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» 2018年01月17日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(37):ザッカーバーグになりたくても、たぶん無理――夢も目標もない私はダメ人間ですか? (2/3)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]

夢や目標があるのは全体の2割?

 そもそも、経験値が少ない中高生に「明確な夢や目標が描けるのかな?」と、個人的には思います。もちろん、「部活で金メダルが欲しい」「将来○○になりたい」と描ける子はいます。けれども、少なくとも私には描けなかった……。

 というより、そもそも「夢や目標を持て!」と子供に言うどれだけの大人が、夢や目標を明確に描けているのでしょうか。「健康に過ごせたらいいな」「ずっとコードを書いていたいな」ぐらいの、フワッとした言い方ならできるかもしれませんが、「私の目標はこれだ!」と、身近な子供や周りの人に、大きな声で言えますか?

 人々が集団やグループを構成すると、「上位2割が優秀な人、6割が普通の人、2割がパットしない人に自然発生的に分類される」という経験則「2:6:2の法則」があります。明確な夢や目標を描けているのは、ひょっとしたら上位2割ぐらいの人なのかもしれません。

 だからといって、「残り8割はダメなのか?」といったら、そんなことはありません。

 人には、最初から明確な目標が見えていて、それに向かって努力する「先行型」と、さまざまな経験を重ねる中で見えてくる「後追い型」がいます。私は断然、後追い型です。

 以前、「5年後をイメージできないエンジニアのための『目標の立て方』」という記事で、目標を立てるのが得意な人と、そうではない人の特徴について触れました。人には物事を視覚(イメージ)で捉えるのが得意な「ビジョン型」と、聴覚や身体感覚で捉えるのが得意な「感覚型」がいます。ビジョン型は「なりたい姿(夢、目標、ゴール)」をイメージするのが得意で、感覚型は「なりたい姿」よりも、どちらかといえば「ありたい姿(気分や自身の状態)」を描く方が得意です。私は感覚型です。

 このように見てみると、夢や目標を「今、持っている人」「持ちたいけど今、持てていない人」「そもそもいらないと思っている人」など、いろんなタイプがいるのです。

 先のイベントで私は中高生にこう伝えました。

 「今、夢や目標を持っている人は、それはそれですばらしい。けれども、夢や目標がなくても大丈夫。今、置かれた環境で一生懸命取り組めば次第に見えてきます。そのためにも、『これって大事だな』という気付きや、『これってちょっとおかしいな』という違和感を大切にしてください」

2つの目標「なりたい姿」と「ありたい姿」

ウォズのようなスーパーエンジニアになりたいなあ

 この話、中高生だけではなく、エンジニアにも同じことが言えます。

 2018年、新しい年を迎えました。夢や目標を設定する絶好の季節です。でも、そもそも「夢や目標がない」「やりたいことが分からない」という人もいるでしょう。そして、例年「今年こそ資格を取る」「ダイエットする」のような目標を立てるも、3日ボウズで終わる……という日々を繰り返していませんか。

 あるいは、「ウォズのようなスーパーエンジニアになりたい」「ザッカーバーグのようにITで一発当てるぞ!」みたいな夢を描いていませんか。まぁ、描くのは自由ですけど、たぶん無理。なぜなら、それは「自分の夢や目標」になっていないから。

 本来、夢や目標というのは、「やりたいことは何だろう?」と頭の中で「考えて」設定するというよりも、「こうなったらうれしいよなー」「あー、自分はこのために仕事をしているんだなぁ」としみじみ思え、内面から出てくるような、身体感覚を伴うものではないでしょうか。

 それがない中で、「これを実現したい」と頭の中だけで設定しても長続きしないし、「これが本当にやりたいことなのかな」と迷ってしまいます。ましてや、経験値が少ない場合は特にそうでしょう。他人をまねた夢や目標を描いたところで「絵に描いた餅」です。

 でも、何かしらの「こうだったらいいな」は持っていたいですよね。

 そこで、もし、夢や目標がない、分からない場合は、夢や目標といった未来の「なりたい姿」ではなく、「いい気分」「いい感じ」といった「今」に目を向けてみませんか。

 あなたが今「ありたい姿」を目標に設定してみてはどうでしょうか。

 「なりたい姿」は、自分を現在に置いて、未来を考えるイメージ。現在と未来に距離があります。一方、「ありたい姿」は、現在の自分の状態をより良くするイメージ。現在と未来に距離がなく、身体感覚を伴っています。「未来」のビジョンは具体的に描けなくても、「今」「どういう状態でありたいか」なら、比較的描きやすいでしょう。

 「ありたい姿」とは、例えば「理想通りのコードが書けて『オレ(ワタシ)って天才!』と興奮している」「自分が関わっていたプロジェクトがうまくいっていい感じ」「お客さまに『ありがとう』と言われてうれしい」というような状態です。一言で言えば「いい気分」とか「いい感じ」とか。

 未来のビジョンを描いて「いつまでに○○を実現する」のように、それを明確な数値目標にしたり、タスクに分解してステップバイステップでロジカルにこなしたりするのとは少し異なるかもしれませんが、「いい気分」「いい感じ」というのも、目標にしてよいのではないでしょうか。

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