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» 2019年01月16日 05時00分 公開

ロブ・ミー氏に聞く、企業アプリケーション開発環境の今(1):Pivotal CEOが、「いつかKubernetes製品をやめる日がくる」と話す理由 (1/2)

Pivotalは現在のところ、VMwareと共同で開発したKubernetes製品「Pivotal Container Service」にも力を入れている。だが、CEOのロブ・ミー氏は、「いつの日かPivotalが提供する必要はなくなるだろう。そうなればありがたい」と話す。

[三木泉,@IT]

 Kubernetesはインフラなのか、それともアプリケーションプラットフォームなのか。Pivotal CEOのロブ・ミー(Rob Mee)氏は、業界の進化におけるどの段階について話すかによって変わってくると話す。

 「現時点では、Kubernetesはインフラの上に位置しており、2つの世界をまたがっている。だが、Google、Microsoft、VMwareなど、あらゆるインフラ提供者が、これをインフラのAPI、あるいはインフラの『ダイヤルトーン(発信音)』にしようとしている。従ってKubernetesはいつか、実質的にインフラと呼べる日がやってくる」

 PivotalがKubernetesプロダクト「Pivotal Container Service(PKS)」を、現在VMwareとの共同製品として提供している理由、そしてHeptioがPivotalではなくVMwareに買収された方がよかった理由は、ここにあるという。

Pivotal CEOのロブ・ミー氏

 「現在のところ、Kubernetesは偏在的なインフラとなるには至っていない。まだ、APIをそのまま使うだけでは十分でなく、(運用を支援する)付加機能が求められている。このため、Kubernetes製品を、Pivotalが単独で提供するのは適切でないし、インフラ提供者であるVMwareが単独で提供するのも適切とはいえない。従って二社は一緒になって製品を構築し、市場に提供している。しかし長期的にはKubernetesが事実上のインフラとなり、どこでも使えるものになって、誰もがその上で(アプリケーションなどの)構築を進めるようになる。そうなると、KubernetesはPivotalよりも、VMwareにとってはるかに重要なものになってくる。いつの日かKubernetesはコモディティ化し、Pivotalが提供する必要はなくなるだろう。そうなればありがたい。ベストなKubernetes製品を生み出すために取られているリソースを、より高いレイヤーの活動に振り向けることができるからだ」

 上記で、ミー氏は現在のところ、Kubernetesの世界において差別化できる余地があるためKubernetes製品に関わっているが、Kubernetesが例えばOSや現在のサーバ仮想化基盤のように、どこでも使えるようなものになってくれば、Pivotalはその上でアプリケーションを構築・運用するための基盤を提供することに専念できるようになることを表現している。

 現時点での差別化の例としてミー氏が挙げるのはBOSHによるライフサイクル管理機能だ。Kubernetesについては2018年12月3日、セキュリティ上の脆弱(ぜいじゃく)性情報が公開された。PivotalはKubernetes認定製品ベンダーとして事前に連絡を受け、11月30日に無停止オンラインアップデート機能を通じて顧客のPKS環境への対応パッチ適用を済ませたという。このため、情報公開を受けて問い合わせてきた顧客に対しては、「アプリケーションのダウンタイムなしにシステムをアップデートしました」と知らせるだけで済んだといい、こうした機能を備えているのはPKSだけだとしている。

 また、VMwareがHeptioを買収したことで、Heptioの持つIP(知的財産)、有能な開発者、Kubernetesコミュニティーにおける高い評価などは、PKSに生かされることになる。これも現時点でのKubernetes製品の差別化につながる。

 だが、非常に長期的な観点でいえば、Kubernetes(およびサブプロジェクト)がインフラ関連で必要な機能をほぼ網羅するようになる。そうなれば、PivotalがKubernetes製品を提供する意味は薄れてくるのだという。

 一方、アプリケーション基盤のオープンソースプロジェクト、Cloud Foundry Application Runtime(CFAR)では、これをKubernetes上に導入できるようにするプロジェクトが進められている。従って、今後Kubernetesが汎用的なインフラとなるならば、その上で動くミドルウェアとして、CFARに基づく以前の「Pivotal Cloud Foundry」である「Pivotal Application Service(PAS)」や、FaaS製品「Pivotal Function Service」などを通じ、アプリケーション開発者を支援する機能の高度化に注力していく、というのが上記の発言の趣旨だ。

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