連載
» 2019年02月27日 05時00分 公開

Microsoft Azure最新機能フォローアップ(72):「ExpressRoute」の名称は引き続き「ExpressRoute」

2019年2月12日(米国時間)、2月22日から「Azure ExpressRoute」の名称を「Azure VNet Gateway」に変更するというアナウンスがありました。筆者を含め、このアナウンスに少し混乱した人は少なからずいるでしょう。しかし、これはExpressRouteの名称やサービスを変更するものではないようです。

[山市良,テクニカルライター]
「Microsoft Azure最新機能フォローアップ」のインデックス

Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Azureの「ExpressRoute回線(circuit)」とは?

 Microsoft Azureの「ExpressRoute回線(circuit)」は、オンプレミスの企業内ネットワークやAzure以外のコロケーション環境の顧客専用ネットワークと、「Azure Virtual Network(Azure仮想ネットワーク、Azure VNet)」との間を、インターネットを経由しない専用回線やネットワークサービスプロバイダーが提供するWANサービスで直接接続する帯域保証型サービスです。

 ExpressRouteを利用することで、高速(50Mbps〜10Gbps、ExpressRoute Direct Previewは100Gbps)で、信頼性と安全性の高い方法でプライベート接続することができます(画面1)。例えば、オンプレミスの開発環境やテスト環境とAzureのIaaS環境の間で、仮想マシンを素早く移動したり、クラウドへのバックアップやクラウドからのリストアを高速で行ったりすることができます。

画面1 画面1 Azureポータルを使用したExpressRouteの作成(2019年2月22日以降も変わらない)

 また、ネットワークレイテンシが低いため、高い応答性が要求されるサービスをクラウドに配置できます。ExpressRouteは、ネットワーク性能を犠牲にすることなく、クラウドを最大限に活用できるのです。Azureの西日本(大阪)リージョン、東日本(東京)リージョンへのAzure VNet Gateway接続や、回線を提供している国内パートナーについては、以下のドキュメントで確認することができます。

ExpressRouteからVNet Gatewayへの名称変更は明朗会計のため?

 2019年2月中旬にAzureの更新情報で公開された以下のアナウンスは、ExpressRouteサービスの名称が2月22日(米国時間)から「Azure VNet Gateway」に変更されるように読み取れます。しかしながら、2月末現在、AzureポータルやAzureの製品サイトおよびドキュメントでは、そのような変更は一切見受けられません。このことに混乱した人もいるでしょう。

 このアナウンスは、恐らくAzure請求書やAzureポータルでの課金、使用状況のデータ取得、コスト分析などにおける名称やリソースGUIDの変更に関することと思われます。アナウンスによると、ExpressRoute回線をAzure VNetに接続する「ゲートウェイ」リソースの名称は次の3つのいずれかになります。

新しいサービス名 サービスの種類
VNet Gateway Standard Gateway
VNet Gateway High Performance Gateway
VNet Gateway Ultra High Performance Gateway

 このゲートウェイの種類は、現在の「仮想ネットワークゲートウェイ(Virtual Network Gateway)」を選択して、ゲートウェイの種類として「ExpressRoute」を選択したときの詳細オプションとほぼ一致しています(画面2)。

画面2 画面2 ExpressRoute回線をAzure仮想ネットワークに接続するためのVNet Gatewayの作成

 ExpressRoute回線をAzure仮想ネットワークに接続するには、回線(回線料金の支払先はネットワークサービスプロバイダー)の帯域幅に対するAzureの課金と、仮想ネットワークゲートウェイに対する課金が発生します。名称変更により、これらに対する請求を明確に区別できるようになるでしょう。


 「仮想ネットワークゲートウェイ」は、Azureの料金表では上記にあるように「VPN Gateway」と表現されているため、これが混乱の一因になっています。VPN Gatewayは、インターネット経由でポイント対サイト、サイト対サイトによるAzure仮想ネットワークへの接続、あるいはクロスプロミス(オンプレミスの複数の拠点間)の接続を、仮想プライベートネットワーク(VPN)で相互接続するサービスです。

 Azureポータルでは、「仮想ネットワークゲートウェイ(Virtual network gateway)」を選択して、ゲートウェイの種類「VPN」を選択して作成します(画面3)。こちらの請求書やコスト分析での名称は、次のようになっているようです。

新しいサービス名 サービスの種類
VPN Gateway Basic Gateway
VPN Gateway VpnGw1
VPN Gateway VpnGw2
VPN Gateway VpnGw3
画面3 画面3 VPNでAzure仮想ネットワークに接続するためのVNet Gatewayの作成

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2018/7/1)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。