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» 2017年07月05日 05時00分 公開

ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(26):鳥取編:大学進学率は東京の半分、その切ない理由 (3/3)

[蓑原康弘(ミノハラ製作所),@IT]
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鳥取県の大学進学率が低い、切ない理由

 教育環境はどうでしょうか。

 前回倉吉市の高校が、情報科の募集を停止したことを書きました。今回は鳥取県全体について調べてみました。

 鳥取県には、公立高校が24校、私立高校が8校あります(出典:県内高等学校一覧 鳥取県教育委員会)。鳥取県の人口は57万人なので、「枠」で考えれば十分足りると思われるかもしれませんが、「行きたい学校を選ぶ」ことがあまりできません。

 大学進学率の高い高校は、全32校の一部です。

 そのうちの1校、倉吉市の「倉吉西高校(普通)」の2017年の入試倍率は1.50倍でした。受験者3人に1人が落ちる計算です。

 同じ倍率でも、都会では併願校を受験できます。しかし選択肢がない鳥取県では、志望校に落ちると、その後の人生設計まで狂いかねません。

 「2016年度学校基本調査(総務省統計局)」によると、鳥取県の大学進学率は39.3%で、全国36位。東京の72.7%の約半分です。

 鳥取県には大学は5校あります(出典:県内大学等一覧 鳥取県教育委員会)。しかし学べる学科に限りがあるため、学びたい分野によっては、選択肢は県外の大学しかありません。

 しかし県外の大学に進学すれば、学費に加え、家賃などの生活費がかかります。鳥取県の年収平均は、東京の約65%、実家のご両親への負担は相当なものになります。

 そのため、家族のことを思って、初めから大学進学を選ばない若者がたくさんいます。

 「諦め」のようなものを持ったまま就職する若者も多くいます。私はこれが鳥取の人口減少の原因の一つではないかと思います。若者が希望を持てなくなる環境になってしまっているのではないかと。

 またこれは、大学進学で県外に流出した若者が、帰ってきてくれない理由でもあると思います。

 私は、鳥取県民はこのマイナスを理解する必要があり、プラスに転換する義務もあると思います。私は学校を設立することはできませんが、「働き甲斐のある職場」を作りたいのです。そのためには、補助金ばらまき型の行政には頼っていられません。

 県内のいろいろな場所で、頑張っている人たちはたくさんいます。しかし、同じ特性を持った鳥取県民だけで絞る知恵には限界があります。東京のようないろいろな県から集まった人から生まれる多様性のある知恵にこそ可能性を感じます。だから、さまざまな人の協力をいただきたいのです。

 「U&Iターンの理想と現実:鳥取編」、次回は田舎の経営者の視点から、「田舎がITエンジニアに求めているモノ」についてお話しします。

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筆者プロフィール

蓑原康弘

ミノハラ製作所蓑原康弘

地方の町工場の2代目社長。異業種から製造業に入り、さまざまなギャップに困惑しながらも、プログラミングを習得し、山積みの経営課題をIoT導入で解決しています。

コラム:地方の町工場社長のマネジメントシステム論


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