Windows Server 2019は本当に完成したのか、それとも完成していないのか?その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(127)(1/2 ページ)

2018年10月2日に正式リリースされ、11月13日(いずれも米国時間)に再リリースされたWindows Server 2019ですが、この最新サーバOSは本当に完成したのでしょうか。リリース時のごたごたの話ではありません。それとは別に、Windows Server 2019の新機能の幾つかは、正式リリース時点では利用可能になっていないからです。

» 2019年01月15日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Windowsにまつわる都市伝説

最新情報(2019年年1月18日追記)

 日本時間の2019年1月18日に、「Windows Server 2019評価版」の各国語版メディアおよび英語版VHDのダウンロード提供が再開されました。


今回はWindowsの「品質」の話ではありません

 Microsoftは2018年10月2日(米国時間)、「RS5(Redstone 5)」という開発コード名で知られるWindowsおよびWindows Serverの最新バージョンをリリースしました。

 大々的に取り上げられたのはWindows 10の最新バージョン「Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809、OSビルド17763.x)」のロールアウト(Windows Updateを通じた段階的な提供拡大)の開始ですが、同じOSビルドである「Windows Server,version 1809」(Windows Serverの半期チャネル、SAC)、「Windows Server 2019」(Windows Serverの長期サービスチャネル、LTSC)、「Windows 10 Enterprise LTSC 2019」も同時にリリースされました。

 既にご存じの方も多いと思いますが、Windows 10 バージョン1809のアップグレード時に“ユーザーファイルが消失する”という問題が発覚し、リリース後、数日でWindows 10 バージョン1809のWindows UpdateとWindows Server Update Services(WSUS)によるロールアウトは一時停止となりました。

 また、全てのRS5バージョンのWindowsとWindows Serverの製品版/評価版のインストールメディアの提供も取り下げられました。Azure MarketplaceにはWindows Server 2019のイメージが公開されることもありませんでした。

 リリース直後の公式アナウンス(このアナウンス自体に正確性に欠ける部分があったのですが、今回のごたごたに紛れてしまったのでよいことにしましょう)や、それに基づいたニュース記事を見て、製品版メディアや評価版メディアをダウンロードできるところが見当たらない、Azureのイメージを探しても見つからないと、迷子になった人も多いのではないでしょうか。

 また、Windows 10を手動でアップグレードしようとして、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)にもう一度、同じWindows 10 April 2018 Updateをインストールしてしまったという人はいないでしょうか(画面1)。

画面1 画面1 Windows 10のダウンロードサイトは、2018年10月6日にWindows 10 October 2018 UpdateからApril 2018 Updateに戻され、Windows Server 2019評価版のダウンロードサイト(日本語サイトは存在しない)は数日消えた後、この状態に。Windows 10のダウンロードサイトは既に正常化したが、Windows Server 2019評価版はまだ再開されていない

 一時停止されていたロールアウトは1カ月以上たった2018年11月13日(米国時間)に再開され、Windows Server 2019、Windows Server,version 1809、Windows 10 Enterprise LTSC 2019の製品メディアも提供が再開されました(提供チャネルによっては次の週以降に)。2018年12月中旬にはWindows 10 バージョン1809のロールアウト範囲が拡大されました(「更新プログラムのチェック」ボタンのクリックで利用可能に)。Azure Marketplaceでは2018年11月末にようやくRS5ベースのWindows ServerとWindows 10のイメージが利用可能になりました。Amazon EC2のAMIイメージは2019年1月7日に利用可能になったばかりです。そして、Windows Server 2019評価版および無料のMicrosoft Hyper-V Server 2019は、いまだ提供の再開はありません(2019年1月10日現在)。

 英語の評価版ダウンロードサイトの説明によると、製品版メディアには影響しない問題が評価版メディアに見つかり、修正しているそうです。Windows Server 2019評価版(Essentials評価版は2018年12月に公開済み)とMicrosoft Hyper-V Server 2019の現状については、以下の英語のダウンロードサイト(日本語サイトは現在、存在しない)で確認してください。

 このRS5のリリースとロールアウトのごたごたは、WindowsやWindows Serverの品質に対する信頼を大きく損ねるものですが、今回は品質の話とは関係なく、Windows Server 2019は本当に完成しているのかどうかという話です。

 Windows Server 2019の新機能については、以下の公式ドキュメントにまとめられています。OSの新バージョンリリース時に公開される新機能は、特に注力している部分であり、これらの新機能が完成して、製品に実装されているもの(“Preview”と明記されている一部の機能を除いて)と受け取る人が大多数だと思います。

 Windows Server 2016までは、Windows Serverとともに動作するMicrosoft Azureのサービスやコンテナのための外部コンポーネントである「Docker Enterprise Edition(EE) for Windows Server」の影響で、仕様や手順が変更されることはありましたが、基本的に新機能は実装済みであるという認識で間違いなかったと思います。

 しかし、Windows Server 2019では状況が変わりました。Windows Server 2019の新機能にも、リリース時点ではまだ準備ができていないものが存在するのです。そんな注目の新機能から、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)とアプリケーションプラットフォームに関して、現状を見てみましょう。

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