連載
» 2018年08月22日 05時00分 公開

Google Cloud Next ‘18発表まとめ(5):AIによる支援をはじめとした、G Suiteにおける機能の進化

Google Cloud Next ’18における発表を解説する本連載。今回はG Suiteに関する多数の新機能および機能強化を整理して紹介する。

[塚本翔太,吉積情報株式会社]

 Google Cloudが2018年7月24日からサンフランシスコで開催したカンファレンスGoogle Cloud Next ‘18では、 Google Cloud Platform(GCP)に加え、G Suiteについてさまざまな新機能が発表された。

 G Suiteは400万社以上の企業で利用されていて、月間アクティブユーザー数は14億人を超え、前年比の伸び率は175%という。

 G Suiteに関する講演でGoogle Cloudは、「Secure」「Smart」「Simple」の3つが特に重要であると強調していた。セキュリティは当然ともいえるが、「シンプルで使いやすく、ユーザーが何かをしたいと思ったときに、AIを駆使して即座に実行できること」を目指しているという。以下に、Google Cloud Next ‘18におけるG Suite関連の発表内容をまとめた。

G SuiteのAI機能が進化

 Googleは10億人を超えるユーザーに対し、検索エンジンをはじめ、YouTube、Google Photo、Google Driveなどのサービスを無償で提供し、いち早くデータを集め、機械学習に取り組んできた。AIの世界ではデータを多く持っていることが精度を高める前提条件となっており、 Googleはこれを実践してきた。 これを活用したG SuiteのAI機能について紹介する。

GmailのSmart Reply

 Smart ReplyはGmailの新機能で、GoogleのAIが自動的に返信候補を提案してくれる。この機能を利用すれば、スマートフォンからでも手間なく返信できる。例えば、部下から「資料を修正したので確認をお願いします」というメールが来た場合、「OKです」「だめです」「ちょっと待って下さい」などの返信内容に関する候補が提示され、いずれかを選択するだけですぐに返信できる。また、これまで Gmailのみの対応だったが、 Hangouts ChatにもSmart Replyがリリースされるという発表があった。

GmailのSmart Compose

 Smart Composeは、上記のSmart ReplyをAIによってさらに強化した機能。メールの文章を作成する際、ユーザーがどんな文章を作成するのかを予測し、バッググラウンドで候補を提案してくれる。ユーザーはその提案を気に入れば、TABキーを押して次の文章の作成に取り掛かることができる。

 Smart Composeはつづりや文法上の誤りを減らしつつ、定型文を作成してくれるスマートな機能といえる。この機能があれば、Googleが文章を予測してメールの作成を手伝ってくれる。今後数週間で機能をリリースしていく予定だが、日本でいつから利用可能となるかは、執筆時点では未定。

Googleドキュメントの Grammar Suggestions

 英語に自信がないユーザー必見の文法チェック機能が、Googleドキュメントに登場した。AIの翻訳に基づくGoogle独自のアプローチを使用し、文法上の誤り、誤字を認識して、修正文を提案してくれる。

 こちらは英語版のみ利用可能で、正式なリリース日は未定。この機能により、文法や誤字などはAIに任せてしまい、ユーザーは文章の内容を考えることに集中できるようになる。「Early Adopter Program(EAP)」と呼ばれる早期導入プログラムで、申し込みを受け付け中

Cloud Searchの新機能

 Cloud Searchは、G Suite Business以上のプランを契約しているユーザーが利用できる機能。従来は、 G Suite上に保存されているデータ(スプレッドシート、ドキュメント、スライド、連絡帳)を横断して検索ができるサービスとして提供されてきた。

 Google Cloud Next ’18では、この機能を拡張し、 G Suite以外のコンテンツにCloud Searchの横断検索を適用していくことが発表された。サードパーティーのサービスと連携し、G Suiteと、他のクラウドやオンプレミスのデータを一括検索できるようになる。

 この新機能の日本における提供始時期は執筆時点では未定。

G Suite のセキュリティ向上

 セキュリティセンターは、実践的な洞察、セキュリティ分析、ベストプラクティスの推奨事項をまとめ、組織やユーザーのデータを守るツール。Google Cloud Next ’18ではセキュリティセンターで、新たな調査ツールが発表された。

 この新ツールは、セキュリティセンターにおける予防・検出機能に統合的な改善を加えたもの。管理者は感染の可能性のあるユーザーを特定し、Google Driveで外部に共有しているファイルがあるかどうかを確認し、アクセス権を削除するなどができるようになる。ログの分析などで複雑なスクリプトを作成する必要がなく、ユーザーインタフェース上から操作でき、誰でも簡単にセキュリティの脅威を発見できるようになっている。このサービスはG Suite Enterpriseのみが対象となり、早期導入プログラムの申し込みを受け付け中。日本での提供開始時期は、執筆時点では未定。

新しいGmailの発表

 新しいGmailでは、「スヌーズ」「リマインド」「オフライン」の機能が発表された。

スヌーズ機能

 メールの表示を遅らせ、必要になるまで受信トレイから非表示にできる。「明日」「来週」など、メールを確認できる都合の良いタイミングを指定しておくと、そのタイミングに受信トレイの最上部にメールが表示される。

リマインド機能

 メールの返信漏れを防止してくれる機能。見逃している可能性のあるメールに、「3日間返信していませんが大丈夫ですか」と知らせてくれる。

オフライン機能

 G Suiteは端末に依存しない、完全にブラウザベースのサービスだが、インターネットに接続できない環境だと、何もできなくなってしまうという弱点がある。新しいGmailでは、この問題が解決されます。Chromeブラウザ(v61以降)であれば、インターネットが接続できなくても作業できる。オフラインであっても最大90日間のメッセージの検索、書き込み、削除およびアーカイブが可能。新しいGmailは日本のユーザーも利用できる。設定方法についてはこちらを参照していただきたい。

G Suite向けのデータリージョンの拡張

 G Suiteのデータの保存先として、米国と欧州が選択できるようになった。これはG Suite Business以上のプランを対象としたサービス。Gmail 、カレンダーの予定、 Google Driveのデータが対象となる。データリージョンの選択は日本のユーザーも利用できる。設定方法についてはこちらを参照していただきたい。

Hangouts Meet用デバイスにボイスコマンド導入

 Google Assistantなどで使われているAIの音声解析機能を搭載した「Voice Command for Meet」が発表された。これにより、音声コマンドでビデオ会議を始めることが可能になる。Google Cloudは、順次対応音声コマンドを増やしていくと約束しており、今後の動向に期待したい。ボイスコマンド対応デバイスの発売時期は、執筆時点では未定。

G Suite向けGoogle Voiceが発表

 「Google Voice for G Suite」では、G Suiteのアカウントに対して電話番号を割り振ることができる。これにより、ユーザーはデバイスに依存せずに電話を送受信できるようになる。 Google VoiceをHangout MeetやHangout Chatと組み合わせて使用することで、全てのコミュニケーションをG Suiteで行えるようになる。

 同機能は、早期導入プログラムの申し込みを受け付け中。日本での提供開始時期は執筆時点では未定。   

Google Drive Enterpriseの登場

 「Google Drive Enterprise」とは、Goolge Driveのみを切り離して利用可能にしたG Suiteのプラン。料金体系は、基本料金がアクティブユーザー1人当たり月額8ドル、従量課金は保存容量1GB当たり4セントとなる。機能としては、スプレッドシート、スライド、ドキュメント、フォーム、サイトに加え、Vault 、データ損失防止、 BigQuery データアクセス、Appsスクリプト、Cloud Identityを利用できる。Google Drive Enterpriseの登場によって、 Google Driveを導入しやすくなった。これまでは、クラウドストレージだけを移行したい場合であっても、Gmailやカレンダーの移行を同時に考える必要があった。今回の発表により、シンプルにクラウドストレージとして Google Driveを利用できるようになった。

スプレッドシートと BigQueryのデータコネクター

 「BigQueryデータコネクター」を使用し、スプレッドシート内で直接BigQueryのデータにアクセスできるようになった。BigQueryとは、フルマネージドのデータウェアハウスで、SQL文によりログ解析などを簡単に行える。ログをBigQueryに保存しておけば、スプレッドシート上でSQL文を書き、欲しいデータをすぐに集計できる。執筆時点では、早期導入プログラムの申し込みを受け付け中

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