由来がはっきりしないWindowsの“謎”仕様──Windowsの雑学(諸説あります)その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(133)(1/3 ページ)

多くの企業では新年度も始まったことですので、今回はIT系企業に入社した新人さん向けに“知らなくてもいい雑学”をご用意しました。昔からよく話題になることばかりかもしれませんが、その由来について思いを巡らせることは、コンピュータの歴史を知る良い機会になると思います。

» 2019年04月09日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Windowsにまつわる都市伝説

Windowsに古くからある“謎”

 Windowsには古くから、幾つかその由来がはっきりしない“謎”が存在します。事実かどうかは別として、その由来に思い当たるものがあると気にならない、ちょっとしたことです。しかし、最近のWindowsしか使ったことがないユーザーにとっては、とても気になることかもしれません。

 先に断っておきますが、どれも確証のない、諸説ある中の一つ、または幾つかの説にすぎません。中には筆者のこじつけも……。信じるか信じないかはあなた次第。いや、信じなくていいです。

[謎その1]Windowsのファイルシステムの区切り文字が「¥」なのは、あまのじゃくだったから?

 Windowsのファイルシステムの区切り文字といえば「¥(円記号)」です。レジストリのパスの区切り文字も「¥」です(画面1)。

画面1 画面1 Windowsのファイルシステムの区切り文字は「¥(円記号)」。日本人には見慣れたものかもしれないが、他の言語環境とは異なる日本だけのもの

 ただし、コマンドプロンプトやWindows PowerShellでファイルやレジストリ操作することがなく、Windows標準のGUI(エクスプローラーや検索機能など)だけを使っている人にとってはどうでもよいことですし、気が付いていないかもしれません。

 筆者自身、数十年前に初めてパソコンを触ったころ、あるいはメインフレームのダム端末で研修を受けたころ、パス指定は極めて難解であり、呪文にしか見えなかった覚えがあります。

 実は、Windowsの区切り文字が「¥」というのは、日本語版のWindowsだけのことです。システムロケールが「日本語(ja-jp)」またはコードページが「日本語シフトJIS」で、表示フォントが「日本語フォント(MSゴシックなど)」の場合と言ってもいいかもしれません。

 そんなことも知らずに、やれ“アーティストはMacに限る”だとか、“世界標準はLinux”だとか、“企業ならWindowsでしょ”だなんて、ほざいている輩がいかに多いことか(冗談です)。

 Windows標準の区切り文字は「¥」ではなく、半角の「\」(逆斜線、バックスラッシュ、backslash、reverse solidus)です(画面2)。

画面2 画面2 英語版および大多数の言語版の区切り文字は半角の「\(バックスラッシュ)」。UNIX/LinuxやインターネットURIの区切り文字である「/(スラッシュ)」の真逆

 どちらもASCII文字コード「5C(0x5C)」ですが、日本語シフトJISの文字コード表ではその場所に「¥」が割り当てられたため、日本語版Windowsでは区切り文字が「¥」と表示されることになってしまいました。

 日本語版Windowsを使っている上では違和感はありませんが、韓国語版だと区切り文字はウォン記号(₩)で表示されます。日本語版や英語版に慣れている人にとっては、ウォン記号の区切り文字の前後に「W」(Windowsなど)があると、とても違和感があります。きっと韓国の方は見慣れていることでしょう(画面3)。その他の国は、おそらくバックスラッシュ表示だと思いますが、実際に目にしたわけではないので確証があるわけではありません。

画面3 画面3 日本語版と同様、韓国語版(ko-kr)Windowsもまた、バックスラッシュではない区切り文字で表示される

 Windowsが登場する前のDOS(Disk Operating System、PC-DOSやMS-DOS)が開発された当時、企業への導入が始まったころのコンピュータ(ミニコン、オフコン)の主流OSはベンダーの独自OSがほとんどで、その後、UNIXへとオープン化が進みました。UNIXのファイルシステムの区切り文字は「/」(斜線、スラッシュ、slash、solidus)であり、その後、インターネット上にあるリソースの場所を示すURI(Uniform Resource Identifier)やLinuxにも引き継がれました(後出の画面7を参照)。

 UNIXに対する皮肉を込めたオマージュなのでしょうか、あるいは反骨精神なのでしょうか。それをあえて逆にした、これがWindowsの区切り文字がバックスラッシュになったゆえんです……というのは全くの冗談です。

 DOSをIBMが開発した当初(後にMicrosoftも参加)、コマンドのスイッチに「/」を使用するという方針があったため、区切り文字に「/」を使う余地がなかったという説が有力のようです。

 ちなみに、UNIXにおけるコマンドのスイッチは「-」(ハイフン)で、バックスラッシュはUNIXシェルや正規表現環境で、エスケープしなければならない特殊な文字の一つでした。最近では、Windowsのコマンドでも「/」と「-」の両方を使えるものが多く、Windows PowerShellのコマンドレットでは「-」を採用しています。

 しかし、コマンドプロンプト(cmd.exe)に組み込まれているコマンド(MKDIR、RMDIR、COPY、DIRなど)は、今でもスイッチとして「/」のみを受け付けます。コマンドプロンプトで「DIR /?」と「DIR -?」を実行してその違いを確認してみてください。

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