CIOの21%が中期/長期計画を考えている――「2018年はAIの民主化元年」とGartnerが予想仮想アシスタントやディープラーニングがAIの普及を後押し

Gartnerは、「2018年はAIの民主化元年となり、これまでよりはるかに幅広い企業や政府機関がAIを利用するようになるだろう」との見通しを明らかにした。

» 2017年12月21日 11時00分 公開
[@IT]

 調査会社のGartnerは2017年12月19日(米国時間)、「2018年は人工知能(AI)の民主化元年になる。これまでよりはるかに幅広い企業や政府機関がAIを利用するようになるだろう」との見通しを公式ブログで明らかにした。

 Gartnerのリサーチディレクターを務めるチラグ・ディケート氏は、「2018年を通じて、AIの性能は向上し続けるだろう。ユーザーは、クラウドオフィススイートや、Amazon AlexaやSiriのような『ディープニューラルネットワーク』(DNN)ベースの仮想アシスタントなど、AI機能が組み込まれたアプリケーションやプラットフォームを入手しやすくなる。また製品やサービスのインテリジェント会話インタフェースの普及が進むだろう」と予測する。

 Gartnerによると、AIの取り組みは、2018年におけるCIO(最高情報責任者)の最優先課題の上位5つに入っている。98カ国3160人のCIOを対象とした同社の最新調査では、既に25%のCIOが、AIの取り組みを試験的に行っているか、短期的な取り組み計画を持っている。中期または長期計画を持っているCIOも全体の21%に達していることが分かった。

2018年におけるAIの取り組み動向(出典:Gartnerのブログ)

 「企業は2018年には、『AIは何に最適か』『どのようにAIを導入すべきか』について理解を深めようとする。2020年には85%のCIOが、購入、自社構築、アウトソーシングを組み合わせて、試験的にAIプログラムの取り組みを進めるだろう」(ディケート氏)

 だがGartnerは、現在のAIの取り組みには課題があり、CIOはそれらを克服する必要があると指摘する。同社は課題として、「品質の低い、あるいは不確かなデータを扱っている企業が多い」「AIのスキルを持った人材が社内にわずかしかいない」「CIOが新しいAI技術の機能をなかなか理解できない、あるいはAIの生産的なユースケースをなかなか見つけられていない」ことを挙げている。

 その一方でGartnerは、DNNがAIの新たな可能性を広げているとも述べている。DNNのアーリーアダプターの多くが、技術のプロトタイピングと共有に積極的で、後続の企業にとって参考にしやすいAI活用の成功事例が出てきていることを指摘している。

 今後3年間に多くのソフトウェアベンダーやクラウドプロバイダーが、DNN機能を製品に統合し、その結果、AIプロジェクトの複雑さや障害が軽減されるだろう、とGartnerは予想している。

 さらに同社は、Amazon.com、Google、IBM、Microsoftのような大手クラウドサービスプロバイダーが近い将来、堅牢(けんろう)な機械学習環境や、APIベースのサービスを提供すると予想している。企業はこれらを利用して、詐欺検知や、顧客解約予測、高精度のマーケティングといった重要なユースケースに、機械学習機能を迅速に統合できるようになるという。

 Gartnerは、AI人材の不足について、今後3年間で大幅に緩和されるとの見通しも示している。多くの大学がAIコースを提供、拡充しているからだ。

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