AWS、経済的なバースト可能パフォーマンスインスタンス「T3」を開始低コストでバーストも利用可能

Amazon Web Services(AWS)は「Amazon EC2」で、費用対効果の高いバーストパフォーマンスインスタンス「T3」を提供開始した。

» 2018年08月23日 10時40分 公開
[@IT]

 Amazon Web Services(AWS)は2018年8月21日(米国時間)、アジアパシフィック(東京)を含む12のリージョンで「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」に「T3」インスタンスを提供開始したと発表した。

 T3は汎用インスタンス。オンデマンド料金が0.0052ドル/時間(3796ドル/月)からであり、従来の「T2」インスタンスより費用対効果が高い。AWSによれば現在、「M4」や「M5」インスタンスでワークロードを実行しているものの、コンピュートパワーを持続的には必要としていない場合、T3インスタンスへの移行を検討するとよいという。

 T3インスタンスでは、「無制限バースト」がデフォルトで有効になっており、従来のインスタンスより使いやすい。つまり、非常に低いコストでワークロードをホストしながら、必要な場合には持続可能な高パフォーマンスを引き出すことができる。

 T1やT2の場合と同様に、T3インスタンスではベースライン処理能力が保証されており、より多くの処理能力が必要になった場合、必要な時間にわたって、完全なコアパフォーマンスに透過的にスケールアップできる。

7つのモデルから選択可能

 T3インスタンスは、512bit長の専用レジスタを利用するSIMD(Single Instruction/Multiple Data)演算命令セット「Intel AVX-512」命令セットに対応した2.5GHzのIntel Xeonスケーラブルプロセッサー(Skylake)を搭載し、以下のような7つのモデルを選択できる。

T3インスタンスの7つのモデル

 「仮想CPU別のベースラインパフォーマンス」という列は、インスタンスに割り当てられるシングルハイパースレッドの処理能力の割合を示している。インスタンスはアイドル時にCPUクレジットを蓄積し、稼働時にCPUクレジットを消費する。CPUクレジットは最大7日間保存される。

 T3インスタンスの24時間における平均CPU使用率がベースラインより低い場合、稼働中にCPU使用量が急増するケースがあっても、T3インスタンスの時間当たり料金で全てカバーされる。ただし、インスタンスが高いCPU使用率で長時間稼働した場合には、仮想CPU時間当たり0.05ドルの追加料金が課金される。

 この料金モデルが意味するのは、ニーズに応じて十分なメモリと仮想CPUを備えたT3インスタンスを選択すれば、一時的にCPU使用率が急増したとしても、バーストによって全ての必要な処理性能が提供されると考えてよいということだ。これは、新タイプのアプリケーションを実現する可能性があるユニークな垂直スケーリング方式だ。

 T3インスタンスは「Nitro」システムも採用している。つまり、CPUバーストに加えてネットワークとEBS(Elastic Block Store:ブロックストレージ)バーストもサポートしており、ユーザーは必要な場合に追加のスループットを利用できる。

 ネットワークトラフィックについては、どのインスタンスサイズでも5Gbpsへのバーストが可能だ。EBSバーストでは、インスタンスサイズによって1.5Gbps〜2.05Gbpsが可能で、対応するEBS IOPS(SSD)のバーストも得られる。

 他の現行世代のインスタンスタイプと同様に、T3インスタンスはハードウェア仮想マシン(HVM)のみをサポートしており、Virtual Private Cloud(VPC)内で、Elastic Network Adapter(ENA)ドライバを含むAMI(Amazon Machine Image)を使って起動する必要がある。

 T3インスタンスの提供を開始したのは以下の12リージョン。米国東部(バージニア北部)、米国東部(オハイオ)、米国西部(北カリフォルニア)、米国西部(オレゴン)、カナダ(中部)、欧州(フランクフルト)、欧州(アイルランド)、欧州(ロンドン)、南米(サンパウロ)、アジアパシフィック(東京)、アジアパシフィック(シンガポール)、アジアパシフィック(シドニー)。

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