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» 2017年10月18日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(34):問題は「能力がないこと」ではない――もしも「社内失業」に陥ったら (2/2)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
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問題は「能力がない」ことではない

 仕事に一生懸命取り組もうとしてきた。にもかかわらず、ITの専門知識がないが故にたくさんミスをした。同僚から冷ややかな目で見られた。上司からは叱られ、プロジェクトから外された……その結果、Fさんは、自分のことを「能力がない」と感じるようになりました。

 この問題の本質は、「能力がない」ことではありません。

 ミスを繰り返したことによって同僚から冷ややかな目で見られ、上司から認められず、プロジェクトから外された。その結果、傷つき、自信を失い、「能力がない」と思っている……そう、問題の本質は「傷ついている自分」にあるのです。

 「傷ついている自分」をそのままにして、今の状態から力づくで抜け出そうとしても、なかなか抜け出せません。なぜなら、「傷ついている自分」が癒されていないからです。

 傷ついている自分を癒さず、自信が持てないままでいると、今後も要所要所で「能力がないダメな自分」という考えが頭の中をよぎるでしょう。頭では「こんな後ろ向きの考えではいけない」と思っても、感情はついついネガティブな方向に向き、ますます自分を責めてしまいます。これでは、逆効果です。

 「このままでは良くない。今の状態から抜け出したい」と思うのなら、まずは「傷ついている自分を癒す」必要があります。

 ITの専門知識がないが故に、ミスはたくさんしたかもしれない。けれども、今まで自分なりに頑張ってきたこともあるはず。「できなかった自分」を責めるのではなく、「それでも頑張ってきた自分」を受け入れることから始めてみませんか。

「ない」ではなく「ある」に目を向ける

 Fさんは、理想もさまざまな可能性も持っているのですが、ご自身のことを「能力がない」と見下す癖があるようです。

 その癖は、周りからミスを責め立てられて身に付いてきたのかもしれません。けれども、さまざまな才能や可能性を持っているのに、能力が「ない」と決めてかかるのは、可能性を奪い、自分を傷つける行為です。

 今、Fさんに必要なのは、能力や知識、努力など、「ない」ことに意識を向けることではありません。「ある」ことに目を向けることです。探してみると、いろいろ「ある」と思いますよ。

 例えば、「社内失業中」という状態は、仕事が「ない」かもしれませんが、時間が「ある」ということです。その時間を使って、自分のために何かできることはないかなぁ。

 また、メールやチャットでやりとりするのは得意でも、電話応対が苦手なエンジニアは少なくありません。少なくとも、私は大の苦手。電話対応が難なくできるのは、1つのリソースだと思います。

 人には得手不得手があります。システム開発は苦手だったかもしれませんが、IT企業の仕事はシステム開発だけではありません。間接部門の人がエンジニアのサポートをしてくれるからこそ、エンジニアは仕事ができるのです。ITの知識がなくても、それ以外の知識があればいい。

 どんなわずかなことでもいいので、「ない」ではなく「ある」を探すと、今まで目を向けなかった自分の才能やスキルに気付くはずです。

 ひょっとしたら今、「竹内さん。そうはいっても、うまくいったことなんて何もないですよ」という考えが浮かんでいるかもしれません。その思考自体が「ない」ことに意識が向いている証拠です。

 「能力がない」「社内失業中」などの「ない」ことではなく、「ある」ことに目を向けましょう。

今回のワーク

 静かな場所に行って、コーヒーでも飲みながら、紙とペンを取り出して考えてみてください。

  1. 「今までやってきたこと」「うまくいったこと」を書き出してみます
  2. 仕事でも「ある」ことに意識を向けて、書き出してみます

「ある」に目が向くと、さまざまなリソースが自分に「ある」ことに気付くでしょう。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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