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» 2017年11月17日 05時00分 公開

Gartner Insights Pickup(39):“感情AI”が人とマシンのやりとりをパーソナライズする (2/2)

[Laurence Goasduff, Gartner]
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活躍を始める感情AI

 将来のスマートデバイスは、ユーザーの感情をより的確に分析して対応できるようになるだろう。その原動力は、ディープラーニング技術を利用して表情や言葉に表れる感情を測定するAIシステムだ。こうしたAIシステムは、人とマシンのやりとりにおいて、ますます重要な役割を果たすようになる。

 既にそうしたステップがとられ始めている。例えば、PCゲームの『Nevermind』は、Affectivaの“感情ベースのバイオフィードバック”技術を採用し、Webカメラや各種の対応機器でプレイヤーの感情を感知して、それに応じてゲームの難易度を調整する。プレイヤーが数十分プレイしてゲームに没入していくと、ゲームの世界がより暗いムードになり、論理パズルがより難解になるといった具合だ。この心理スリラーゲームは、プレイヤーの恐怖、緊張、不安といった感情を常にモニターし、プレイヤーの緊張度などの感情の起伏に合わせてゲームの難易度が上がったり下がったりしていく。

 また、ドライバーの心配や不安を認識するとブレーキシステムの応答性を調整する車載システムも登場している。例えば、ある母親が朝、バスに乗り遅れた子どもたちを車で学校に送ってストレスを感じていたところに、今度は新生児の娘の具合が悪くなり、車で病院に向かっているとする。彼女は怒りっぽく、イライラしながら運転している。彼女の不安な様子を感知すると、車は交通量の多い交差点に近づくときにブレーキの応答性を高め、乱暴な停車を回避しようとする。

 これらのケースにおいて、ゲームと車はいずれも視覚センサーとAIベースの感情追跡ソフトウェアを利用して、リアルタイムの感情追跡を実現している。

ヘルスケアと自動車の業界が感情AIの導入をけん引

 自動車およびヘルスケア業界の企業や組織では、感情認識機能を導入すべきかどうか、またどこまで導入すべきかの検討が非常に活発化している。

 先の例が示すように、自動車メーカーは車載感情認識システムの実装に取り組んでいる。「こうしたシステムはドライバーの気分を感知し、感情を認識する。そしてドライバーの怒りやストレス、眠気、不安を管理することで、交通安全を向上させる可能性がある」とジマーマン氏は説明する。

 ヘルスケア分野では、感情認識型ウェアラブルデバイスが24時間、週7日、患者の精神状態をモニタリングし、必要な場合に直ちに医師や介護者にアラートを送るようになる可能性がある。また、こうしたデバイスは、隔離された高齢者や子どもが自分の精神状態をモニタリングするのにも役立つかもしれない。さらに、医師や介護者はこうしたデバイスにより、ケア対象者の精神状態のパターンをモニタリングし、いつ、どのように彼らとコミュニケーションを取るかを判断できる。

 感情を認識して対応するための現在のプラットフォームは大部分が非公開であり、幾つかの固有のユースケース向けにカスタマイズされている。また、こうしたプラットフォームはこの数年、商品やブランドの認知度調査のために多くのグローバルブランド企業で使われている。「ITやメディアの大手企業が、今後2年間にこうしたプラットフォームの機能強化に向けた協業を展開することや、生活をより良いものに変えるツールを提供することが予想される」とジマーマン氏は述べている。

出典:Emotion AI Will Personalize Interactions(Smarter with Gartner)

筆者 Laurence Goasduff

Director, Public Relations


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