連載
» 2019年04月11日 05時00分 公開

連載:詳説VMware Cloud on AWS(1):VMware Cloud on AWSの概要とユースケース (1/3)

VMwareがAWSとの共同開発に基づき世界で展開中のVMware Cloud on AWS。本連載では、この注目されるクラウドサービスの技術的側面を、「中の人」が解説する。第1回の今回は、VMware Cloud on AWSの概要と代表的な用途を紹介する。

[大久光崇,ヴイエムウェア株式会社]

 AWSとVMwareは2016年にVMware Cloud on AWSを発表、2017年8月にサービスを開始した。2社による共同開発から生まれたVMware Cloud on AWSは、サービス開始当初から日本でも注目を集めてきた。そして2018年11月、遂に東京リージョンでもサービスが開始された。

 VMware Cloud on AWSは、現在オンプレミスで利用できる「VMware Software-Defined Data Center(SDDC)」と同じソフトウェア群をパブリッククラウドのAWSで稼働させることにより、アーキテクチャと運用の連続性を維持しながらハイブリッドクラウドの実現を可能としている。一方、パブリッククラウドならではの伸縮性と、最先端のサービスの効率的な利用も実現している。本連載では、VMware Cloud on AWSの技術的な詳細と、その利用方法について解説する。

 本連載では、下記の内容を予定している。変更が生じる可能性があることをご了承いただきたい。

第1回 VMware Cloud on AWSの概要とユースケース(この記事)
第2回 VMware Cloud on AWSのハードウェアとハイブリッド管理
第3回 VMware Cloud on AWSクラスタ内のネットワーキング
第4回 VMware Cloud on AWSとオンプレミスを接続するためのネットワーキング
第5回 VMware Cloud on AWSとネイティブAWSの連携
第6回 VMware Cloud on AWSのストレージと災害対策
第7回 オンプレミスVMware vSphere からVMware Cloud on AWSへのマイグレーション
第8回 VMware Cloud on AWS 最新情報とロードマップ

 本記事では、VMware Cloud on AWSの概要とユースケース(用途)について説明する。

VMware Cloud on AWSの概要

 VMware Cloud on AWSは、VMware SDDCのソフトウェア群をAWSのデータセンターで稼働させることに留まらない以下の特徴を持っている。

  • AWSベアメタルインスタンス上で実行されるVMware SDDC
  • VMwareおよびパートナーが販売、運用、サポートを提供
  • オンデマンドのキャパシティと柔軟な利用
  • オンプレミスのSDDCとの完全な運用の一貫性
  • ワークロードの円滑な移行
  • AWSネイティブサービスへの直接アクセス
  • AWSのグローバルなフットプリントを基盤とした可用性の高いサービスの利用
  • パートナーエコシステムとの連携
VMware Cloud on AWSの特徴

 以下では、それぞれの特徴をより深く見ていく。

AWSベアメタルインスタンス上で実行されるVMware SDDC

 VMware Cloud on AWSは、VMwareのSDDCソフトウェア群がAWSのベアメタルインスタンス(物理サーバ)上で実行されるサービスである。「VMwareのSDDCソフトウェア群」は、主にサーバ仮想化環境のVMware vSphere、ソフトウェアストレージのVMware vSAN、ネットワーク仮想化のVMware NSXで構成されている。

 物理サーバ上で 直接VMwareのSDDCソフトウェア群が実行される。仮想マシン上でハイパーバイザーを動かし、その上で仮想マシンを動かす、いわゆるネストされた仮想環境ではない。

 AWSは2018年、同社として初めての物理サーバインスタンス、「i3 ベアメタルインスタンス」を一般リリースした。VMwareは、AWSによる発表前から、i3 ベアメタルインスタンスを利用し、AWS と共同で VMware Cloud on AWSを開発してきた。これはvSphere Clientから確認できる物理サーバのモデル名でうかがい知ることができた。現在のリリースでは、AWSの通常の EC2ベアメタルインスタンスと同様のモデル名「i3.metal」が使われているが、VMware Cloud on AWSの初期のリリースではモデル名が「i3p.16xlarge」だった。VMware Cloud on AWSの仕組みを読み込んでいくと、さまざまなところに、このような共同開発の痕跡が見つかる。

 2019年に入り、AWSはさらに多くのベアメタルインスタンスを発表した。新たに発表された「r5 ベアメタルインスタンス」は、執筆時点ではAWSのサービスとして東京リージョンで提供されていないため、残念ながらVMware Cloud on AWSとしても東京リージョンで利用することができない。今後AWS東京リージョンとして r5 ベアメタルインスタンスが提供されるのをご期待いただきたい。

VMwareおよびパートナーが販売、運用、サポートを提供

 VMware Cloud on AWSは、AWSではなく、VMwareが顧客に対する販売、運用、サポートを行う。

 VMware Cloud on AWSは、AWSのデータセンター内で稼働するサービスではあるが、VMwareがAWSのサービスとVMwareのソフトウェアを組み合わせて提供するサービスである。そのため販売、運用、サポートはVMwareが提供する。AWSがEC2 ベアメタルインスタンスやVPCといったAWSのサービスをVMwareに提供し、VMwareがその上に構成したサービスを顧客に提供するという関係になる。

 運用をVMwareが行うとはどういうことだろうか。これはSDDCソフトウェアのアップデート、パッチ適用に留まらず、EC2インスタンスが障害で停止した場合の復旧作業まで行うことを意味する。これにより、顧客は、SDDCソフトウェア群の運用とハードウェアの管理から解放され、よりビジネスに近いアプリケーションに集中できる。

 また、顧客は、VMwareのパートナーであるマネージドサービスプロバイダーからVMware Cloud on AWSのサービス提供を受けることもできる。マネージドサービスプロバイダーはVMware Cloud on AWSに独自の付加価値を追加し、顧客にサービスを提供する。この場合、顧客に相対するのはマネージドサービスプロバイダーとなり、VMwareはマネージドサービスプロバイダーにサービスを提供することになる。

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