Dockerとの相互運用性が向上したWindowsコンテナ[後編]vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(52)

前回に続き、Windows Server 2016 TP5における、Dockerとの相互運用性が強化された「Windowsコンテナ」について説明します。

» 2016年06月17日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Docker Hubへの「pull/push」がフルサポート

 Windows Server 2016 Technical Preview(TP)5では、「Docker Hub」へのWindowsイメージの「pull/push」がフルサポートされました。

 マイクロソフトは、Docker Hubに設けられたマイクロソフトのパブリックなリポジトリ(https://hub.docker.com/r/microsoft/)を通じて、Windowsベースのコンテナイメージを提供しています。

 例えば、Windows Server Coreイメージ/Nano Serverイメージをベースとした、IISやASP.NETを含むイメージや、オープンソースソフトウェアを含むイメージが公開されています。ユーザーは、「docker pull」コマンドを使用してアプリケーションを含むイメージをWindows Server 2016 TP5のコンテナホストにダウンロードし、そのイメージからコンテナを作成することができます(画面1画面2)。

画面1 画面1 「docker pull」コマンドを実行して、Docker Hubのマイクロソフトのパブリックリポジトリからイメージをダウンロードする
画面2 画面2 「docker pull」コマンドで取得したイメージからコンテナを作成、実行する。この例は、Apache HTTP Serverを含むWindows Server Coreイメージ(microsoft/sample-httpd:windowsservercore)

 Docker HubのサポートはWindows Server 2016 TP5からだと思っている人が多いと思いますが、実は、Windows Server 2016 TP4のときも限定的なサポートが提供されていました。当時は、Windows Server 2016 TP4のWindows Server Coreをベースとしたイメージを「docker pull」コマンドで入手することができました(画面3)。Windows Server 2016 TP5では、Windows Server 2016 TP5のWindows Server CoreおよびNano Serverをベースとしたイメージが公開されており、利用可能になっています。

画面3 画面3 実は、Windows Server 2016 TP4のときも、Docker Hubからの「pull」はできた

Docker Hubへのカスタムイメージのpushも可能に

 Windows Server 2016 TP5におけるDocker Hubのフルサポートとは、“「pull/push」の両方に対応した”ということです。Docker Hubを利用するためのアカウント(Docker ID)を持っていれば、自身のパブリックまたはプライベートなリポジトリにWindowsベースのコンテナのカスタムイメージをpushしてアップロードできます(画面4)。

画面4 画面4 Docker IDがあれば、自身のパブリックまたはプライベートなリポジトリにWindowsイメージをアップロードできる

 ユーザーは、自身のプライベートリポジトリを中心に、複数のコンテナホストでアプリケーションを管理できます。また、パブリックリポジトリを通じて、アプリケーションを広く配布することもできるはずです(配布については、ライセンスに関連して何か制約があるかもしれません)。

WindowsコンテナがAzure Container Serviceに統合される日

 マイクロソフトは2016年4月から、Microsoft Azureにおいて「Azure Container Service」の一般提供を開始しています。このサービスは、大規模環境に適した、オープンソースで構築されるコンテナ管理サービスです(画面5)。

画面5 画面5 2016年4月に一般提供が開始されたAzure Container Service。現在はLinuxベースだが、将来的にWindowsコンテナのサポートが統合される予定

 現在のAzure Container Serviceは、プラットフォームこそMicrosoft Azureですが、サービスを提供する管理サービスやコンテナホストは完全にLinuxをベースにしたものです。

 Azure Container Serviceには、将来的にWindowsコンテナが統合されていくことになっています。前回と今回で説明した、Windows Server 2016 TP5におけるDockerとの相互運用性の高さが、それを現実に近づけることになるのではないでしょうか。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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