Microsoftは2018年10月3日(米国時間)、リモートデスクトップサービス(Remote Desktop Services:RDS)の最新版となる「RDS 2019」の正式提供を10月2日に開始したと発表した。
RDS 2019は、同10月2日に正式リリースされた「Windows Server 2019」に含まれている。「RDS 2016」の基盤上に構築されており、オンプレミスまたはクラウドに迅速に展開できる。
Microsoftによると、RDS 2019では以下のように「IT管理」「ユーザーエクスペリエンス」「セキュリティ」の3分野を中心に改善を施したという。
IT管理の簡素化
Microsoftはここ数年、顧客からの要望に対応し、「リモートデスクトップ(RD)ライセンスサーバ」の管理と、「Active Directory(AD)」による権限付与の改善に力を入れてきたという。
RDS 2019では、RDSの各種リリースのライセンスを簡単に管理できるようになった。可用性の高いRDライセンスサーバで、Windows Serverの将来のバージョンとの上位互換性を保ちつつ実現した
従業員のライセンス管理が容易になった。RDライセンスサーバがADに直接アクセスすることなく、RDSユーザーのクライアントアクセスライセンス(CAL)をADオブジェクトに更新する機能を追加したためである
perfmon(パフォーマンスカウンタ)APIを追加した。このAPIは、モニタリングダッシュボードを作成し、一貫したユーザーエクスペリエンスを提供するためのデータへ簡単にアクセスする方法をパートナーに提供する
ユーザーエクスペリエンスの向上
Microsoftは、エンドユーザーがRDS 2019によってデスクトップとアプリケーションを利用し、生産性を高めることができるように、ユーザーエクスペリエンスの向上に努めたという。
RDS 2019では、アクションセンターに「RemoteApp」のモダンな通知が配信されるようになった。「Microsoft Outlook」のようなアプリケーションにおいてユーザーの生産性向上に役立つ
GPU仮想化技術関連の改善により、ネットワークトラフィックの削減やスムーズな動画再生を実現した。具体的にはRDS 2016におけるディスクリートデバイス割り当ての改善をベースにして、グラフィック集約型ワークロードのセキュリティや仮想マシン(VM)分離、パフォーマンスを改善した
ビデオ集約型の操作が快適に行えるよう改善を加えた。内蔵型または外部接続のビデオカメラを高度にリダイレクトすることによって、新旧のリモートアプリケーションとデスクトップ上で、最適化されたビデオストリームを高フレームレートで送信できるようになった
セキュリティの向上
MicrosoftはRDSで、デスクトップとアプリケーション仮想化環境のセキュリティ向上を支援しようとしているという。
RDS 2019では、「Windows管理センター」の統合により、複数のローカルサーバ管理とリモートサーバ管理を1つの画面に集約しやすくなった
Windows Defenderで幾つかのマルチセッション最適化機能を導入した。これらの機能は、エンドユーザーに対して安全でスケーラブル、経済的なデスクトップエクスペリエンスを提供する際に役立つ
シングルサインオン(SSO)のWebクライアントサポートを追加し、Webクライアントで接続するユーザーが効率良く認証を行えるようになった
Azureへのデプロイが容易になった
以上の3点以外にも改善点がある。「Microsoft Azure」へのデプロイだ。「Azure Key Vault」を利用した証明書管理の簡素化や、「Azure SQL Database」を利用したRDライセンシングの高可用性機能の実現などである。
Microsoftは2018年10月中に、「Cloud Solution Provider(CSP)」プログラムを用いたRDSサブスクリプションの提供開始を発表する予定だ。デスクトップとアプリケーション仮想化をサポートする経済的なソリューションの充実を求める顧客ニーズに応えるものだという。
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