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» 2017年02月06日 05時00分 公開

みずほフィナンシャルグループがAPIを中心に展開するFinTech最新事例――Amazon Echo、Soracom、LINE、Facebook、マネーフォワード、freee特集:“業種×Tech”で勝つ企業、負ける企業(3)(2/2 ページ)

[唐沢正和,ヒューマン・データ・ラボラトリ]
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みずほFinTechの代表的なAPI活用事例

 続いて小野田氏は、ビジネス領域ごとに代表的なAPI活用事例を紹介した。

 B2B領域の事例では、freeeが提供するクラウド会計ソフト「会計フリー」とみずほ銀行の法人向けインターネットバンキングサービスである「みずほビジネスWEB」とのAPI連携を開始。残高情報や入出金情報の取得をスクリーンスクレイビングからAPI接続に変更することで、よりセキュアな情報取得を実現している。また、「会社設立フリー」のサービスでは、会社設立手続きと法人口座開設手続きをワンストップで対応できるようにした。

B2B事例:freee

 マネーフォワードが提供するクラウド会計ソフト「MFクラウド」と「みずほビジネスWEB」とのAPI連携も開始しているという。このAPI連携により、ユーザーはID/パスワードをマネーフォワードに預けることなく、「みずほビジネスWEB」を経由して「MFクラウド」から銀行取引データを参照可能となった。また、「MFクラウド請求書」では、自動入金消込機能において、みずほ銀行入金管理サービス「ベストレシーバー」への入金を自動取得し、請求データと自動照合する機能を提供。さらに、「MFクラウド給与」では、みずほ銀行の給与振込口座との連携によって、給与ソフト内からワンクリックでの給与振込を実現している。この他、みずほ銀行の法人口座開設ネット受付サービスと連携し、会社設立から事業開始後のバックオフィス業務をサポートする「MFクラウド創業支援サービス」も提供している。

B2B事例:マネーフォワード

 B2C領域の事例としては、マネーツリーとの連携し「一生通帳機能」を提供開始している。これに登録すると、登録した以降のものだけになるが、みずほ銀行の個人向けインターネットバンキングサービスである「みずほダイレクト」から、みずほ銀行に加え、その他の銀行や証券会社、クレジットカードの過去の明細を確認できる。また、アイ・ティ・リアライズの事例では、家計簿アプリ「CRECO」と「みずほダイレクト」をAPI連携。先日付のクレジットカード引落予定金額を事前収集し、請求明細と連携することで、「CRECO」のカレンダーから引落予定金額を確認できるようにした。

プラットフォーム連携事例:LINE

 プラットフォーム領域の事例では、「LINEビジネスコネクト」とAPI連携し、「LINEでかんたん残高照会サービス」を提供。LINEトーク上から各種照会用の専用スタンプを押下するだけで、残高/入出金明細の照会結果を表示可能とした。この他、NTTドコモと地図情報で連携し、GPSとARを活用した「ATM店舗検索アプリ」および「自動音声翻訳」を導入した事例も紹介した。

機能連携事例:地図情報

 さらに、みずほフィナンシャルグループでは、「次のステージに向けて、銀行もビッグデータを扱うテクノロジー企業へ転換する必要がある」との考えから、金融APIを活用したアライアンスによるオープンイノベーションにも取り組んでいる。現在、metapsやWiLとのアライアンスを通じて、新たな決済サービスの創出を模索しており、ハッカソンやフォーラムも積極的に開催しているという。

アライアンスによるオープンイノベーション

 IoT時代を見据えた今後の展開については、IoTプラットフォームのSoracomとのAPI連携を検討中で、「SoracomのSIMとAPI連携することで、各種IoT機器に接続することが可能になり、コネクテッドカーやスマートホーム、テレマティクス保険、ウェアラブルデバイスなどで新たな市場が創出できる可能性がある」(小野田氏)としている。また、2016年夏には、スマートホームの領域で、Amazon EchoやFacebook botを使った次世代チャネルコミュニケーションの実現に向けて米国シリコンバレーで実証実験を行っている。

みずほフィナンシャルグループのAPI開発への取り組み

みずほ情報総研 決済・チャネル系システム事業部第3部 石川貴幸氏

 最後に、みずほフィナンシャルグループのAPI開発への取り組みについて、みずほ情報総研 決済・チャネル系システム事業部第3部の石川貴幸氏が説明した。「API開発に当たって課題となったのは、革新的なAPI利用企業のシステムと堅実な銀行のシステムでは、開発スピードに大きな差があることだった。今までと同じように開発していたのでは、API利用企業のニーズに対応するのは難しいと考えた。そこで、このギャップを埋めることを念頭に置いて、利用企業が求めるAPIを素早く開発、提供できる仕組みを目指した」という。

 具体的には、API利用企業と銀行システムの間にAPIゲートウェイを設置し、ゲートウェイ上で流量やAPI利用企業の情報を一括管理。そして、ゲートウェイの内側と外側にAPIを提供する仕組みを構築した。これにより、セキュリティレベルの高い銀行システムのデータを内部APIで直接取得。このデータを外部APIと連携することで、利用企業からの要望に柔軟かつ迅速に対応できる金融APIの提供を実現している。

迅速に対応できる構成で、利用企業に貢献(講演資料から引用)

 「今後、個人/法人向けのオンラインバンキング取引用API、残高照会や明細照会など照会用API、振込や振替、カードローンの借入や返済といった取引用APIなど、15種類の外部APIを提供していく予定」(石川氏)としている。

 さらに、みずほフィナンシャルグループでは、みずほ信託やみずほ証券のAPI開発も進めており、「みずほ銀行とみずほ信託、みずほ証券のAPIを活用して、顧客の同意を前提に顧客の財産保有情報を一括管理できるアプリも試験的に開発している」(石川氏)と、グループ一丸となって金融APIへの取り組みを推進していく考えを示した。

特集:“業種×Tech”で勝つ企業、負ける企業〜ビジネスの常識が変化する中で、どう生き残るか〜

IoT、FinTechトレンドが本格化する中、製造、金融に限らず各業種でITサービス開発競争が進んでいる。テクノロジーの力で各業種におけるビジネスのルールが大きく塗り替えられ、新しいプレイヤーが既存のプレイヤーを脅かすデジタルディスラプションも起こりつつある。ではこうした中で、企業が勝ち残るために持つべき要件とは何なのか?



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