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» 2018年10月22日 09時00分 公開

より多くの顧客に高級旅館並みのサービスを:創業65年、AIで生まれ変わる箱根の老舗ホテル その成功の要因は? (3/4)

[柴田克己,ITmedia]

FAQ改善で電話での問い合わせが逆に増加、一体なぜ?

 AI型FAQの導入後、効果は即座に表れた。FAQ参照者のセッション数は導入以前の379%、FAQページの参照数は570%にまで増加したという。しかし一方で、当初期待していた「FAQの参照が増えることで、コールセンターへの入電数や問い合わせメールが減少する」という効果については、短期的には表れなかったという。

 「入電数は、導入直後にむしろ増えてしまいましたが、問い合わせの内容は大きく変わりました。以前は、質問内容があいまいなことが多かったのに対して、導入後は、FAQを確認した上で、より具体的な希望や依頼をするお客さまが増え、ホテル側も事前の準備がしやすくなりました。これは顧客満足度の向上につながる変化だと考えています」(原氏)

 入電数や個別問い合わせ数の増加は、FAQ導入後からしばらく続いたが、ホテルではその間に、問い合わせの内容などを吟味して、アンサーの改善に取り組んだ。

photo AI型FAQの導入による効果とその後の施策

 例えば、「交通状況」に対する問い合わせへの回答に、箱根町が提供する交通情報やライブカメラへのリンクを追加したり、「館内施設への行き方」について独自に撮影した動画を追加したりといった作業を行ったという。また、宿泊予定の顧客に配信される確認メールに、そのタイミングで増える問い合わせへの回答をあらかじめ入れておくといった形で、情報提供の方法も工夫した。

 これらの施策を続けた結果「導入から半年程度で、電話や個別メールによる問い合わせは以前より減少した」という。

 また、ホテルおかだでは、このFAQデータベースを活用した「館内コンシェルジュ」サービスも始めている。データはWebサイトのFAQと共有しつつ、宿泊客がホテルへの到着後にスマートフォンから利用することを想定した調整が行われている。カテゴリーだけでなく、問い合わせの「時間帯(チェックイン直後か、食事前か後かなど)」を考慮した項目が提示されるという。

 「旅館業において、接客スタッフの定着率はあまり高くありません。接客マナーや業務ルールは定型業務としてマニュアル化が容易な一方、顧客に合わせたおもてなしや観光知識などのナレッジは属人的でデータ化しづらく、スタッフの入れ替わりで失われてしまいがちです。館内コンシェルジュは、そうしたナレッジを補うものとして発展させていきたいと考えています」(原氏)

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