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» 2016年12月05日 05時00分 公開

プロエンジニアインタビュー(2):教えて! キラキラお兄さん「プログラミングは視覚障害者にオススメの職業って本当ですか?」 (3/3)

[高橋睦美,@IT]
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IT資格試験、勉強の前にしなければいけないこと

 ただ、その資格を得るのにも、健常者とは異なるチャレンジがあった。例えば情報処理推進機構(IPA)が実施している試験のうち「応用情報技術者」や「セキュリティマネジメント」は、点字による受験方式が公式に用意されていたが、「システムアーキテクト」と「情報セキュリティスペシャリスト」は未整備で、外谷さんが「上のレベルの資格を受けたい」とIPAに問い合わせて初めて、対応してもらえたという。

 それでも「IPAの資格試験については比較的情報源が多いし、参考書もある。探せば過去に受験した人もおり、インターネットで情報を集めやすかった」と外谷さん。ISC2が実施しているCISSPの場合は、「NDAがあるため過去問の情報がネット上にあまりなく、公式ガイドブックは2005年版という古いもので、電子データもないと言われた」ため、試験勉強に苦労したそうだ。実際の試験も、「代読・代理操作で行い試験時間は1.5倍の9時間とする」という条件を固めるまでに時間を要したという。

 問い合わせには快く応じてもらえることが多かったというが、「『じゃあ来週試験を受けよう』という具合に気軽にはいかない。まず『受験できますか』と問い合わせるところから始まり、資格そのものの勉強だけでなく、受験のための環境を整える負荷も掛かる」のが実情だそうだ。

 外谷氏はこれから、フォレンジックツールの完成度を高めるという本業に取り組む傍ら、仕事から離れた場では、こうした経験を元に「視覚障害のある後輩たち、学生たちに、自分の経験やノウハウを伝え、情報交換や課題を共有できる場を作っていきたい」と考えているそうだ。

 「これまで視覚障害者の仕事はほとんどマッサージに縛られていましたが、PCを使えばいろいろな仕事ができるはず。スキルアップを通じてたくさんの人、視覚障害者に限らずいろいろな障害のある人も働いていけるよう、実績を作りつつノウハウを伝えていく活動をしていきたいです」と外谷氏はいう。先頃も、ソフトウェア開発業界への就職を目指す視覚障害の学生と食事を共にし、試験の受け方などについて直接ノウハウを共有したばかりだそうだ。

 もちろん、それが可能かどうかは障害の程度やプログラミングスキルにもよる。しかも「自分の知り合いでIT企業のエンジニアをやっているのはまだ数人です。しかも、障害者雇用策の一環として人数を満たすために雇用しているところもあり、実際にエンジニアとして仕事をしている人となると少ないかもしれません」という実態もある。

 だが、自身の経験も踏まえて外谷氏は「視覚障害のある人の中から一般企業で働く人が増えていったらいいなと考えていますし、本人の実力次第ですが、その選択肢の1つとして技術職も十分あると思います。特にセキュリティは、画面に関係なく内部的なロジックが分かっていればできる仕事ですから、目が見えなくてもやりやすい分野だと言えます」と述べた。

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