国内セキュリティサービス市場は2021年まで堅調、年間成長率5.6%で拡大 IDC今後、脅威インテリジェンス基盤とそのサービスに需要増

IDC Japanが2021年までのセキュリティ市場予測を発表。サイバー攻撃リスクやオリンピック開催を背景に堅調に推移し、2021年までにセキュリティ製品とセキュリティサービスを合わせた市場規模は1兆3000億円に達すると予測される。

» 2017年06月06日 11時00分 公開
[@IT]

 IDC Japanは2017年6月5日、国内情報セキュリティ市場の2016年実績と2021年までの成長予測を発表した。

 同社はセキュリティ関連市場全体のうち、ソフトウェア製品とアプライアンス製品を合わせた「セキュリティ製品」と、トレーニングやセキュリティ対策コンサルティングなどのサービスを提供する「セキュリティサービス」の2つのセグメントに分けて調査。まずセキュリティ製品セグメントは、2016年の支出実績が2839億円で、対前年比5.1%増となった。同セグメントの2021年までのCAGR(Compound Annual Growth Rate:年間平均成長率)は4.1%とし、2021年までに3477億円規模まで市場が拡大すると予測した。

photo セキュリティ製品市場のセグメント別売上額予測 2014〜2021年(出典:IDC Japan, 6/2017)

 このうちセキュリティ対策ソフトウェア製品は、改正個人情報保護法(2017年5月30日施行)などの法規制対応や、ランサムウェア攻撃対策の需要が増えることで2017年は前年比3.2%増で成長。また、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた社会インフラへのサイバー攻撃対策需要の他、マイナンバー法や改正個人情報保護法などの法規制による個人情報保護対策強化などの需要によって、その成長は2020年まで続くと見られている。ただし2021年以降は、それまでの反動から需要は軟化すると推定される。これらを総合しIDCは同市場の2016〜2021年のCAGRを4%とし、市場規模は2016年の2364億円から2021年には2875億円に拡大すると予測している。

 また、セキュリティ対策ソフトウェアとハードウェアを一体にしたセキュリティアプライアンス製品も対前年比3.9%の成長率で拡大すると予測。ますます高度化するサイバー攻撃対策への需要が2016年に続いて高く、特に、多層防御機能を備えたUTM(Unified Threat Management)や、不正侵入を防御するIDS(Intrusion Detection System:不正侵入検知システム)/IPS(不正侵入防御システム:Intrusion Protection System)が成長する。2016〜2021年のCAGRを4.9%とし、市場規模は2016年の475億円から2021年には602億円に拡大すると予測している。

 一方、コンサルティング、システム構築、運用管理、教育/トレーニングなどを対象とするセキュリティサービス市場の2016年実績は7190億円で、対前年比5.1%増で成長。2021年までのCAGRも5.6%とし、2021年は9434億円規模にまで拡大すると見られている。

 2017年は高度化するサイバー攻撃を背景に、従来のシグネチャによる外部脅威対策製品から、「サンドボックスエミュレーション技術」や「コグニティブ/AIシステム」などを活用したアンチマルウェア製品やマルウェア侵入検知/分析製品、ネットワーク層からアプリケーション層まで対応する多層防御機能を備えた製品への移行がますます進むと予測される。

 2018年以降は、ハイブリッドクラウド環境の進展によって、クラウド基盤へのセキュリティ対策の導入や構築も進み、運用サービスの需要が拡大すると見られている。また、2019年から2020年にかけては、前述した大規模スポーツイベントを背景にした標的型サイバー攻撃の多発が予測されていることから、脅威を予知/予見する脅威インテリジェンス機能を活用した「マネージドセキュリティサービス」や「インシデントレスポンスサービス」などへの需要が拡大するという。

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