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» 2019年02月13日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(50):エンジニアのキャリアアップに「複業」をオススメする理由 (3/3)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
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「副業」が禁止されていてもできる「複業」もある

 「うちの会社は副業禁止なんだよね」という方もいるでしょう。

 2017年の暮れに、厚生労働省が働き方改革の一環として「副業・兼業の促進に関するガイドライン(案)」を発表したのを皮切りに、副業が注目を集めました。ITmediaビジネスオンラインの記事「人事採用にも影響か? 働く人の8割は『副業禁止の企業に魅力を感じない』」を読むと、副業に対するビジネスパーソンの意識の高さがうかがえます。

 一方、同メディアの「副業禁止の企業は7割 『情報漏れが心配』『結果的に社員が多忙に』などの声」によれば、現段階では、多くの企業が副業禁止です。副業が自由にできる人は、それほど多くありません。

 「副業を認めると、会社を辞めてしまうのではないか」と心配する経営者や経営層の人が多いとも聞きます。

フクギョウなんて、ケシカラン!

 でも、諦めないでください。「副業」はできなくても「複業」ならできます。

 私が注目しているのは、「社会貢献型の複業」です。例えば、仕事で培った知識やスキル、経験を、NPOなど社会貢献をしている団体で生かす「プロボノ」として参加してみるとか。会社ではできない経験ができるでしょう。

 また、今、日本では、人口減少や東京一極集中により、地方の文化や産業などが消えつつあります。しかし、地方の問題を地元の人たちだけで解決するのはなかなか難しい。そこで、都市部ではたらくビジネスパーソンと地方の企業とを、複業を通じてつなぐ取り組みが始まっています。

 例えば、「岩手県の遠恋複業課」は、岩手と複業を通じて「お付き合い」してくれる人を募り、都市部の人材と岩手の企業とをマッチングする取り組みを進めています。

 都市部で培った経験を地元や地方のために生かす――こういった複業の仕組みができたら、目的意識を持った複業ができ、キャリアアップにもつながるのではないかと思います。先日登壇した遠恋複業課のイベントでは、Webによる認知度アップや通信販売サイトの構築、運用など、ITエンジニアが活躍できそうなマッチング事例が紹介されていました。

家庭生活や地域活動も立派な複業

 ひと昔前のテレビドラマでは「家庭と仕事、どっちが大事なんだ(怒)!」といったせりふがよく聞かれました。つまり、家庭か仕事か、どちらかを選ぶのが一般的な価値観でした。

 しかし近年は、家庭生活が仕事に役立つと言われ始めています。

 東京大学総合教育研究センター准教授 中原淳さんは、「『育児は仕事の役に立つ』は本当か? 『チーム育児』の効果、東大の中原淳研究室が調べてみた」で、次のように言っています。

目標を共有して、何をどういう風に分担していくのかを言挙げしていく。それが「チーム育児」です。これができるようになったら、当たり前ですけど職場に行っても人やモノを動かすことができるようになるんですよ。

 私も同意です。つまり、家庭生活も立派な複業なのです。もともと、「業(ぎょう)」という言葉には、「生活の中心をささえるしごと。くらしの手だて」という意味があります。

 地域活動もそうです。私は今年、初めて小中学校のPTAの役員、特に中学校ではPTA会長になりました。今までは「PTAなんて面倒くさい」というイメージがあり、妻に任せきりでした(ダメですね)。

 しかし、実際にPTAの役員をやってみたら、得るものがとても多かったのです。今まで面識がなかった親御さんとのやりとりが新鮮でしたし、立場や背景が違う人たちとの合意形成の取り方は仕事の会議と同じでした。

 また、先生方といろいろ話して、学校というものがどういう組織形態なのか理解できましたし、教育現場の情報化やITの状況も分かりました。任期でPTA会長は降りますが、「IT化で何か手伝えることがあれば、やってもいいかな」と思うほど。逆に「何で今まで、あんなに拒否していたんだろう」と感じてさえいます。

 もちろん、「大変なことは全くないのか」と言ったらウソになります。でも、体の筋肉を付けるためには、適度な負荷が必要なように、キャリアアップも適度な負荷があった方が身に付きやすい

 もし、育児や地域活動が「何が何でも嫌」でなければ、今まで関わったことのない外の世界に出てみるのも、一つの複業の方法だと思います。

モヤモヤしたら今までと違う世界を見てみよう

 若いころは、会社の言う通りにやっていればそれなりのキャリアを積めました。

 でもある程度経験を重ねると、人それぞれの「色」が出てきます。それだけに、会社の一辺倒なキャリア教育だけでは、モヤモヤ感は解消しないのかもしれません。

 そういうときこそ、社外にも目を向けてみましょう。その一つが複業です。今まで見ることのなかった世界を見ると新しい思考や気付きが生じて、「今、何をすべきか」が見えてくるのです。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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