連載
» 2017年09月19日 05時00分 公開

山市良のうぃんどうず日記(105):IaaSクラウド上でWindows Server 2016のWindows Updateはハイリスク? (3/3)

[山市良,テクニカルライター]
前のページへ 1|2|3       

原因は謎だけど、シャットダウン方法に工夫が必要かも……

 ちなみに、今回Windows Updateで大きな問題が発生した3台の共通点は、OSがWindows Server 2016(いずれもビルド14393.1593)ということだけです。Azure仮想マシンのサイズ(D2v2、A2、D4v3)、デプロイモデル(クラシック2台、リソースマネージャー1台)、インストールされている役割(ドメインコントローラー、ファイルサーバ、Hyper-V)はいずれも異なりますし、その役割以外の特別なアプリケーションはインストールも構成もしていません。そして、2017年8月の更新の際には、3台とも問題なく完了していました。

 あくまでも筆者の想像ですが、Windows Server 2016のシャットダウン操作に原因があるかもしれません。Windows Server 2016(およびWindows 10)は、Windows Updateなど、何かしているという意識がユーザーにはなくても、シャットダウンまでに長い時間がかかることがあるようです。ローカルのコンピュータであれば、コンソールに表示される「Windowsの準備をしています、コンピューターの電源を切らないでください」という表示が長く続くことで気が付くかもしれません。

 一方、Azure仮想マシンなどクラウド上の仮想マシンの場合、シャットダウンに意図せず時間がかかると、通常はローカルコンソールが見えないため、正常なシャットダウンが完了しない状況が起こり得ます。

 例えば、運用環境用ではないAzure仮想マシンでは、コンピューティング料金を節約するために、Azureポータルの「停止(Stop)」(クラシックポータルの「シャットダウン」)メニューを使用して稼働中の仮想マシンをシャットダウンし、コンピューティング料金が発生しない「停止済み(割り当て解除)」状態にするのが一般的だと思います。

 この方法でシャットダウンした場合、Azure側のタイムアウトよりもシャットダウンに要する時間が長くなってしまうと、突然電源がオフにされることになります。ローカルコンソールには「電源を切らないでください」と表示されていても、Azureのサービスには見えません。仮想マシンを次に開始してリモートデスクトップ接続したときに「シャットダウンイベントの追跡ツール」が表示されるようであれば、正常なシャットダウン前に電源がオフになっていることを示しています(画面7)。

画面7 画面7 仮想マシン接続時にこのダイアログボックスが表示されたら、正常なシャットダウンがされていない証拠

 Azure側の実際のタイムアウトがどれくらいなのか分かりませんが、Windows PowerShellで同様の操作を行う「Stop-AzureRmVM」コマンドレットは、正常なシャットダウンを10分間待つと聞いたことがあります(不確かな情報です)。

 この問題を回避するには、Azure仮想マシンのゲストOS側からシャットダウン操作を行い、仮想マシンを“停止状態”にしてから、Azureポータルの「停止(Stop)」(クラシックポータルの「シャットダウン」)メニューを実行します(画面8)。Windows Server 2016の仮想マシンの場合は、念のためこの操作で停止することをお勧めします。Windows Server 2012 R2の仮想マシンでは、筆者はこのような問題に遭遇したことはありません。

画面8 画面8 実行中の仮想マシンを「停止」するのではなく(画面左)、停止状態の仮想マシンを「停止」して割り当て解除状態にすると確実(画面右)

 リソースマネージャーでデプロイした仮想マシンでは、「自動シャットダウン(Auto-shutdown)」機能がサポートされます。これは、指定した時刻に自動でシャットダウンを開始する機能です。この機能を利用する場合も、正常なシャットダウンが完了する前にオフになってしまう可能性があることを考慮した方がよいでしょう(画面9)。

画面9 画面9 リソースマネージャーのAzure仮想マシンで利用可能な「自動シャットダウン」を利用する場合も、正常なシャットダウンが間に合わない可能性に注意

 筆者の環境には当てはまりませんでしたが、Azureのエージェントが原因でWindows Updateが影響を受けることもあるようです。

 クラウドのように、管理者の手の届かないところでのシャットダウンや再起動、Windows Updateの問題は対処が厄介ですし、時間もお金もかかります。今回、3台のAzure仮想マシンのWindows Update問題の解消には、時間にして2日間、仮想マシン料金にして2000円ほどかかりました。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。