日本の消費者は先端技術の安全性と追加費用を危惧、NTTコム オンラインが調査自動運転車とIoT機器への期待は?

NTTコム オンラインは、「自動運転車」と「IoT機器」に対する消費者の態度について、日本を他の3カ国(米国、英国、スウェーデン)と比較調査した。日本の消費者は、これらの商品に対する関心が高い一方で、安全性や追加費用に対して慎重な姿勢を見せた。

» 2019年01月11日 11時00分 公開
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 NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)は2019年1月10日、近い将来市場に登場すると注目されているAI(人工知能)を搭載した自動運転車と、急速に商品化が進んでいるIoT(Internet of Things)活用商品に対する消費者の態度について、米国、英国、スウェーデンの3カ国と日本を比較調査したと発表した。

 NTTコム オンラインの調査によると、こうした先端技術を応用した商品に対する期待は全ての国で高い。日本の消費者は特にAIを搭載した自動運転車の社会的な効果への期待が他の3カ国と比べて圧倒的に高いという。

 しかし、他の3カ国が現在の車の購入価格に対して、約半額まで追加費用を認めるとした中、日本の消費者は4分の1程度しか支払う意欲がないと分かった。

AI搭載の自動運転車にかかる費用の支払い意欲について 日本は追加費用が平均57万円であり、平均購入価格230.1万円の4分の1程度と他の3カ国よりも支払い意欲が低い。自動車を保有している人を対象として調べた(出典:NTTコム オンライン

日本の消費者は「自動運転」自体に期待

 自動運転車への認知は4カ国とも高いが、期待する効果は異なっていた。

 自動運転車に対する認知度は、日本が78%、英国が74%、米国が72%、スウェーデンが88%と、どの国も7割を超えている。

 自動運転車の社会的な効果は、運転者が不要になることだけではない。そこで、期待度を、「交通事故の減少」「重大事故の減少」「渋滞の解消」「移動時間の短縮」「高齢者・障害者の移動支援」「効率的な運転による燃料費の節約」「自動車保険料の低下」という7つの項目についてそれぞれ調べた。

 日本の消費者は他の国よりも自動運転自体に期待を寄せており、特に「交通事故の減少」「重大事故の減少」「高齢者・障害者の移動支援」に対する期待度が高かった。

日本の消費者の過半数は重大事故の減少に期待している(出典:NTTコム オンライン

 「高齢者・障害者の移動支援」「効率的な運転による燃料費の節約」「重大事故の減少」は、全ての国で期待度が高かった。

IoT活用製品の認知度は日本が飛び抜けて高い

 一方、IoT活用商品の認知度は、日本の68%に対して、英国は41%、米国は46%、スウェーデンは37%で、日本以外の3カ国では低かった。

 IoT機器の利用については、機器を使って位置や状態を管理したいと思うモノを調べた。例えば、財布や鍵の位置、ドアの操作、電子レンジの操作、血圧や心拍数、体重の管理などで、それぞれ私生活での利用と、仕事での利用について聞いた。

 調査結果によると、全ての国において私生活でのIoT利用に前向きな人の割合が6割以上だった一方で、仕事の場面で労務状況を管理することに対しては否定的な立場を取る割合が7割以上あった。この原因としてNTTコム オンラインでは、企業情報の漏えいに対する懸念や、社員の情報が企業に過度に管理されることへの懸念が考えられると分析している。

仕事では一切、IoT機器の利用を望まない消費者が4カ国とも過半数を占めた。なお、家庭内では財布や鍵の管理、室内温度の管理に対して4〜5割の消費者が利用したいと回答している(出典:NTTコム オンライン

新技術には懸念もある

 最後に、自動運転車やIoT活用商品の導入に伴って、発生すると考えられる問題に対する懸念の度合いについて調べた。新技術の導入で発生し得るリスクに対する懸念や不安感が強いことは、全ての国に共通した傾向だった。中でも日本では他の3カ国よりも、「安全性」に対する不安が強かった。

 例えば自動車の任意保険について、「AI搭載の自動運転車が普及し、今よりも事故の発生割合が減少する場合、任意保険の加入をやめるか、やめないか」との質問に、「やめると思う」または「たぶんやめると思う」と答えた人の割合は、日本では合計4.3%で、他の3カ国(英国は16.4%、米国は24.0%、スウェーデンは20.4%)よりも大きく下回った。

 それに対して「たぶんやめないと思う」と「やめないと思う」と回答した割合は、日本では合計72.9%、英国は39.1%、米国は48.1%、スウェーデンは34.5%だった。

日本の消費者は自動運転車が普及した時点でも、7割程度が任意保険の加入をやめないと回答した(出典:NTTコム オンライン

 今回の研究はNTT コム オンラインが東京理科大学の松本朋子研究室や、東京大学の太田勝造研究室、岡田謙介研究室、加藤淳子研究室と共同で実施した。調査期間は2018年11月30日〜12月14日。国内はNTTコム リサーチの登録モニター、海外はサーベイ・サンプリング・インターナショナル(SSI)の海外パネルを対象として、非公開型インターネットアンケートを行った。対象となったのは、4カ国それぞれ500人の消費者。消費者の年齢は20〜69歳であり、各国の性別と年代別人口構成比に応じて割り付けた。

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