AIは人間のキャリアを破壊するのか?――政府発表資料で予測する、AI活用による雇用の変化特集:テクノロジーが支援する1億総ワークスタイル変革時代(2)(3/4 ページ)

» 2016年09月26日 05時00分 公開
[林雅之@IT]

IT業界は需要増――就業構造の変化による雇用の流動化

 AIによる雇用の流動化も進んでいくと見られる。経済産業省は、2016年4月27日に発表した「新産業構造ビジョン」の中間整理で、第4次産業革命の進展による産業構造や就業構造の劇的な変化を予測している。

 就業構造の変化とは、「AIやロボットなどを作り、新たなビジネスのトレンドを創出する仕事」を国内外から集積し、「AIやロボットなどを使って共に働く仕事」を拡大させるといった変革だ。

第4次産業革命による就業構造変革の姿(イメージ)(出展:「経済産業省 「新産業構造ビジョン 中間整理」 2016.4

 「新産業構造ビジョン」では、就業構造を現状放置した場合、2015年度と2030年度で比較した職業別の従業者数の変化(伸び率)は、「経営戦略策定担当」「研究開発者」などの上流工程で136万人減少すると予測している。

 逆に、「新産業構造ビジョン」による変革を進めた場合は、「経営・商品企画」「マーケティング」「R&D」など、新たなビジネスを担う中核人材が96万人増加すると予測している。

 IT業界は、製造業のIoT化やセキュリティ強化など産業全般でITへの需要が高まるため、現状放置だと3万人減少であるが、変革を進めた場合は約45万人増加すると予測している。

 一方、大衆飲食店の店員、コールセンターなどのサービス業(高代替確率)は、現状放置では23万人増加だが、変革した場合は減少していくと予測される。減少によって雇用を失った人たちは、新たな成長分野への雇用シフトが必要だ。

 まとめると、AIやロボットによる効率化や自動化により、経営やマーケティングなど、人間の判断や創造性が求められる業種への「雇用の流動化」が進んでいくことが予想される、ということだ。

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