20周年で生まれ変わったというWeb制作ツールDreamweaverを、ユーザー視点で徹底的に検証した一日CSS Nite LP51(1/2 ページ)

CSS Nite LP51「Reboot Dreamweaver」が、2017年3月11日に東京・御茶ノ水で開催された。本稿では、20年を振り返る基調講演など3つのセッションの模様をレポートする。

» 2017年03月30日 05時00分 公開
[吉田育代@IT]

 皆さんはご存じだっただろうか。2017年の今年、アドビ システムズ(以下、アドビ)のWeb制作ツール「Dreamweaver」が米国で発売されて20周年になる。これを契機として、2017年3月11日、東京・御茶ノ水でCSS Nite LP51「Reboot Dreamweaver」が開催された。最新版Dreamweaver CC 2017のリリースで「Dreamweaverが生まれ変わったらしい」ことを検証しようというのがこのイベントの趣旨で、“前は使っていた”ユーザーにも分かるよう、Dreamweaverの追加機能や見落としがちな定番機能が8つのセッションで紹介された。

 本稿では、その中から3つのセッションの模様をレポートする。

DreamweaverをめぐるWeb制作シーンの20年とは?

スイッチ 鷹野雅弘氏

 基調講演に講師として登場したのは、スイッチの鷹野雅弘氏である。同氏はWebサイトの構築やコンサルティングを本業とするWeb制作者で、Dreamweaverに関する著作を多数手掛けている。2005年から「CSS Nite」を主宰。CSS Niteは今や日本国内だけではなく、海外まで広がっており、関連イベントを含めると500回を超える同イベントには、延べ6万名が参加している。

 その相手役を務めたのは、たにぐちまこと氏。もともとはプログラマーだったというたにぐち氏は、Web制作会社H2O space代表として、WordPressを利用したサイト制作や、スマートデバイス向けサイトの制作、PHPやJavaScriptによる開発を行っている。また、CSS NiteやWordCampでの講演や著書などを通じ、クリエイターの育成にも力を入れている。たにぐち氏はこのセッションのみならず、2つ目、3つ目のセッションでも解説役を務めた。

 このセッションのテーマは、2017年で、Dreamweaverが米国で発売されて(当時はマクロメディア社が提供)20周年になるのを機に、この統合開発環境とWeb制作シーンの歴史をきっちり振り返ってみようというものだった。

Dreamweaverを本当に基本的なところから振り返る

 セッションは、本当に基本的な話からスタートした。そもそも、「Dreamweaver」とはどういう意味なのか。これは「夢を紡ぐ者」というような意味で、コードネームがそのまま製品名になったという。

 それでは、これをどう読むか。時々、「weaver」を「waver」と混同して、「ドリームウェーバー」と呼ぶユーザーがいるというが、正式には「ドリームウィーバー」である。

 しかし、「ドリームウィーバー」というのは、常日ごろ呼ぶ名前としては長い。近しいものには愛称を付けるのが人間の常。Dreamweaverは、「ドリ」「ドリウィ」「ドリーム」というニックネームがあり、会場に聞いてみたところ、「ドリ」と呼んでいるユーザーが8割を占めていた。

 そこで、本稿もこれ以降、「ドリ」と呼ぶことにする。

Dreamweaverの開発ヒストリー

 今年が開発20周年なのだから、ドリが誕生したのは1997年。開発したのはマクロメディアである。

図1 Dreamweaverの開発ヒストリー(鷹野氏の講演資料から引用)

 バージョン1が発売されたときの目玉機能は「ラウンドトリップHTML」だ。当時のエディタ類は、ファイルを開いて閉じるだけでソースコードを変えてしまう“悪癖”があったのだが、ドリはそれをしないというのがセールスポイントで、また受けた。

H2O space 代表 たにぐちまこと氏

 マクロメディアが市場を取りに来たのはバージョン3のリリース時で、Fireworksとバンドル、戦略的な価格で販売された。2000年には開発者向けにDreamweaver Ultra Developer 1.0がリリースされて、ドリはバージョン4が出た。「この頃が黄金時代だった」と鷹野氏とたにぐち氏が述懐していた。2002年にMXが登場、統合開発環境化を果たした。

 しかし、2005年4月17日、マクロメディアはアドビに買収される。欲しかったのはFlash Playerだった。鷹野氏はこのニュースを聞いたとき、「椅子から転げ落ちそうになるほどびっくりした」という。製品はCS3リリースの際に機能の再構成が行われ、現在のドリの土台が整うことになる。

 たにぐち氏が活発に使っていたのは2001年から。2010年にレスポンシブWebに対応するなど潮流にキャッチアップしようとしていたが、正直、迷走も感じられたという。

 鷹野氏も「アドビはいつも半歩遅かった。半年前にこの機能があればと思うことが多かったのが残念だった」という。また、モダンなテキストエディタの台頭もあり、統合開発環境であるドリの歩が悪くなっていったのだが、両氏も最新バージョンであるCC 2017には注目。

 特に、たにぐち氏はライブビュー、リアルタイムプレビューなどの機能に「かなり良い感じになってきた」と期待を寄せていた。

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