TBのストレージを2017年中に導入する。同様なデータセンターをアジア太平洋地域、中国、南北アメリカ地域などに展開するつもりだという。

 同社では、OpenStack環境を既存のITインフラ基盤およびパブリッククラウドと統合し、ハイブリッドクラウドとして展開していく。

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