「PostgreSQL 9.6」正式版が公開パラレルクエリ性能、垂直水平スケーラビリティ機能を強化

オープンソースデータベース「PostgreSQL」の最新版となる「PostgreSQL 9.6」が公開された。

» 2016年10月05日 11時00分 公開
[@IT]

 PostgreSQL Global Development Groupは2016年9月29日(米国時間)、OSS(オープンソースソフトウェア)データベース「PostgreSQL」の最新版「PostgreSQL 9.6」を公開した。

photo PostgreSQL

 PostgreSQL 9.6では、ハイパフォーマンスデータベースワークロードのスケールアップ(垂直方向の拡張)とスケールアウト(水平方向の拡張)の両方を可能とし、主にパラレルクエリ、同期レプリケーションの改良、フレーズ検索、パフォーマンスとユーザビリティなどの機能を強化した。ポイントは以下の通り。

パラレルクエリでスケールアップ

 PostgreSQL 9.6では、一部のクエリ操作の並列化がサポートされたことで、サーバ上のコアの一部または全てを利用して、クエリ結果を高速に返すことができるようになった。シーケンシャル(テーブル)スキャン、アグリゲーション、ジョインの並列化も可能となり、実行条件の詳細や使用可能なコア数に応じて、ビッグデータのクエリが最大32倍高速になるという。

同期レプリケーションとpostgres_fdwでスケールアウト

 PostgreSQLの同期レプリケーション機能に2つの新しいオプションが追加された。1つは同期レプリカのグループを構成できるオプション。もう1つは「remote_apply」モードの実装により、複数ノード間で一貫性の高いデータビューを作成できるオプション。これらの機能は、ビルトインレプリケーションを利用して“同一”ノードのセットを維持することで、読み取りワークロードのロードバランシングを行うことをサポートする。これらのオプションにより、同期レプリケーションを利用して、データベースクラスタにわたって一貫した読み取りを維持することが可能になる。

 また、PostgreSQL間のデータレプリケーションドライバである「postgres_fdw」に、リモートサーバで作業を実行できる機能を新たに備えた。ソート、ジョイン、バッチデータ更新をプッシュダウンすることで、ユーザーは複数のPostgreSQLサーバにワークロードを分散できる。こうした機能は近いうちに、他のFDW(Foreign Data Wrapper)ドライバにも追加される見通しだ。

フレーズ検索への対応でテキスト検索機能が向上

 PostgreSQLの全文検索機能で、新たにフレーズ検索をサポートした。ユーザーは高速なGINインデックスを使って特定のフレーズを検索できる。テキスト検索オプションを微調整できる新機能も導入された。これによってPostgreSQLは、リレーショナル、JSON、全文検索を組み合わせた“ハイブリッド”な選択肢をユーザーにもたらすという。

よりスムーズに、高速に、簡単に使える

 大規模本番データベースを運用するPostgreSQLユーザーによるテストとフィードバックによって、PostgreSQL 9.6では、パフォーマンスとユーザビリティがさまざまな点で強化された。

 レプリケーション、アグリゲーション、インデックス、ソート、ストアドプロシージャの効率が向上し、最近のLinuxのカーネルリソースをより有効利用できるようになった。また、VACUUM機能の改良などにより、大規模なテーブルや複雑なワークロードのオーバーヘッドも軽減されている。

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