Windows 10のWaaSが中小企業に与える影響、ノークリサーチが調査OS依存度を下げる企業が多い

ノークリサーチは、Windows 10で導入された「サービスとしてのWindows」が中堅中小企業のPC環境に与える影響について調査結果を発表した。業務システムのWeb化などでOS依存度を下げる取り組みが多く、デスクトップ仮想化や他のOSの導入など、PC環境の大幅な変化を伴う取り組みはごく一部に限られた。

» 2018年07月26日 11時30分 公開
[@IT]

 ノークリサーチは2018年7月25日、Windows 10で導入された「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」が中堅中小企業のPC環境に与える影響について調査結果を発表した。有効回答件数は700社。それによると、WaaSはPCの管理や運用の変化を伴い、SIerにとって市場を活性化する契機になりうるとしている。

 WaaSとは、従来のサービスパックの提供やバージョンアップに代えて、セキュリティ更新や不具合の修正を含む「品質更新プログラム」(毎月1回以上)と、新機能を含む「機能更新プログラム」(年2回)を継続的に提供するというWindows 10で示された方針。これによって、Windows 10は6カ月ごとにアップデートされるとともに(アップデート延期も可能)、サポート期間は各機能更新プログラムの提供後18カ月となった。

 こうしたWaaSに向けた取り組み状況を中堅中小企業の年商別に見ると、WaaSを認知している割合(用語を知っている、内容を理解している、対策を実施している)は、年商5億円未満で約6割、同5億〜500億円未満では約8割だった。認知率は高いが、「何らかの対策を実施している」と答えた割合は、年商別にばらつきはあるものの、2〜5割にとどまった。

サービスとしてのWindowsに向けた取り組み状況(出典:ノークリサーチ

 一方、WaaSをユーザー企業の視点で見ると、メリットとデメリットの2つの面がある。そこで、Windows 10のメリットや導入に関する課題を尋ねた。

 メリットと考えられる機能や特徴で、回答割合が最も多かったのは「ネットワーク経由の更新で、新たな機能が追加される」の28.9%。次いで、「画面の操作が使い慣れた従来のWindowsに近い」の27.0%、「従来のWindowsと比べて、起動や動作が速い」の18.4%だった。

 これに対して、Windows 10の導入に関する課題として回答割合が最も多かったのは、「必要のない機能が更新によって追加されてしまう」の36.1%だった。次いで、「既存のPCでは起動や処理が遅くなる」の16.1%、「互換性の検証作業に時間と費用がかかる」の13.4%だった。

 今回の調査では、WaaSに対するシステム面での対策についても聞いている。いずれの年商帯でも、「重要な業務システムをサーバ上で稼働させる」や「重要な業務システムをWebアプリケーションにする」という回答が多かった。

 つまり、サーバ移行やWebアプリケーション化によってOSへの依存度を下げようとする取り組みが多く、デスクトップの仮想化やWindows以外のOSを選ぶといった、PC環境そのものを変えてしまう取り組みは少なかった。ノークリサーチでは、業務システムのサーバ移行やWebアプリケーション化を訴求したいSIerにとっては、WaaSが契機になる可能性があると分析している。

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