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» 2017年02月24日 05時00分 公開

ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(23):宮古島編:青い空! 白い砂!――首都圏の仕事をビーチでリモートワークするという、うっとりするような選択肢 (2/4)

[加山恵美,@IT]

宮古島は、どんなところ?

 ワーケーションから移住まで一通りできる場所の1つが、沖縄県の宮古島だ。宮古島がある宮古島市は、サテライトオフィスの誘致やテレワーク実践の場を作る活動を積極的に行っている。

4つの「テレワーク」

 宮古島は沖縄本島と台湾のほぼ中間にある離島で、東京からは約2000キロ離れている。人口は5万4000人。主要産業はサトウキビやマンゴーなどの農業、マグロ漁などの漁業、モズクや海ぶどう栽培などの水産業。近年では観光業も急速に伸びている。

 宮古島はさんご礁が隆起してできた島で、大きな川がなく、海に土砂が流れ込まないため、周辺の海が独特の美しさと青さを持っている。砂浜が白いのはさんご礁の死骸からできているためだ。なお、ハブはいない。

ビーチは砂浜が白く、海水の透明度が高い。天気の良い日には、海面に青空がキラキラと反射する

 宮古島単体の面積は159キロ平方メートル。神奈川県川崎市よりも広く、茨城県の霞カ浦より小さい。周辺の島を合わせた宮古島市全体の面積は200キロ平方メートルを超え、沖縄の離島の中では石垣島に次ぐ大きさだ。

 自然のイメージが強いものの、生活の利便性は高い。都内でもおなじみの「マックスバリュ」「マクドナルド」「ヤマダ電気」「ツタヤ」があり、2016年夏には「ドン・キホーテ」も開店した。

 「ファミリーマート」がほとんどだが、コンビニもあるし、Amazonの荷物は注文してから3〜4日で届く。生活には車が必須ではあるものの、軽自動車でのんびり運転している住民が多く、都会のような高度な運転技術は必要なさそうだ。駐車場代も高くない。ポケモンGOのポケストップやジムも多数ある。

コールセンターやサテライトオフィスも

 宮古島市がテレワークを推進する背景には、「自然環境を維持しつつ、雇用を増やして、地域を活性化したい」という狙いがある。

 主要産業となる農林水産業を維持するために自然を保護しなければならず、製造業などの工場を誘致するのは難しい。そのため、2005年の市町村合併で休眠施設となった旧市庁舎などを有効活用した、IT企業のサテライトオフィス開設は大歓迎、というわけだ。エンジニアやクリエーターなどが移住してテレワークする場合も同様だ。

 サテライトオフィスの開設やテレワークワーカーの受け入れは、環境を破壊せず、地域に安定した雇用や収入をもたらすと期待しているのだ。

 2017年現在の宮古島は、テレワークの場として一歩踏み出し始めたところだ。実績はそう多くない。しかし場所とネットワークはほぼ十分そろっている。

 先述したテレワークのパターン別に、どこまで仕事が可能か考えてみよう。

 大抵のホテルでWi-Fiが提供されており、携帯電話の電波は、キャリアで差はあるものほぼ届く。ワーケーションであれば何ら問題ないだろう。

 ネットワークインフラは、近年沖縄周辺で海底光ケーブルの敷設工事が進んでおり、既存のケーブルと合わせてループ化(二重化)が徐々に実現しつつある。また、光回線によるインターネットサービスは、現時点でも市街地エリア(旧平良市エリア)で1Gbpsサービスが利用可能で、今後、島内全域への拡充が計画されている。他にも、島内の大部分でCATVインターネットが使える。サテライトオフィスぐらいなら、十分な通信環境があると考えていいだろう。

 ただし都会にあるようなシェアオフィスやコワーキングスペースはまだない。外に出てテレワークをしようとしても、Wi-Fiとコンセントがある店舗を探すのは難しいと覚悟した方がいい。

 宮古島には既に幾つかの企業が進出し始めている。旧市庁舎には通信企業のコールセンターが入っており、2017年にはさらに増える。2016年には愛知県でWebサイト企画やマーケティングのコンサルティングを行う「タービン・インタラクティブ」がIT企業としては初めて、サテライトオフィスを開設した。

 2017年1月時点では、数名の開発者が名古屋市のオフィスとテレビ会議しながら開発を進めている。短時間勤務も導入している。同社は、ITテレワーク誘致により地域活性を進める宮古島の企業「リチャージ」に協力し、エンジニアやクリエーターが働く環境作りも進めている。

 タービン・インタラクティブの志水哲也社長は「エンジニアをオフィスに閉じ込めて働かせるのは心苦しく感じるときもある。いい環境で働いてもらいたい。宮古島のような自然あふれる土地で喜んでくれるならうれしい」と話す。

宮古島なら、海を眺めながら働くことも可能だ

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