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» 2017年02月24日 05時00分 公開

ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(23):宮古島編:青い空! 白い砂!――首都圏の仕事をビーチでリモートワークするという、うっとりするような選択肢 (3/4)

[加山恵美,@IT]

宮古島のU&Iターン者

 宮古島で興味深い働き方、生き方をしている2人を紹介しよう。1人は元IT企業経営者で、今は宮古島で漁師をしている鈴木一司さん、もう1人は東京と宮古島を行き来しながら働いている女性(匿名)だ。

 移住前の鈴木さんは、東京でIT企業経営に携わる傍ら、宮古島を定期的に訪問しマグロ釣りを楽しんでいた。いつしかマグロ船の船長になる夢を抱くようになり、宮古島への移住を決意。東日本大震災のボランティア活動を通じて「人生は一度きり。やりたいことをやらなくては」と実感したことも、決断の後押しとなったそうだ。

 しかし、「よそ者」である鈴木さんが漁船の船長になるのは、そう簡単なことではなかった。

 地元漁師と信頼関係を築き漁を学ぶなど、猛烈に努力し、2年という異例のスピードで漁場の漁業権を取得して、マグロ船の船長になる夢をかなえた。今は自らの「栄真丸」で、観光シーズンには釣り客を海に案内する遊漁船サービスを提供し、それ以外の時期は、漁師として一本釣り漁業をしている。

 漁船にはレーダー、ソナー、高性能魚探、ドコモの衛星電話が積まれており、ハイテクな装備を駆使した漁業をしている。また鮮魚通販アプリで宮古島の鮮魚を提供する準備に携わるなど、ITを通じた地域活性化にも貢献している。

栄真丸に乗る鈴木さん

 もう1人は宮古島出身の女性。都内で就職してマーケティング関連の仕事をしていたが、子育ての都合で宮古島にUターンを決めた。会社にはテレワーク制度はなかったが、退職せず宮古島と東京を行き来して働いている。

 滞在日数は、東京と宮古島でほぼ半々。東京では妹の自宅から会社や顧客先に足を運び、集中して会議をこなす。宮古島に戻ると、提案書作成などのデスクワークを中心に行い、必要であれば電話やテレビ会議などでコミュニケーションをとっている。

 ネックは交通費だ。会社からは交通費支給の上限が決められているため、LCCを活用してやりくりしているという。

 当初は「自分のプライベートに会社を巻き込んでしまった」と申し訳なさを感じたこともあった。子どもを宮古島に置いて東京で働くため「子どもがかわいそう」と言われて傷ついたこともある。しかし今は、そうした抵抗を徐々に振り切り、働き続ける道をたくましく探求している。

 ライフとワークは二者択一でなはい。彼女は「どちらも大事にしたい人は(東京と別の場所で)半々で働くことを経験してもらいたいです」と話す。

 全く新しい仕事に挑戦した鈴木さん、会社が制度を整える前に新しい働き方を会社と共に模索している宮古島の女性。2人とも前例のないキャリアの道を歩んでいる。2人を見ていると「選択肢は無限にある」と思える。「ここで働く」という気持ちが確かなら、具体的な対処法は何とかひねり出せるものだ。

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