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NVIDIA、AI自動運転プラットフォーム「NVIDIA DRIVE」の機能安全技術の詳細を発表問題発生時も安全に稼働する自動運転車を開発可能

NVIDIAは、AI自動運転車プラットフォーム「NVIDIA DRIVE」の機能安全アーキテクチャの詳細を発表した。オペレーター、環境、システム関連の問題発生時も、車両の安全稼働を実現するとしている。

» 2018年01月12日 11時00分 公開
[ITmedia]

 NVIDIAは2018年1月10日(米国時間)、同社のAI自動運転車プラットフォーム「NVIDIA DRIVE」の機能安全アーキテクチャの詳細を発表した。このプラットフォームは、オペレーター、環境、システムに関連する問題が発生した場合も含めて、冗長化と多様化を通じて車両の安全稼働を実現する。

 自動車メーカーはNVIDIA DRIVEにより、機能安全が確保され、「ISO 26262」などの国際安全規格に準拠した自動運転車や自動運転トラックを開発できる。

 NVIDIA DRIVEは、安全を実現する包括的なプラットフォームであり、その中には以下のようにプロセス、技術、シミュレーションシステムなどが含まれる。

プロセス

 自動運転システムで安全を実現するための設計、管理、ドキュメントの方法論を確立するためのステップを定めている。

プロセッサ設計とハードウェア機能

 多様なプロセッサを採用し、問題発生時も稼働する機能を実現する。その中には、「NVIDIA DRIVE Xavier」に関連するNVIDIAの設計によるIPが含まれている。NVIDIA DRIVE Xavierは、高い品質基準と安全基準に基づいてCPUおよびGPUプロセッサ、ディープラーニングアクセラレーター、ISP(Image Signal Processor)、「PVANet」、ビデオプロセッサを統合している。メモリとバスクロックのロックステップ処理およびエラー訂正コードや、テスト機能も備えている。

 NVIDIAは、ASIL(Automotive Safety Integrity Level)-CランクのNVIDIA DRIVE Xavierプロセッサと、適切な安全ロジックを持つASIL-Dランクの安全マイクロプロセッサにより、ASIL-Dランクの安全なシステムを構築できるとしている。

NVIDIA DRIVE Xavier(出典:NVIDIA)

ソフトウェア

 主要パートナーの先進的な安全技術を融合させている。システムソフトウェアの「NVIDIA DRIVE OS」は、「BlackBerry QNX」の64bitリアルタイムOS(ASIL-D認定済み)と、TTTechの安全アプリケーションフレームワーク「MotionWise」を統合し、リアルタイムコンピューティング機能を提供する。MotionWiseは、各アプリケーションをカプセル化し、相互に分離する。

 またNVIDIA DRIVE OSは、自動車システムアーキテクチャ兼アプリケーションフレームワーク「AUTOSAR Adaptive Platform」をフルサポートする。「CUDA」(Compute Unified Device Architecture)コンパイラや「TensorRT」などのNVIDIAのツールチェーンは、ISO 26262のツール分類レベルを利用して、安全で堅固な開発環境を確保している。

アルゴリズム

 自律車両ソフトウェアスタック「NVIDIA DRIVE AV」は、エゴモーション、知覚、ローカライズ、経路計画といった機能を実行する。問題発生時も稼働する機能を実現するため、各機能は冗長化および多様化に対応している。例えば、知覚の冗長化はフュージングレーダー、カメラ、レーダーによって実現する。CPU、CUDA、GPU、DLA(Digital Learning Asset)、PVANetで動作するディープラーニングコンピュータビジョンのアルゴリズムが、冗長化と多様化を促進する。

 NVIDIA DRIVE AVスタックは、自動車メーカーが開発した自動運転スタックのフルバックアップシステムである。レベル5自動運転車を実現し、最高レベルの機能安全を確保する。

仮想現実シミュレーション

 自動運転車は、最先端技術を活用した極めて複雑なシステムだ。性能限界や誤操作、誤使用などを考慮した上でシステムが設計通りに稼働する「SOTIF」(Safety Of The Intended Functionality)を証明するのは非常に困難だ。しかも、この証明は、幅広い状況や気象条件の下で行わなければならない。ロードテストでは、制御性、反復性、徹底性、迅速性が不十分であるため、リアルなシミュレーション環境が欠かせない。

 NVIDIAは、希少な条件を想定してDRIVEプラットフォームのテストやシミュレーションを行うために、仮想現実シミュレーター「NVIDIA AutoSIM」を開発した。NVIDIA AutoSIMは、スーパーコンピュータ「NVIDIA DGX」で動作し、リグレッション(回帰)テストに対応した。反復が可能であり、いずれは数十億マイル(数百万キロ)の走行シミュレーションが可能になる見通しだ。


 NVIDIAの創業者でCEOのジェンスン・ファン氏は、次のように述べている。

 「安全は、自動運転車で最も重要な機能だ。自動運転車は、故障時でも安全稼働が要求される。この機能安全プラットフォームへのNVIDIAの投資は、われわれがこれまでに行ってきた中で最も重要な投資の1つだ。このプラットフォームは、自動車メーカーが自動運転車を市場に投入するのに不可欠な要素を提供する」

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