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» 2018年09月21日 05時00分 公開

Gartner Insights Pickup(77):カスタマーエクスペリエンスをどう測定すればいいのか

カスタマーエクスペリエンスは、幅広い測定指標で総合的に把握する必要がある。個々の指標の改善を積み上げることが全体的な向上につながる。

[Susan Moore, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 Gartnerの調査によると、現在、世界の5000社以上の企業がカスタマーエクスペリエンス(CX)専任のリーダーを置いており、これらのリーダーの40%以上がCEOに直属している。「CEOがCXを直接監督する割合が増えている。このことは、収益におけるCXの重要性を示している。従って、CXを測定する必要性がある」と、Gartnerのバイスプレジデント兼ディスティングイッシュトアナリストであるエド・トンプソン氏は指摘する。

 「カスタマーエクスペリエンスの測定指標にはさまざまな使い方がある。これらの指標は、これまでの投資の妥当性を伝えたり、カスタマーエクスペリエンスが改善されているかを検証したり、今後の改善に向けて目標やターゲット層を設定したり、問題が起きているときに介入して是正措置を講じたりするために利用できる」(トンプソン氏)

 売上高が10億ドル以上の大企業のほとんどは50以上のCX指標を使用しており(200もの指標を使用している企業もある)、これらの指標は社内におけるさまざまな部門のさまざまな役割の従業員による責任下で管理が行われている。

 顧客の維持やロイヤリティーに関する指標は、マーケティングの担当者が責任を持つことが多い。一方、一次解決率(FCR:First Call Resolution)の指標は顧客サービス部門が責任を持ち、リピート注文の指標は財務部門、適時性の指標はサプライチェーンまたはオペレーション部門が責任を持つ。

カスタマーエクスペリエンスを測定する5種類の指標

 多数のCX指標が使われているが、大部分は5つのカテゴリーに分類される。

1.顧客満足(CSAT:Customer SATisfaction)

 ほとんどの企業は、まず顧客満足に関する指標を導入する。この指標には、満足度を明示的に問う調査項目への回答をまとめた指標と、満足度を間接的に示す指標(商品レビューの評価、配送の適時性に関する統計、覆面店舗調査のスコアなど)がある。

2.顧客ロイヤリティー/維持/離反

 これらの指標には、平均顧客維持期間のような事後的なものと、顧客が顧客であり続ける可能性の予測に関わるものがある。後者の例には、購入頻度、複数チャネルの利用、ロイヤリティープログラムへの参加、平均注文規模、リピート注文、返品率などがある。

3.支持/評判/ブランド

 これらの指標は、顧客が商品や企業をどの程度勧めたり、支持したりしようとするかを示す。価格敏感度やソーシャルメディアでの感情スコア、信頼評価、イベント参加といった例がある。

4.品質/オペレーション

 これらの指標は最も過小評価されている。商品やサービスが要件を満たしていなければ、問題を緩和するためにどのような方策が取られても、顧客エクスペリエンスは貧弱なものになってしまう。

5.従業員のエンゲージメント(関与度)

 この指標は、CXに関する取り組みの10%でしか使用されていないかもしれない。Gartnerのある調査は、従業員のエンゲージメントがCXを向上させる上での大きな課題の一つであることを明らかにしている。この調査によると86%の企業が、従業員のエンゲージメントはCXの他の課題と同等以上の影響を及ぼすと考えている。

 企業で使用されているさまざまな指標の中には、クロスセル、アップセル、売上原価、キャンペーン反応率などのように、顧客メリットを全く測定しないものもある。誤った行動を助長しないように、CX指標ではない指標は必ず見分けなければならない。例えば、「CXの取り組みの一環であると誤解して、金融商品を販売する」といったことが起こらないようにする必要がある。

マクロとミクロの視点を併せて考える

 「CSATやネットプロモータースコア(NPS:顧客推奨度)のようなトップレベルの1つのCX指標だけを重視してはならない」と、トンプソン氏は語る。

 全ての関連する指標をカスタマーエクスペリエンスダッシュボードに集約し、一覧できるようにするとともに、従業員のエンゲージメントや品質、満足度、ロイヤリティー、支持といったできるだけ多くの側面をカバーする指標を基に加重指数を算出し、両者を部門間で共有すべきだという。

 例えば、フィールドサービス部門の修理や保守の担当者はコンタクトセンターにおける顧客の平均待ち時間をチェックし、待ち時間が長ければ顧客がイライラしている可能性を予測できる。

 上級経営幹部は、1つか2つの指標で顧客エクスペリエンス全体をまとめて捉えることを好む傾向がある。だが、このアプローチでは、変化を起こすためにどこに力を入れるべきか分からない。

 「トップレベルの1つの指標の改善は、下位レベルのさまざまな指標の改善によって実現する。下位レベルのCX指標に責任を持つ人々が顧客にとってより良い結果を出し、トップレベルの指標の向上に貢献できるようサポートすることが望ましい」(トンプソン氏)

出典:How to Measure Customer Experience(Smarter with Gartner)

筆者 Susan Moore

Director, Public Relations


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