目指すは世界最大級のArmスパコン――HPE、米エネルギー省との共同による「Astra」開発計画を発表総コア数14万5000個以上のデュアルプロセッササーバ2592台で構成

HPEは米エネルギー省および同省サンディア国立研究所と協力し、世界最大級のArmスーパーコンピュータ「Astra」を開発する。

» 2018年06月20日 08時00分 公開
[@IT]
Armスーパーコンピュータ「Astra」のCAD概念図(出典:サンディア国立研究所)

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は2018年6月18日(米国時間)、米エネルギー省および同省サンディア国立研究所と協力し、世界最大級のArmスーパーコンピュータ「Astra」を開発する計画を発表した。

 Astraは、「Vanguard」プログラムの一環として、米国の核兵器、核拡散防止、海軍原子炉プログラムの管理とセキュリティ確保に責任を持つエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が国家安全保障、エネルギー、科学といった分野の高度なモデリングやシミュレーションワークロードに使用する。NNSAはデータ集約型科学実験分析の向上を目指すという。

 Astraは、サンディア国立研究所にデプロイされ、「HPE Apollo 70 System」で動作する。このハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)専用プラットフォームは、CaviumのArmプロセッサ「Cavium ThunderX2」を搭載する。Astraは、総コア数14万5000個以上のデュアルプロセッササーバ2592台で構成され、2Uフォームファクタで4コンピュートノードという高密度を実現する。

 Astraは、最適なパフォーマンスを提供するために、HPEの以下の技術も採用している。

  • HPE Message Passing Interface(MPI):高パフォーマンスMPIライブラリ
  • HPE MCS-300 Cooling Unit:省電力型の液体冷却システム
  • HPE Performance Cluster Manager:HPEとして初のHPCクラスタ向け統合型システム管理ソフトウェア
  • HPE Apollo 4520 System:高パフォーマンスのオールフラッシュストレージソリューション

 Astraを含むHPC分野では、研究や発見のプロセスを加速するために、エクサスケールのスーパーコンピューティングシステムの世界的な開発競争が繰り広げられている。

 米エネルギー省はその有力な競争者だ。初のエクサスケールシステムの実現目標時期を2021年に前倒しし、必要なパフォーマンス、メモリ、スケーラビリティをサポートできる多様なアーキテクチャに投資している。

 HPEはArmのような新しいプロセッサを、x86ベース技術の牙城だったHPCエコシステムに導入し、エクサスケールの実現プロセスを加速させながら、次世代スーパーコンピュータを支える包括的な選択肢を提供できる多様なネットワークを構築している。

 また、HPEは急速に増大しているデータ集約型のHPCワークロードをサポートするメモリ中心型設計を実現しようとしている。さらに、Astraと将来のシステム基盤となる堅牢なArmベースHPC技術を提供することで、高パフォーマンスサーバの高密度化も実現しようとしている。

 HPEは、同社のエクサスケールシステムの実現を担うAstraにより、理論上のピーク性能として2.3PFLOPS(ペタフロップス)を提供する計画だ。これは、市場で従来提供されてきた製品より33%高いメモリ性能に相当する。Astraは従来より高いシステム密度も提供する。

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