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» 2019年04月15日 07時00分 公開

コスト削減、アプリ改修迅速化のためにDWH専用機から移行:三越伊勢丹グループで約8000人の社員が使う顧客/商品分析のDWH基盤にOracle Exadataを採用。その狙いと効果は?

三越伊勢丹グループは、現場社員がデータに基づいて販売施策などの意思決定を行う“全員分析経営”の実践で知られる。それを支えているのが、約8000人の社員が利用するDWH基盤だ。同グループは先頃、この基盤をOracle Exadataで刷新し、コストを削減するとともに、ビジネスの要求に迅速に対応可能なデータ活用基盤を整えた。

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約8000人の社員が使う顧客・商品分析用のDWH基盤をOracle Exadataで刷新

三越伊勢丹システム・ソリューションズ エンジニアリング統括部 システム開発部長の田村泰治氏

 ITと店舗、人の力を活用し、“新時代の百貨店(プラットフォーマー)”を目指すためのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している三越伊勢丹ホールディングス。リアルとデジタルをシームレスに融合し、モノ、コト、サービス、そして情報をオンライン(ECサイト)とオフライン(実店舗)でつなぎ、新たな価値を創造する「マッチングプラットフォーマー」を目指す同社は現在、既存業務のデジタライゼーションとデジタルを活用した新規ビジネスの立ち上げに注力している。

 その三越伊勢丹ホールディングスのグループ企業として三越伊勢丹グループの情報戦略を一手に担う三越伊勢丹システム・ソリューションズ(以下、IMS)は先頃、グループ社員が商品の仕入れ/販売施策の立案に利用する顧客/商品情報分析システムのデータウエアハウス(DWH)基盤をOracle Exadataによって刷新。運行費を大きく削減するとともに、デジタルビジネスのさらなる推進に向けて顧客情報を一元的に管理、活用する環境を整えた。同社はなぜOracle Exadataを選んだのか? 導入を担当したIMSのエキスパートらに聞いた。

 IMSは、三越と伊勢丹の経営統合が決まった2008年にそれぞれの子会社を含むIT組織を集約して誕生した。先行してIT組織を統合したことには「データ活用をはじめとするIT先行の統合により、グループのシナジーを高める狙いがありました」と同社エンジニアリング統括部 システム開発部長の田村泰治氏は説明する。

 現在、このシナジー強化の大きな推進力となっているのが、グループ各店舗の社員が日々利用している「顧客情報分析システム」と「商品(マーチャンダイジング:MD)情報分析システム」だ。これらは合併以前から伊勢丹で使われてきたシステムであり、DWH基盤とデータ分析用アプリケーションで構成される。各システムのデータ件数は約5億7000万件、4億4000万件に上り、データ量は130TBに達する。利用規模も大きく、それぞれ約4000人、約8000人の社員が利用しているという。

 「お客さまのニーズに合わせてきめ細かく商品を仕入れ、販売する単品管理に対応するため、1995年に旧伊勢丹のMDシステムを大刷新しました。そこに蓄積した情報を現場で活用するためにはDWH基盤が必須との判断から、主要なDWH製品を比較検討し、1997年にあるベンダーのDWH専用機を導入したのです」(田村氏)

 以来、同社はこのベンダーのDWH専用機を複数回の更改を経て利用。Oracle Exadataへの移行直前の基盤は14ノード(アクティブ:10ノード、スタンバイ:4ノード)のハードウェアで構成されていた。

現場社員が使えるデータ分析用アプリケーションをフルスクラッチで開発

三越伊勢丹システム・ソリューションズ エンジニアリング統括部 システム開発部 BI・DWHグループ グループ長の吉田大氏

 一方、データ分析用アプリケーションについては、コスト効率を考慮して当初は市販ツールの活用を検討した。当時は「OLAPツール」などと呼ばれていた各社のツールを評価するが、いずれも現場社員が手軽に利用できるものではなかったという。そこで、「1990年代末から2000年代初めにかけ、自社のニーズに合った顧客情報分析、MD情報分析用アプリケーションをフルスクラッチで開発しました」とエンジニアリング統括部の吉田大氏(システム開発部 BI・DWHグループ グループ長)は説明する。

 「一般に、大人数向けや現場向けをうたうデータ分析ツールはダッシュボードなどで定型的なレポートを見るだけのものが多いのですが、顧客情報分析、MD情報分析アプリケーションではそれぞれの社員が任意の分析軸を選び、全店舗を対象にした大規模な分析でも、1店舗の一部領域に絞り込んだ分析でも、あらゆる規模に対応した分析が行えます。ユーザーが頻繁に利用する集計粒度に合わせて操作メニューを作り込んでいる点も大きな特徴です」(吉田氏)

 これらのアプリケーションも幾度かの改良を経て、現在はFlexで開発したものをパブリッククラウド上で運用している。

運行費や改修コストを削減すべくDWH基盤の刷新を決断

 三越伊勢丹グループのMD活動を支えてきたこれらのシステムは近年、幾つかの課題に直面していた。

 「一つは保守などにかかる運行費の問題です。プロプライエタリな技術で作られたDWH専用機であるため、保守作業などが行えるのはDWHベンダーのエンジニアに限られ、その作業コストが高かったり、作業スケジュールの調整が難しかったりといったことが悩みの種でした」(吉田氏)

 もう一つの課題は改修コストだったとエンジニアリング統括部の町田直子氏(システム開発部 BI・DWHグループ チーフリーダー)は述懐する。

 「両システムはグループの基幹業務を担うものであり、ユーザー数が多く、高い性能要件が求められます。それに応えるために高いスペックのDWH専用機を使い、アプリケーションやデータモデルも相当に作り込んで性能を確保していました。その結果、ビジネスの要求に応じて新たな要件が加わった際に大規模な改修が必要となり、期間や費用の面で多くのコストがかかる状態になっていました」(町田氏)

月曜午前のピーク時間帯の処理もOracle Exadataなら乗り切れる

 三越伊勢丹グループが今後、店舗とクレジットカードなどの顧客データ、商品データの一元的な管理を強化しながらDXを推進していく上で、これらの問題は解消する必要がある。IMSは検討の末、DWH基盤の刷新が必要と判断し、2017年6月から移行先の検討を開始。DWH専用機の更改時期が迫っていたため短期間での製品選定、移行が求められたが、田村氏らの頭にはすでに候補となる製品があった。それがOracle Exadataだ。

 「当社は主要なITソリューションについて定期的に技術評価を行っています。Oracle Exadataに関しては登場当初から注目しており、2012年に技術評価を実施。当時はDWH専用機を更改した直後であり導入には至りませんでしたが、当グループのアプリケーションと相性が良く、必要な性能を確保できそうなことは分かっていました」(田村氏)

 前述のように、MD情報分析、顧客情報分析はデータ分析システムとしてはユーザー数が極めて多く、処理負荷の高いシステムである。これを以前のDWH専用機と同等以上の性能でコスト面の課題もクリアしながら代替できるDWH基盤はOracle Exadataの他になかったと田村氏は話す。

 「特に問題なのがピーク時間帯の処理負荷でした。三越伊勢丹グループの各店舗では毎週月曜日の店頭業務が始まる前の9〜10時の時間帯に、日曜日までの売上レポートを全て出力し、それを基に前週の振り返りと今週の販売戦略を立てるところまでを一気に行います。他の時間帯とは桁違いの処理量が集中するわけです。過去に技術評価を行った他のDWH専用機やクラウド型のDWHでは必要な性能は得られませんでしたが、Oracle Exadataならばピーク時間帯の処理負荷にも耐えられるとの目算がありました」(田村氏)

 実際に、同社は日本オラクルの協力で部分的に導入前実機検証(PoC:Proof of Concept)も実施し、その見通しに確証を得ている。

 また今回の移行では、旧DWH基盤用のデータベースアクセス処理をOracle Exadata向けに改修する必要がある。大掛かりな作業が予想されたが、日本オラクルとパートナー企業からはそれらの改修も含めた移行をIMSが求める期間内に完了させる提案を受け、2018年2月にOracle Exadataの採用を最終決定した。

ストレートコンバージョンで短期移行。新旧並行稼働でデータ品質を検証

 IMSが導入したOracle Exadataによる新DWH基盤は、それぞれ1台の本番機(データベースサーバ:3ラック、ストレージサーバ:5ラック)とスタンバイ/検証機(データベースサーバ:2ラック、ストレージサーバ:3ラック)によって構成され、他システムからのデータロードやバッチ処理用ファイルにはZFS SAが利用されている。

 これらのハードウェアが納入されると、IMSは2018年4月にスタンバイ/検証機をアプリケーション開発チームに公開。これを用いたアプリケーション改修がスタートするが、品質を確保しながら短期間で移行するために、同社は幾つかの工夫を行っている。

三越伊勢丹システム・ソリューションズ エンジニアリング統括部 システム開発部 BI・DWHグループ チーフリーダーの町田直子氏

 「業務ユーザーに対して旧DWH基盤で提供していた機能を新DWH基盤でも全て保証し、なおかつ短期間で移行するために、今回は旧DWH基盤向けに作り込んだアプリケーションを必要最小限の改修で移行する“ストレートコンバージョン”で臨みました。ただし、これらのアプリケーションでは動的にSQLを生成するコードを多用していたため、ツールによる機械的な変換は行えず、全て手作業で改修する必要があります。その作業を確実に行うために、アプリケーションのどの部分をOracle Exadata向けにどう変換するのか、データ移行をどう行うのかを全てマニュアル化し、協力ベンダーのエンジニアに配布しました」(町田氏)

 また、2018年9月にアプリケーションの改修が完了すると新旧DWH基盤を並行稼働。両者で同じ処理を実行してデータが合致するかどうかを検証した。

 「製品仕様の違いにより、新旧DWH基盤で端数処理などの値がずれる場合があったため、検証ツールを作成して値の不一致をチェックしました。不一致のある個所からさかのぼってデータの“ずれ”が始まる部分や原因を突き止め、修正するのに大変苦労しましたね」(吉田氏)

 さらに、旧DWH基盤向けのアプリケーションをストレートコンバージョンでOracle Exadataに載せ替えるだけでは以前と同等の性能は得られない。そこで、「Smart Scan」などOracle Exadata独自の高速化機能を駆使し、ほぼ全てのデータベースアクセス処理を最適化した。

 「日本オラクルのコンサルタントから、『他のユーザー企業では見られないほどOracle Exadataの機能を活用している』と驚かれたくらい、徹底してチューニングを施しました」(町田氏)

運行費を30%削減。Oracle Exadataへの移行ノウハウの外販も検討

 これらの工夫を凝らして進めた移行作業が完了すると、IMSは2018年11月下旬に新旧基盤の切り替えを実施。2019年4月現在はOracle Exadataによる新DWH基盤が安定稼働している。

 「今回はストレートコンバージョンで移行しましたが、それでも旧基盤と同等の性能を発揮しており、それがOracle Exadataを選んで本当に良かったと感じている点です。他のDWH製品ではこうはいかなかったでしょう。懸案だった保守コストも約30%削減、ハードウェアの設置面積も約65%削減できました」(吉田氏)

 IMSにはOracle Databaseの技術資格を有するエンジニアが多数在籍している。Oracle Exadataへの移行により、それらのエンジニアが保守や改修に当たることが可能となった。

 「旧DWH基盤は保守などでも社内で別扱いを受けることが多かったのですが、現在は性能などの問題が生じた際に社内のOracle Databaseエンジニアに相談できるようになりました。また、Oracle Exadataの利用を通じて当社のエンジニアが学ぶことは多いと考え、今回のプロジェクトにはあえて若手メンバーを責任ある立場で投入し、今後のためにいろいろと勉強してもらいました」(町田氏)

 さらに今後は、旧DWH基盤向けのアーキテクチャをOracle Exadata向けにシンプルに作り替えていくことで改修が容易となり、ビジネスの要求にも俊敏に対応していけるようになると期待している。

 加えてIMSでは、Oracle Exadataへの移行で得たノウハウの外販も検討している。

 「当社はさまざまな業界に向けて各種ITソリューションの提供も行っています。今回、日本でも多くの企業が利用するDWH専用機からOracle Exadataへのアプリケーションやデータの移行を経験し、さまざまなノウハウを蓄積しました。これらを同じ課題に悩む企業に提供していきたいですね」(吉田氏)

 また田村氏は、DWH基盤のさらなる性能向上に向けた日本オラクルとの協力関係の深化に期待を寄せる。

 「大規模なデータを現場が求めるさまざまな観点に応じて高速に分析処理していくために、現在のアプローチを変えなければならない部分もあるでしょう。そうした課題を日本オラクルとともに解決していければと思っています」(田村氏)

 以上、IMSがOracle Exadataを選んだ理由と、その導入効果を紹介した。現場社員のデータに基づく意思決定を国内有数の規模で推進する三越伊勢丹グループ。Oracle Exadataで刷新された新DWH基盤は今後、同グループが持つさまざまな顧客情報を一元的に管理、活用し、より精度の高いマーケティング施策を実施していくための礎となる。

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月28日

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