IoT接続技術はNB-IoTが主流に、カウンターポイントが2025年までの技術動向を予測2025年には5Gが10%を占める

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、IoT機器が利用する携帯電話通信技術についての調査結果を発表した。現在利用が多い2Gや3Gは、2025年までにNB-IoTへ置き換わる見込み。5Gは、車車間通信など特定領域での必須技術になるとした。

» 2018年10月25日 12時00分 公開
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 カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは2018年10月24日、IoT(Internet of Things)機器が利用する携帯電話通信技術についての調査結果を発表した。それによると、今後IoT接続で主流になるのはNB-IoT(Narrow Band-IoT)で、現在利用が多い2Gや3Gは、NB-IoTへ置き換わるとしている。

 携帯電話通信網を用いた2025年までの各IoT接続技術について、同社は次のような見通しを示した。

 IoT接続の主流になるのはNB-IoTで、約45%のシェアを取るとした。理由は多様なアプリケーションへの適合性があり、エコシステム全体での採用が早く進んでいるからだ。

携帯電話網を利用したIoT接続技術の現状と予測 2018年上期と2025年について技術ごとの比率を示した(出典:カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ

 2GはNB-IoTによって置き換えが進み、2025年には1%未満になる。3Gも2Gと同じ運命にあるが、2Gよりも早く代替技術に置き換わる見込みだ。4G LTEによる高帯域、低遅延のIoT接続は、LTE-Advancedと、それを拡張したLTE-Advanced Proが世界中で採用されるため、2022年まで急速に伸びるだろう。しかし、2022年以降は5Gへの移行が進む見込みだ。2025年には、4G LTEによるIoT接続は、世界の携帯電話網によるIoT接続の3分の1強となる見通しだ。

 IoT向けのLTE規格であるLTE-M接続は2022年まで存在感が残るだろうが、今後の成長は限定的と予想する。その理由は、NB-IoTとLPWA(Low Power Wide Area)がシェアを奪うからだ。LTE-M接続は、2025年には世界の携帯電話網を用いたIoT接続の6%程度になるだろう。

 5Gは、例えば自動車のV2V(Vehicle to Vehicle:車車間通信)やV2X(Vehicle to X:車と道路などあらゆるものとの通信)など、一部の領域では必須の技術となる。5Gの採用は、サービス提供の有無、QualcommやHuaweiから調達するモデムのコスト、利用可能エリア、といった要因に左右される。2025年には、世界の携帯電話網によるIoT接続の10%程度を占めると予想した。

IoTは3つの領域で成長が著しい

 今後のIoT接続市場の成長について、Counterpoint ResearchのアナリストであるSatyajit Sinha氏は次のように述べている。

 「今後5〜7年の成長の原動力は、スマートマニュファクチャリングと呼ばれる製造現場のIoT、スマートユーティリティと呼ばれる電気、ガス、水道などのIoT、自動車や機器の移動を管理するスマートモビリティーの3つの領域だ。これらのアプリケーションでは、どこでもつながり、低消費電力で低帯域、低コストという携帯電話網による接続が必要である。このニーズに応えるため、低電力広域ネットワーク(LPWAN)の接続技術であるLTE-MやNB-IoT、EC-GSM-IoT(Extended Coverage-GSM-IoT)が生まれた。さらに、自動運転車やドローン、IoTによるヘルスケア、ミッションクリティカルなIoTアプリケーションに向けて、大容量で高速、低遅延という特徴を備えた5Gが登場する」

 なお、カウンターポイントでは、今後のIoT接続市場について、次のような見通しを立てている。

 インドやブラジル、アフリカといった新興国市場は、規模は大きいものの、全ての機器をつなげる取り組みは中国と比べて遅い。それでも新興国市場では、セルラー網によるIoT接続には大きな成長機会がある。

携帯電話網サービス事業者の市場シェア 2018年上期と2025年の予測値を示した(出典:カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ

 接続技術面では、現在、ほとんどのIoT接続で2Gまたは2.5Gのネットワークを利用しているが、2018年下期から2019年にかけて4G LTEとセルラーLPWANへの移行が顕著になる見込みだ。このうちセルラーLPWANには、免許帯域を利用する技術と、非免許帯域を使用するアンライセンスLPWAがある。免許帯域にはいろいろな利点がある一方で、コストと機能の兼ね合いでアンライセンスLPWAが優位になるような用途も多数存在する。短中期的には、免許帯域と非免許帯域の2つのLPWA技術が共存し、場合によっては組み合わせて使用されると予測した。

 コンシューマー向けのIoT市場は、携帯電話通信事業者にとってほぼ手付かずの状態だが、最も難しい市場でもある。その理由は、機器や接続のコストの課題と、データのプライバシーやセキュリティへの懸念だ。ただし、セキュリティとプライバシーに関するGDPR(一般データ保護規則)のような指針が整備されつつあり、コンシューマーの安心感向上に寄与するだろう。

 コンシューマー向けのセルラーIoTは、スマートホームとウェアラブル機器を手始めに通信事業者の収益源になり、2025年までには最大のIoTアプリケーションになっていると予測した。

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