Oracle Exadataの導入価値を最大化するNTTデータの取り組みスペシャリストが語る、大規模導入プロジェクトの裏側(3/4 ページ)

» 2016年10月20日 07時00分 公開
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 同じく可用性に関する要件として、「メンテナンスに伴うデータベース停止時も業務継続を可能とすること」も課された。しかし、ソフトウェアアップデートやパッチ適用などで一時的な運用停止が生じるのは避けられない。この要件をクリアするために使われたのが、複数のデータベースを同期し、障害発生時などにスタンバイ環境へと切り替える仕組みを提供する「Oracle Data Guard」だ。

 ただし、同ツールを一般的な構成で使用した場合、障害時などの切り替え(ロール変換)処理でデータベースにアクセスできない時間帯が発生してしまう。そこで、海外の大規模事例を参考にしながらシステム構成と運用に工夫を加え、アクセス先のデータベースを切り替えつつロール変換を行うことで、参照処理については瞬断のみで業務を継続できる仕組みを独自に作り込んでいる。

 「運用中に不測の事態でハング状態に陥った場合でも、Oracle Clusterwareに加えて独自に作り込んだ高可用機能により、サーバを強制的にフェイルオーバーしてサービスを継続させることができます。大規模ミッションクリティカルシステムでは、Oracle Exadataの標準機能だけで満たせない非機能要件をどのような工夫で充足させるかが、システムインテグレーターにとって重要なポイントになると考えています」(田村氏)

 30ラックのOracle Exadataによるデータベース基盤は運用監視の範囲が広く、予兆を見逃すことのないよう万難を期すことも重要となった。Storage ServerやInfiniBandなどの状態を監視するには「Oracle Enterprise Manager」が必須である。ただし、通常のメトリック監視はWarningや予兆検知など軽度レベルのメッセージに対応しておらず、全てのメッセージに対応するログ監視機能を採用したところ、1分間に出力可能なメッセージサイズの上限を超えてしまった。この制約を外すためにOracle Enterprise Managerを修正するには多くの期間を要するため、別のサードパーティー製品を介する方式を採ったという。

 「製品固有の制約を受け入れざるを得ないケースもありますが、実現したいことを簡単に諦めるのではなく、システムの要件にうまく適応させることが重要です。プロジェクトの初期段階で要件と製品のフィット&ギャップを調査し、見つかったギャップを製品ベンダーと連携して解決に導く力や、要件を満たすために製品特性を追及していく力も必要になるのです」(河合氏)

 運用担当者の負担軽減を考慮し、システム更改に伴う運用プロセスの変更を極力抑えるという要件への対応にも力を注いだ。ロギングにはサードパーティー製品を使い、リソース監視や状態監視にはOracle Enterprise Managerを使うなど各製品の機能を有効に活用し、既存の統合監視システムと適切に組み合わせることで運用担当者の負担軽減を図ったという。

 なお、Oracle Exadataの導入に伴い、運用担当者は同製品に固有の通知メッセージを新たに目にすることになる。そのことで担当者らに大きな負担がかかることのないよう、まずは試験環境で本番相当の運用を行い、リアルタイムで通知すべき重度なもの、1カ月に一度の頻度でまとめて確認すればよい予兆検知レベルのものといった具体にメッセージの重要度を区別し、適切にフィルタリングするなどのノウハウも重要となった。

 インフラの変更に伴い、処理方式の見直しも生じた。バッチ処理を行う他のデータベースとのデータ連携に、従来はストレージのスナップショットコピー機能で作成した静止点データを使用していた。今回は新たなデータ転送方式を独自に作り込んだ結果、サーバ更改時のデータ移行などの柔軟性が高まったと田村氏は振り返る。

 「Oracle Databaseの標準機能を活用し、高速にデータを連携する独自の方式を開発したのです。この方式は、高性能であることに加えて、ハードウェアに依存しないというメリットがあります。データ移行などの用途にも応用できるなど、高い柔軟性を備えています」

Oracle標準機能だけで実装可能な、HWに依存しない高速データ転送方式を確立

 こうして、NTTデータが持つノウハウや高い技術力も総動員してOracle Exadataの導入を終えると、2014年9月に本番運用が始まる。その効果を、河合氏は次のように説明する。

 「数十万SQL/秒のスループットが求められるバッチ処理や数百ミリ秒未満でレスポンスを返すOLTP処理など厳しい性能を要求される処理もありますが、本番運用では安定して性能を発揮しています。厳しい非機能要件に対して、Oracle Exadataの標準設定にさまざまな工夫や調整を加えて対応したことで、常に高いレベルでパフォーマンスが安定しており、リプレース前は必須であった遅延原因の解析やSQLチューニングといった設計/保守のコストを抑えられました」

 一方、田村氏はOracle Exadataへの評価を次のように語る。

 「ストレージの複雑な物理設計や論理設計からも解放されました。これまでは必要な性能を得るためにハイエンドなストレージを採用したうえで、I/Oのチューニングも不可欠でした。それに対して、Oracle Exadataは最初から全てが最適化されており、バッチとOLTPの混在環境でも評判通りの高い性能が出ています。ストレージの設計と導入も楽になりました。これらによって生まれた余力は、データの活用など、より上流の提案に使っていきたいと考えています」

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年11月19日

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