2018年のモビリティーソリューション支出は3.2%増の1.6兆ドル超に、その後も成長傾向:IDC予測消費者支出が全体の70%以上、年間1兆ドル超だが2019年以降は伸び悩み

2018年に世界モビリティーソリューション市場は前年比3.2%増の1.6兆ドル強となり、2021年には1.7兆ドルを超える見通しだ。

» 2018年03月14日 08時00分 公開
[@IT]

 IDCは2018年3月12日(米国時間)、世界のモビリティーソリューション(モビリティー関連のハードウェア、ソフトウェア、サービス)支出動向に関する2021年までの予測を発表した。それによると、2018年は前年比で3.2%増加し、1.6兆ドル超となる見通しだ。IDCは、こうした成長が今後も続き、2016〜2021年のモビリティーソリューション市場の年平均成長率が2.8%となり、2021年の市場規模が1.7兆ドルを超えると予想している。

 2016〜2021年の予測期間を通じて、モビリティーソリューション市場で最も大きな割合(60%近く)を占めるのは「モビリティーサービス」で、2021年には1兆ドルを超えると予想されている。モバイル接続サービスがモビリティーサービスの中で90%以上を占めるが、2016〜2021年の予想年平均成長率が15.0%と高いのは、エンタープライズモビリティーサービスだ。このサービスには、モバイル戦略、アプリケーション、モバイルデバイスの計画、実装、オペレーション、メンテナンス、サポートおよびモバイルデバイスによるサービス消費が含まれる。

 モビリティーソリューション市場で2番目に大きな割合を占めるのは「モバイルハードウェア」で、2021年の支出額は6750億ドル近くに達する見通しだ。2016〜2021年を通じてスマートフォンがその75%程度を占めると予想されている。同期間のノートPC支出の予想年平均成長率は1.5%と低く、タブレット支出はマイナス1.9%と減少する見込みだ。

 「モバイルソフトウェア」は、モビリティーソリューション市場に占める割合がモビリティーサービス、モビリティーハードウェアより小さいものの、2016〜2021年の予想年平均成長率は14.7%で最も高い。モバイルソフトウェア支出全体の中でモバイルエンタープライズアプリケーションは、最大の割合を占め、2021年の売上高が71億ドルと予想されている。企業が進めるモバイル開発の取り組みを背景に、モバイルアプリケーション開発プラットフォームの支出も、2016〜2021年に年平均19.5%のペースで増加する見通しだ。モバイルソフトウェアに含まれる他の2つのセグメント(モバイルエンタープライズセキュリティエンタープライズモビリティー管理)も、この間の予想年平均成長率が2桁に達すると予想されている。

モビリティーソリューション市場の中で2016〜2021年に成長率の高いセグメント(出典:IDC)

 モビリティーソリューション市場を消費者向けと企業向けに分けると、消費者向けセグメントが2016〜2021年を通じて全体の70%以上を占め、年間1兆ドルを超えると予想している。支出の主な内訳は、モバイル接続サービスとスマートフォン端末だ。消費者支出は2019年から大きく減速し、年間成長率は1%を割り込み、2016〜2021年の年平均成長率は1.6%にとどまる見通しである。

 企業向けセグメントについて見ると、2018年のモビリティーソリューション支出が多い業種の上位は、専門サービス(450億ドル近く)、銀行(430億ドル)、組み立て製造(380億ドル)、小売り(320億ドル)だ。どの業種も、主な内訳、はモバイル接続サービスとデバイス(スマートフォンやノートPCなど)となっている。

 またエンタープライズモビリティーサービスは、企業がモバイル戦略の実行に当たってサービスを利用するため、支出額が大きいカテゴリーの1つだ。さらに、銀行と組み立て製造の両業種はそれぞれ、2018年にモバイルエンタープライズアプリケーションおよびモバイルアプリケーションへの投資が10億ドルを超える見通しだという。

 2016〜2021年のモビリティーソリューション支出の予想年平均成長率が高い業種は、専門サービス(7.0%)、通信(6.9%)、公共サービス(同じく6.9%)だ。

 国別では、2016〜2021年を通じて米国中国がそれぞれ、モビリティーソリューション支出全体の20%程度を占め、2大市場となる。これに西欧アジア太平洋(中国と日本を除く)が続く。2016〜2021年のモビリティーソリューション支出の予想年平均成長率が高い国は、フィリピン(8.1%)、インド(7.4%)、ペルー(7.1%)だ。

 企業規模別に見ると、大企業(従業員500〜999人)と超大企業(従業員1000人以上)は、モビリティーソリューション支出の合計が2018年の1900億ドルから、2021年には2300億ドル近くに増える見通しだ。小企業(従業員10〜99人)の2021年のモビリティーソリューション支出は1000億ドル超、中企業(従業員100〜499人)は900億ドル超、小規模オフィス(従業員1〜9人)は780億ドルと予想されている。

 IDCのエンタープライズモビリティー担当プログラムディレクターを務めるフィル・ホックマス氏は、次のように説明する。

 「新しいモビリティーユースケースの登場や、企業におけるモビリティー技術の導入が、モビリティーソリューション市場のデバイス、ソフトウェア、サービスという全セグメントの成長をけん引している。デバイスの機能は、今後も拡張現実(AR)や人工知能(AI)、そして近い将来に展開される5Gネットワークによって進化を続ける。モビリティー技術の選択はますます複雑になり、ビジネスの成功にとって重要になるだろう」

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