人工知能搭載の次世代型ERPの開発現場から、エンタープライズアプリケーションのUI/UXとエンジニアの在り方を考えるUI/UX勉強会を開催

ERPパッケージを開発・販売するワークスアプリケーションズが新たにリリースした「HUE」――世界で初めて人工知能(AI)を搭載し、これまでのエンタープライズアプリケーションとは異なる発想で開発され、ユーザビリティの高さで大きな注目を集めている。「HUE」がどのようなコンセプトで開発され、開発の現場では何が行われているのだろうか。ワークスアプリケーションズの「HUE」の開発部隊の中のUI/UXチームのメンバーに話を伺った。

» 2016年07月15日 14時00分 公開
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 ERPパッケージを開発・販売するワークスアプリケーションズが新たにリリースした「HUE」――世界で初めて人工知能(AI)を搭載したERPとして、これまでのエンタープライズアプリケーションとは異なる発想で開発され、ユーザビリティの高さで大きな注目を集めている。「HUE」がどのようなコンセプトで開発され、開発の現場では何が行われているのだろうか。ワークスアプリケーションズの「HUE」の開発部隊の中のUI/UXチームのメンバーに話を伺った。

エンタープライズアプリケーションの新たな形に挑戦

ワークスアプリケーションズ HUE Div. UI/UX Group Vice President 安積健太氏

 ワークスアプリケーションズのHUE Div. UI/UX GroupでVice Presidentとして、より使いやすいERPの開発に注力している安積健太氏は、約10年、ERPの開発に従事してきた。その中で安積氏は、「エンタープライズアプリケーションの未来が見えてこない」と次第に危機感を感じるようになったと話す。

 「自分たちが日々使っているコンシューマーITが進化している中で、エンタープライズアプリケーションはどうか。世の中で当たり前にできていることを、ERPでも実現していかなければならない」。そう考え始めた安積氏は、ERPの未来を切り開くため、ユーザビリティの研究開発を行う専門チームを2012年に立ち上げる。これが、現在のUI/UXチームの原型となっている。

 「今や『UI/UX』はバズワードだと思っています。『ユーザーエクスペリエンス』といっても、手法やテクニック論で終わってしまっては意味がありません。それこそ、チームを立ち上げた当時、そんな言葉は浸透していませんでした。私たちにとってUX=『顧客満足度』です。『それでユーザーが本当に喜ぶんだよね?』という指標しかありません」(安積氏)。

 一方、当時、安積氏と共に「COMPANY」の開発を行っていた佐藤廣氏も、直感的で誰もが使いやすい機能を作りたいと考えていた。「エンタープライズアプリケーションでは、その目的から堅牢性・安定性が求められるために枯れた技術を使う必要があり、それ自体は間違ったことではありません。しかし、それらの技術の制約上、速度や利便性の向上を諦めざるを得なかったのです。それらの制約条件を取り払って、実際に使う人が喜ぶアプリケーションを作ることができると考え、自ら手を上げて参加することにしました」。

High Usabilityで一歩先をシステムがサポートする

 チームの立ち上げから3年後、ワークスアプリケーションズは、新たなERPである「HUE」をリリースする。HUEは、「High Usability Enterprise system」の略で、その名の通り、高いユーザビリティが最も重要なコンセプトとなっていると安積氏は説明する。

「HUE」の特長

 「単なるビジュアルだけではなく、ユーザーのオペレーションをいかに快適に便利にするかが課題で、最も重視していました。ERPのユーザーは、毎日のように長ければ8時間もPCの前に座って作業をしていますが、実際はシステムの制約上、イラッとすることが何度も起きていると思います。『仕事だから使わざるを得ない』ではなく、率先して『使いたい!』と思ってもらえる、ユーザーに即したアプリケーションに根底から作り変える必要があると考えました。例えば、Google検索では、1文字入力するだけで検索ワードの候補を予測して、欲しい情報を瞬時に引き出してくれます。そのように、『業務で使う中で、一歩・二歩先をサポートする機能をどれだけ提供できるか』が課題でした」(安積氏)

 例えば、ERPにおける入力業務は、データベースが違う、あるいは対象リストや日付が違うなど、システム構造に依存したことで、同じような作業を繰り返さなければならなかった。しかも、各項目に入力できる値は決められており、1つ1つ逐一入力する必要があった。「HUE」では、項目を気にせずに入力された情報を自動で判別し、適切な項目へ入力し直してくれる。また、過去に社内で入力された情報であれば、一から入力する必要はなく、入力候補として提案してくれるという。

 「毎月行う定例業務など、ルーティンワークを極限まで減らし、情報の入力さえ不要にすること、AIによるサジェストがもたらす『インプットレス』が1つのポイントです。また『HUE』は、チームで仕事を進めるために、コンシューマーITでは当たり前のソーシャルコラボレーションのエッセンスをあらゆる機能に取り入れています。こうして作られた社員間のつながりが、企業における働き方を大きく変えると信じています」と安積氏は説明する。

徹底的なユーザー目線で開発を行う

 「HUE」の開発現場で重要視されているのは、ユーザー目線での開発を行い、オペレーションを徹底的にブラッシュアップして、快適な操作性を実現しながら、ITのトレンドを盛り込んでいくことだ。

 「大企業向けに作られている当社のソフトウェアは、非常に多くのメニューや機能が搭載されている、いわば巨大なマシンです。それは、企業ごとに業務のやり方や利用する機能が異なるからで、ひいてはユーザーごとに使う画面も違ってきます。そのため、何が『High Usability』なのかを定義するところから、スタートしました。単なる『絵』を書くデザインスタジオではなく、各機能が複雑に絡み合うERPだからこその操作性と統一感をデザインすることが、私たちチームの重要なミッションとなっています」(安積氏)

ワークスアプリケーションズ HUE Div. UI/UX Group 醍醐春菜氏

 同社では、インド・シンガポール・上海・ロサンゼルス・日本の各開発拠点で、国境を越えてチームが構成され、開発が行われている。バックボーンや文化が異なる中で行う社内でのレビューは、難度の高さを極める。その役割を担う醍醐春菜氏は、次のように語る。

 「当社では、IIT(インド工科大学)や北京大学、清華大学などからコンピュータサイエンスに精通したエンジニアを採用していますが、高度な技術を駆使して新機能を開発しようとすると、そこに目が行きがちになってユーザーの視点が抜けてしまいます。また、『今できること』を前提に話をしてしまうと、『現在のシステムでは設計上の理由で実装できない』という話になりがちです。もちろん、技術上の制約はあるので、100%なモノは実現できませんが、ゴールを描いておくことで設計方法が全く変わっていきます。既存の方法にとらわれずに、『ユーザーの使い勝手を良くするためにどのようにUIを設計すればよいか』を常に意識して話しています。ユーザー像を深堀りして、使う頻度や用途、行動1つ1つで、サジェストの内容までもが変わるのです」

 一方で、各プログラムを見渡して、システムの基盤から「HUE」全体のUI/UXを改善しているのが佐藤氏だ。「製品の規模が大きく、多くの開発者が関わっています。ましてや、国を超えてグローバルでチームを組む開発体制である環境下で、一貫したUI/UXを保ちつつ、最新のトレンドに合わせて改善を続けるのは簡単ではありません。また、エンタープライズの機能は10年20年使うことを考えなければなりません。UI/UXデザインチームとしてコードレベルでデザインをコントロールし、メンテナンス可能な状態を保つようにしています」。

UI/UX開発現場の舞台裏。英語限定の勉強会を開催

 「HUE」開発ストーリーの裏には、UI/UXチームによる試行錯誤と改善が重ねられている。その開発ノウハウは、「UI/UX」をテーマにした勉強会「Global Innovation Nights #3 “UI / UX” by Works Applications」で明かされる予定だ。しかも、その勉強会は英語で行われるという。

 英語で勉強会を行う背景について、醍醐氏は「入社当初は、日本にしかオフィスがなかったので、この会社では2度と英語は使わないだろうと思っていました。しかし、気が付けば今では日本語を使う機会が少なくなって、週の半分以上は海外のエンジニアとコミュニケーションをとっています」と話す。

 グローバルな開発体制を採る中で、英語でのコミュニケーションは欠かせない。また、最新技術をキャッチアップするためにも英語は必要となるため、英語のカンファレンスやワークショップに積極的に参加してほしいと安積氏は話す。その上で、理想のエンジニア像について、次のように語った。

ワークスアプリケーションズ HUE Div. UI/UX Group 佐藤廣氏

 「技術に強い人は、技術だけに目が行きがちですが、しっかりとお客さまのことを考えていれば、お客さまの意見に目が向けられ、コンサルや営業などのお客さまとの接点があるメンバーとも連携し、問題解決に取り組めるようになります。このような人が本当に能力の高い人だと思うし、結果として無駄がない仕事ができる。結局、システムは人間が作っているものなので、本質を理解しようとするコミュニケーションから出てくるエッセンスが非常に重要です。このエッセンスを、機能のUIとしてこだわってデザインしていける人と働きたいですね」(安積氏)。

 また、佐藤氏も次のように付け加えた。「最近では、人工知能によって仕事が奪われるなどと騒がれていますが、お客さまのことを考えて、その人が喜ぶように工夫してプロダクトに反映する仕事が最後に残ると思うのです。『ここまでは自分の範囲』と決めてかかって仕事をするのではなく、全体を良くしようと互いに少しずつ助け合い、交じり合っていこうと考える人が、当社には多いと思います」。

Global Innovation Nights #3 “UI / UX” by Works Applications

Talk Theme:「エンタープライズアプリケーション開発におけるUI/UX」〜「HUE」の開発について、UI/UXの観点からどんな取り組みをしているのか、どんな工夫をしているのかをご紹介します〜

日時:2016年7月26日(火) 19:00〜21:00
会場:イベント&コミュニティスペース dots.(渋谷区宇田川町20-17 NOF渋谷公園通りビル 8F)
主催:ワークスアプリケーションズ
参加費:無料

詳細・お申込みはこちらから ≫ http://eventdots.jp/event/591497


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提供:株式会社ワークスアプリケーションズ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年8月19日

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日時:2016年7月26日(火) 19:00
会場:イベント&コミュニティスペース dots.(東京・渋谷)
参加費:無料

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