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» 2019年03月26日 10時00分 公開

オンプレミスの良いところがクラウドで実現できていない:約50%の費用で約2倍のリソースを利用――事例に見るリフト&シフトで考えるべき3つのステップ

多くの企業が検討する“クラウド移行”。そのとき、考えるべき3つのステップとは。2019年2月28日に開催された「リフト&シフトをどう進めるか? 先行企業に聞く『既存システムのクラウド移行』で確実に『成果』を収める方法」セミナーの講演から探る。

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 2019年2月28日に都内で開催された@IT主催セミナー「リフト&シフトをどう進めるか? 先行企業に聞く『既存システムのクラウド移行』で確実に『成果』を収める方法」に、日本オラクルのシニアマネジャー 山本祐介氏(クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部)が登壇。「“クラウド移行”で、クラウドサービスを選択するポイント」と題し、クラウド活用のフェーズごとにどのようにクラウドサービスを選ぶべきかという観点で講演を行った。

東京、大阪の2カ所での日本リージョン開設を間近に控えるOracle Cloud

日本オラクル クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 シニアマネジャーの山本祐介氏

 顧客体験管理(CX)や人材管理(HCM)、ERPなどのSaaS(Software as a Service)形式のクラウドサービスを早くから展開してきたオラクル。その後、データベースやアプリケーションサーバ、Java、BI(ビジネスインテリジェンス)、セキュリティなどのPaaS(Platform as a Service)をはじめ、「Oracle Exadata(以下、Exadata)」などの優れたハードウェアを高いコストパフォーマンスで提供するIaaS(Infrastructure as a Service)や、顧客データセンター基盤をサブスクリプションモデルで提供するユニークなクラウドも提供している。今では、SaaSからIaaSまでを、さまざまな形態の下、フルスタックで提供できる数少ないクラウドベンダーとなっている。山本氏はまず、そうしたOracle Cloudの特長について触れた。

 「SaaS、PaaS、IaaSのそれぞれに強みを持つクラウドベンダーが多い中で、オラクルは総合的にクラウドを提供できるベンダーです。IaaSは提供を始めてから歴史が浅いですが、SaaSではすでに皆さんになじみのあるサービスに数多く活用されています」(山本氏)

 実際にOracle Cloudは、Yahoo! Japanや、全日空(ANA)のFAQサイトなど、国内で数多くの実績がある。

 こうしたクラウドサービスは、時代のニーズに合わせて常にアップデートが図られてきた。特に数年前からオラクルは、PaaSとIaaSの分野を強化している。これまでのクラウドが抱えていた課題に着目し、「第2世代」と呼ばれる大幅なアップデートを、多岐にわたるサービスを対象に実施している。特に国内については、データセンターの新設を含めて、アーキテクチャを刷新している状況だ。

 「オンプレミスとパブリッククラウドの両方を使っているお客さまが多いと思います。ただオラクルは、オンプレミスの良いところがこれまでのクラウドではまだ実現できていないと考えています。簡単にリソースを追加できるといったパブリッククラウドの良いところと、性能やセキュリティといったオンプレミスの良いところの両方を実現するクラウドを提供すべく、データセンター環境を作り替えているところです」(山本氏)

 オラクルが作り替えたというIaaSが「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」だ。OCIのデータセンターはこれまで、北米とヨーロッパで開設され、2019年内には東京、大阪、シドニー、ソウル、ムンバイとアジアパシフィックの国々で続々と開設される。日本企業の間では現在、基幹システムを含めてリフト&シフトでクラウド移行する動きが活発化している。オラクルは、第2世代のアーキテクチャを備えたリージョンの日本展開により、そうした国内企業を強力に支援する構えだ。

基幹システムのリフト&シフト:SLAと安定性を評価し、クラウドに移行した「さなる」

 では、クラウド移行を検討する上で何がポイントになるのか。山本氏は次のように整理した。

 「クラウド活用のステップは大きく3つあると考えています。まずステップ1は、『そのままクラウドへリフト&シフトで移行すること』、ステップ2に『クラウドのメリットをさらに生かすこと』、最後のステップ3は『クラウドをフル活用して新規開発を行うこと』です。このうちステップ1やステップ2の部分で気を付けたいのが、移行するクラウド基盤がどのような要件を満たしているのかという点です」

 特に基幹システムのリフト&シフトでは、新規にクラウド上でアプリケーションを開発する場合と満たすべき要件が異なる。山本氏は、キーポイントとして「安定性」「コストパフォーマンス」「セキュリティ」「オンプレミスとの互換性」の4つを挙げ、このうち、安定性とコストパフォーマンスについて詳しく解説した。

 まず、安定性については、SLA(サービス品質保証)の考え方を知ることが重要だという。

 「オンプレミスと異なるポイントの一つがSLA。クラウド各社でポリシーが異なることが多く、一律に理解できない点に注意が必要です。例えば、『あらゆるサービスが対象になるわけではないこと』『担保する範囲に性能が含まれておらず、稼働率だけの可能性があること』『未達時の対応の違いがあること』などです。そのためSLAがあれば安心というわけではなく、SLAを理解した上でどう対応するかが求められます」(山本氏)

 安定性をどのように実現したかの事例としては、佐鳴予備校、啓明舎、三島進学ゼミナールなどを展開する企業「さなる」を紹介した。さなるでは、2万以上の映像授業コンテンツ「@will(アット・ウィル)」の配信基盤をOracle Cloudに移行して、成果を上げている。

 同社は従来、ホスティング型で運用していたが、高コストに加え、メンテナンスにかかる工数、時間が課題だったという。そこで、Oracle Cloudが他社クラウドサービスと比較して、コスト効果が高く、米国と国内のデータセンターで同一サービスの冗長構成がとれることを評価。Oracle Cloudへの移行により、受講生が視聴する教材の選択画面の反応が約2倍速くなった。また、リソースの柔軟な配分により、安定して日々の運用管理を行えるようになった。

さなるのシステム構成イメージ

 その上で山本氏は、Oracle Cloudを次のように紹介した。

 「オラクルは可用性に対するSLAだけではなく、安定した高速な基盤を基に、可用性、性能、管理という3つの基準を持った業界初のSLAを提供しています」(山本氏)

コスト構造を軸にクラウド比較:費用2分の1で2倍のリソース!? コストメリットを評価した「ソマール」

 コストパフォーマンスについては、まずコストについての考え方を知ることが重要だという。従量課金などの柔軟なコスト体系を持つことはクラウドのメリットの一つだ。うまく利用することで大幅なコスト削減につなげることが可能である。

 クラウドのコストは、仮想マシンのサイズやストレージのデータサイズなど「システムを構成した段階で決まるコスト」と、ネットワークやストレージIOPSなどの「運用した結果決まるコスト」の2つに分けられる。ここで議論の対象となるのが、運用した結果決まるコストだ。

 オンプレミスのように、キャパシティープラニングを行って見積もることができるのはシステムを構成した段階で決まるコストまでであり、運用した結果決まるコストを正確に見積もることはかなり難しい。特に、データ転送量は想定以上にかさむことが多く、ユーザーの中には、クラウドに移行して1年運用したところ、データ転送費用がクラウド費用全体の80%を占めたケースすらある。

 「Oracle Cloudでは、最初の10TBまではデータ転送量にかかる費用が無償です。また、単価についても現在の提供価格で1GB当たり1.02円と極めて安価です。他クラウドと比較しても、圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています」(山本氏)

 電子材料などの化学製品販売と受託製造を行う「ソマール」も、こうしたコストメリットを評価して、オンプレミスの基幹ERPシステムを全面的にOracle Cloudに移行した。同社では、事業のグローバル化に伴い、基幹システム(JD Edwards)に求められる要件が高まり、性能維持、システム運用にかかる費用、工数の最適化、災害対策が課題になっていた。

 そこでソマールは、主要なクラウドベンダーを比較し、他社クラウドと比べてOracle Cloudが、約50%の費用で約2倍のリソース(メモリ)を利用できることや、BCP(事業継続計画)対策の一環で国内と北米に災害対策構成を構築できることを高く評価したという。

ソマールのシステム構成イメージ

 「コスト面でのポイントは、同一リソースを低価格で提供できること、予測できない費用を低減できること、全世界で共通の価格であることです。日本円での支払いや、クレジットカード、請求書払いにも対応しています」(山本氏)

潜在的な運用工数を削減:データベースクラウドで事業リスクを低減した「住吉鋼管」

 続いて山本氏は、ステップ2の「クラウドのメリットをさらに生かす」という点から、オラクルのPaaSを利用するメリットを解説した。PaaSの中でも特に注目なのがデータベースだ。IaaS上でデータベースを稼働させる場合、インフラ管理が不要になることがメリットだが、PaaSを利用するとこの他にもさまざまなメリットが得られる。

 具体的には、「数クリックでのプロビジョニング」「ワンクリックでのパッチ適用」「容易な可用性対策」「データや通信のデフォルトでの暗号化」「スナップショットやクローニングによる容易なテストと開発」「クラウド専用モニタリングツールの利用」などだ。

 「データベースについては、1コアから利用できる仮想マシンや、ベアメタルでの利用、Oracle RAC、Exadata、AI/機械学習を活用した自律型(Autonomous)データベースなど、幅広いサービスラインアップを提供しています。そのため企業のニーズに応じてさまざまメリットが得られます」(山本氏)

 自動車、建設機械、農機具向けのパイプメーカーである「住吉鋼管」は、基幹システムをOracle Cloudに全面移行しBCP対策を実現した。同社は、サーバ障害時に管理担当者が不在になり復旧が遅延することや、サーバのある本社ビルが被災した際のBCPに課題を感じていた。そこで、オンプレミスと同じアーキテクチャを持つOracle Cloudに着目。15年以上社内で培ってきたオラクル製品のノウハウを生かせることもあり、採用を決めた。Oracle Database CloudやOracle Database Backupを利用して、長期停止のリスクを解消し、管理者負荷も大幅に軽減したという。

住吉鋼管のシステム構成イメージ

適材適所でクラウドを使いこなす:アナリティクス、セキュリティ、Windows Server移行でも強み

 Oracle Cloudは、アナリティクスやセキュリティ、Windows Server移行などのニーズに対してもさまざまなメリットを提供する。例えば、自動チューニング機能を備えた分析用データベース基盤「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」は、サービスを作成しただけで、顧客環境でパーティションやコンプレッションを駆使した手動チューニングを施したシステムよりも高いパフォーマンスを発揮できる。

 セキュリティや運用管理についても、イベント監視から、ITアクセス管理、CASB(Cloud Access Security Broker)、フォレンジック、構成監視、自動対処までをクラウドサービスとして統合的に提供している。例えば、エイベックスは「Oracle CASB Cloud Service」を用いて、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azure、G Suiteの監視を行い、少ない管理工数でガバナンスを強化している。またリコーは、「Oracle Identity Cloud Service」を用いることで、社内外のID管理と認証、認可を一元化している。

 Windows Serverの移行についても、競合と比較して低価格でWindows仮想マシンを利用できることが特長だ。日本住宅パネル工業のように、オンプレミスで稼働していたWindows ServerやMicrosoft SQL Serverで構成された業務システムをOracle Cloudに移行させた企業も多いという。

 最後に山本氏は、クラウド活用のポイントとして「忘れがちな『予測できないコスト』を事前に考慮してから検討すること」「運用負担を軽減できるPaaSを活用すること」「さまざまなクラウドを横断的に管理できるクラウドを活用すること」を挙げ、Oracle Cloudが、SaaS、PaaS、IaaSを総合的に提供することでそうしたニーズを満たせると強調。次のように話し、講演を締めくくった。

 「新しいアーキテクチャのデータセンター展開を始めており、日本にも近日中に開設予定です。30日間有効な無料トライアルも実施しているので、ぜひお試しください」(山本氏)

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月8日

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