グーグルがGCPの東京リージョン開設、AWSやAzureにどう対抗していくのか分析、機械学習がキーワード

グーグルは2016年11月8日、同社クラウドサービスGoogle Cloud Platform(GCP)の東京リージョンを同日に開設したと発表した。AWSやAzureへの対抗策について、Google Cloudプレジデントに聞いた。

» 2016年11月09日 09時28分 公開
[三木 泉@IT]

 グーグルは2016年11月8日、同社クラウドサービスGoogle Cloud Platform(GCP)の東京リージョンを同日に開設したと発表した。

 東京は米国のアイオワ、サウスカロライナ、オレゴン、欧州のベルギー、アジアでは台湾に次ぐ、世界で第6番目のリージョン。グーグルは2017年末までに、リージョン数を合計13に増やす計画を発表している。2017年にアジアで開設されるリージョンはシンガポール。

 東京リージョンは、3つのゾーンで構成される。東京GCPリージョンの試験導入時に東京、大阪、札幌、名古屋などで行った台湾リージョンとの比較で、レイテンシは平均50〜85%改善したという。

「東京は6番目のリージョン」と説明したGoogle Cloudプレジデントのタリック・シャウカット氏

 GCPと東京リージョンについて説明したGoogle Cloudプレジデントのタリック・シャウカット(Tariq Shaukat)氏に、「日本市場でAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureにどう対抗していくのか」と聞いた。同氏の答えを要約すると次の通り。

1.日本で、そして世界中で、顧客はマルチクラウドを指向している。GCPはよりオープンな考え方に基づいており、必要に応じてプライベートクラウドからワークロードを移行し、またクラウド間で統合的な運用ができる。当社は顧客に対し、ハイブリッドクラウド、そしてAWS、Azure、GCPを併用するマルチクラウドの世界で、どのようにアプリケーションを設計するべきかについて、時間をかけて説明している。

2.データ分析および機械学習については、どのクラウドよりも大きく先行していると確信している。パブリッククラウド利用における顧客の関心は、小規模な開発テスト用途を越えて、中核的なアプリケーションをパブリッククラウドに移行し、それに伴って最高レベルのデータ分析や機械学習をどのように活用するかという点に移ってきている。他の企業と直接競合する場合に、カギを握る差別化要素はこれだ。

 シャウカット氏は、一般的なGCPの優位性として、光ケーブル敷設に直接投資して整備を続けているネットワーク、そして約600人の専門家を擁するセキュリティについても説明した。

 日本における事業体制の強化について、シャウカット氏は、「日本における事業チームの規模とスキル幅の拡大は優先度の高い事項だ。10月にサンフランシスコで、私は市場開拓/営業で世界的に大企業を支援するため、1000人以上の増員をすると発表した。これは日本も含んでいる。営業職もそうだが、特にセールスエンジニアやカスタマーエンジニア、プロフェッショナルサービスチームといった技術関連職を増やす」と話した。

 では、インテグレーションサービス提供パートナーは、どのように開拓していくのか。GCP日本事業統括の塩入賢治氏は、「東京リージョン開設に伴って、顧客の層が広がると考えている。野村総合研究所のような大手システムインテグレーターが重要になる一方、ISAO、JIG-SAW、NHNテコラスのようなクラウド専業SIのパートナーが増えている。顧客の声に従って、今後パートナーを増やしていきたい」と答えている。

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