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» 2018年02月20日 05時00分 公開

WindowsとOfficeのサポートポリシーがまたまた変更?――次期Office「Office 2019」のサポートは……山市良のうぃんどうず日記(120)(2/2 ページ)

[山市良,テクニカルライター]
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Officeの次期バージョン、Office 2019はWindows 10のみをサポート

 Windows向けのOfficeの次期バージョンは「Office 2019」となり、2018年下半期にリリースされることが発表されました。また、そのシステム要件として、以下のWindowsがサポートされることが明らかにされました。

(1)サポート期間中のWindows 10(SACリリース)

(2)Windows 10 Enterprise 2018 LTSC(LTSCリリース)

(3)Windows Serverの次期バージョン(LTSCリリース)


 1つ目は、Office 2019がリリースされた時点でSAC、つまり「半期チャネル」または「半期チャネル(ターゲット指定)」でサポートされているWindows 10のバージョンということです。2019年下半期ですから、Windows 10 バージョン1703がサポート対象となるか否かは、Office 2019のリリース時期に依存します。Windows 10 バージョン1709以降であれば確実にサポートされるでしょう。

 2つ目は、ボリュームライセンスで提供される、新機能が追加されない長期固定化バージョンである「Long Term Servicing Channel(LTSC)」(旧称、Long Term Servicing Branch:LTSB)」の要件です。現状、LTSCリリースとしては、Windows 10 Enterprise 2015 LTSBと2016 LTSBの2バージョンがリリースされていますが、Office 2019はこれらをサポートしません。2018年秋にリリース予定のWindows 10 Enterprise 2018 LTSCをサポートします(後述しますが、2020年1月14日以降、Office 2019バージョンのOffice 365 ProPlusではWindows 10 LTSCリリースがサポートされなくなり、永続ライセンス製品のみ使用できます)。

 従来型のサポート(メインストリーム5年+延長サポート5年)が提供されるLTSCリリースは、安定稼働が求められる企業のクライアントOSとしては魅力的に見えるかもしれません。しかし、LTSCリリースは「Microsoft Edge」や「Cortana」、ビルトインストア(UWP)アプリ(メール、カレンダー、ストアなど)を搭載せず、更新で新機能が追加されることがない(品質更新プログラムのみで、機能更新プログラムが提供されません)、業務専用端末(表示/入力専用端末、医療機器の制御、デジタルサイネージ、ATMなど)向けのWindows OSです。そもそも、Officeサブスクリプションのような、新機能が次々に追加される生産性アプリケーションの利用を想定していません(画面1)。

画面1 画面1 現在最新のLTSCリリースは、Windows 10 Enterprise 2016 LTSB。Windows 10 バージョン1607ベースで同等の機能を持つが、Microsoft Edge、Cortana、ビルトインアプリ、機能更新プログラムは提供されない

 3つ目は、Windows Serverのシステム要件です。Windows Server 2016以前はサポートされません。LTSCの次期バージョンがサポートされます。なお、2017年秋より、Windows Serverについてもソフトウェアアシュアランス(SA)契約に基づいて、Semi-Annual Channel(SAC)の提供が始まりました。

 現状、Windows Server バージョン1709がリリースされていますが、Windows ServerのSACリリースについてはOfficeのサポート対象外です。その理由は、Windows ServerのSACリリースは、Officeアプリケーションを動かすためのGUI(デスクトップエクスペリエンス)機能を提供しないからです。

 今回のアナウンスでは、Office 2019の提供形態とサポート期間に関しても、従来と異なる部分が明らかにされています。

  • クイック実行(Click-To-Run:C2R)版のみで提供。Windowsインストーラー(MSI)版は提供されない
  • メインストリームサポート5年、延長サポート2年で、Office 2016と同じ2025年10月にサポート終了

 Office 2013以降、Officeアプリケーションの提供形態は従来のMSI版と、新しいC2R版の2種類ありました。リテール製品、OfficeサブスクリプションのどちらもC2R版で提供されており、MSI版は一部のボリュームライセンス製品に限られていました。Office 2019からは、MSI版が廃止になるということのようです。サポート期間の短縮は、Officeサブスクリプションへ移行してもらいたいという思惑がうかがえます。

 今回のアナウンスを踏まえて、以下の表1にWindows/Windows Serverのサポート終了日と、Officeバージョンのシステム要件の対応をまとめました。Windows 10の各バージョンの“命の儚さ”が目に見える一覧になりました。

表1 表1 Windows 7/8.1/10/Windows Serverのサポート終了日と、Officeのサポート状況のまとめ(△は明確ではない部分)

Windows 7サポート終了のタイミングでOffice 365 ProPlusのシステム要件が変更に

 今回のアナウンスでは、Windows 7のサポート終了のタイミングに合わせた「Office 365 ProPlus」のシステム要件の変更についても言及されています。このアナウンスでOfficeサブスクリプションのことをOffice 365 ProPlusと表現しているのか(そういう使い方をすることがよくあります)、Office 365 Soloなど、他のOfficeサブスクリプションと区別しているのかはっきりしません。

 基本的に、リテール製品やボリュームライセンス製品は永続ライセンスなため、新機能は追加提供されません。一方、Officeサブスクリプション製品は、Windows 10とそろえられたSemi-Annual Channel(半期チャネル)で、新機能の追加を含む更新バージョン(ビルド)や新バージョン(Office 2016からOffice 2019)が提供されます。Office 365 ProPlusは、Officeサブスクリプションの中でも、特に企業向けのプラン(Office 365 Enterprise E3/E5など)です。

 Windows向けのOfficeアプリケーションには、リテール製品(プリインストール製品を含む)とOfficeサブスクリプション製品(Office 365 ProPlus)、そしてボリュームライセンス製品があります。

 現在、サポートされているOfficeバージョンは、Office 2010/2013/2016の3バージョンです。OfficeサブスクリプションのOffice 365 ProPlusは、現在、Office 2016バージョンのみをサポートしており、Office 365ポータルからはOffice 2016の新規インストールだけが可能です(画面2)。

画面2 画面2 本稿執筆時点(2018年2月下旬)では、OfficeポータルからはOffice 2016バージョンのみをインストールできる。Office 2013バージョンの更新は引き続き提供中

 ただし、既にインストール済みのOffice 2013があり、Office 2016バージョンに更新していない場合は、「2023年4月11日」までOffice 2013に対する更新プログラムの提供が行われます。

 今回のアナウンスでは、Windows 7のサポートが終了する2020年1月14日以降、Office 365 ProPlusではSACリリースのサポート対象のWindows 10のバージョンと、Windows ServerのLTSCリリースの次期バージョン以降のみが対象となります(表2)。

Windowsバージョン Office 365 ProPlusのサポート
2020/01/14まで 2020/01/14から
Windows 7 ○(Office 2016のみ) ×
Windows 8.1 ○(Office 2016のみ) ×
Windows 10 SACバージョン(サポート中のバジョン) ○(Office 2016/2019) ○(Office 2016/2019)
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB/2016 LTSB ○(Office 2016のみ) ×
Windows 10 Enterprise 2018 LTSC以降 ○(Office 2016/2019) ×
Windows Server LTSC 2016以前 ○(Office 2016のみ) ×
Windows Server LTSC 2016の次バージョン ○(Office 2016/2019) ○(Office 2016/2019)
Windows Server SAC × ×
表2 2020年1月14日以降、Office 365 ProPlusのシステム要件が変更になる

 Office 2013/2016/2019のシステム要件でサポートされていても、それ以外はサポートされなくなるということです。例えば、Windows 8.1はサポートされませんし、LTSCリリースはバージョンに関係なくサポートされなくなります。サポート対象外となった環境に対して、2020年1月14日以降も更新プログラムが提供されるのか(現在のOffice 2013バージョンのOffice 365 ProPlusへの更新プログラムの提供のように)、それとも終了してしまうのか、今回のアナウンスからは判断できません。

 また、Windows Serverの「リモートデスクトップサービス(RDS)」およびWindows 10 Enterpriseを集中的に実行する仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)向けに、Office 365 ProPlusの展開をサポートする新しい機能が年内に提供される予定についても触れられています。

 現状、Office 2016バージョンのOffice 365 ProPlusは、Windows Server 2008 R2〜2016のRDS環境、およびこれらの仮想化ホスト上のWindows 7/8.1/10 Enterpriseの共有仮想デスクトップを実行するVDI環境への展開がサポートされていますが、これとはまた別に、Office 365 ProPlusおよびWindows 10 EnterpriseのSACリリースに対応した新しい機能が用意されるようです。

 なお、これはOfficeサブスクリプション製品の話であり、永続ライセンスであるリテール製品とボリュームライセンス製品のことと混同しないようにしてください。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


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