決算短信で読み解く「アイティメディア」の財政状況お茶でも飲みながら会計入門(105)(2/2 ページ)

» 2016年08月17日 05時00分 公開
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【3】財政状態

 次は「財政状態」(先ほどの例では財産)を解説します。同じくアイティメディアの決算短信を見てみましょう。

平成29年3月期第1四半期「財政状態」(出典:株主・投資家情報 | アイティメディア株式会社

 平成28年6月30日時点の財産情報が書かれています。比較のために前期末(平成28年3月31日)の情報も掲載されています。主要項目を説明します。

項目 概要
資産合計 会社が所有している資産の合計
資本合計(あるいは純資産合計という) 資産から負債をのぞいた金額

 アイティメディアは、資本合計が大きくプラスであり、安定した財政状態にあることが分かります。

【4】その他の情報

 その他の情報も簡単に見ておきましょう。

平成29年3月期第1四半期「配当の状況」(出典:株主・投資家情報 | アイティメディア株式会社

 「配当の状況」は、株主への配当の状況を示します。平成28年3月期の第2四半期末と期末の配当実績があり、平成29年3月期にも第2四半期末と期末に配当が予想されていることが分かります。

平成29年3月期第1四半期「業績予想」(出典:株主・投資家情報 | アイティメディア株式会社

 「業績予想」は、将来の業績の予想です。「売上高」が順調にのび「営業利益」が出ると見込んでいます。

【5】IFRSについて

 最後に、短信のタイトルに書かれている「IFRS」を解説します。

 IFRSは「国際財務報告基準」の略語です。国際財務報告基準は多くの国で採用されている会計基準で、日本の会計基準とは異なります。アイティメディアは、財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的として、今回からIFRSにより決算発表しています。



 決算書を見てきました。私は会社が倒産したときにはその会社の決算書を見るようにしています。直近の決算書には倒産の兆候が出ていることが多いからです。

 「転職してみたら会社が倒産した」「せっかくシステム納品したのに代金回収できなかった」といった悲劇に遭わないためにも、たまには決算書をみるのもいいかもしれませんね。それではまた。

イラスト:Futoden


筆者プロフィール

吉田延史(よしだのぶふみ)

吉田延史(よしだのぶふみ)

京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピューターの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。

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