次期Windows 10最新動向:【大胆予想】春・秋 機能アップデートの位置付けが大変更!?Windows 10 The Latest(2/2 ページ)

» 2019年04月25日 05時00分 公開
[塩田紳二]
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これまでに行われた20H1の変更点

 20H1は、すでに8つのプレビュービルドが登場しているが、ほとんど機能的な追加が告知されていない。いまのところはっきりしているのは、Swift keyの対応言語が増えたこと(ただし日本語は含まれていない)と、Microsoft IMEの改良である。

 また前述の通り、2019年後半に出荷予定のWindows 10バージョン1909(19H2)のプレビューが開始されていない。そのため、現在20H1に含まれている変更点に関しては、19H2にも搭載される可能性があり、必ずしも20H1固有の変更点ではない可能性もある。

 Swift Keyや日本語Microsoft IMEなどは、Windows 10の一部ではあるが、かなり独立性が高いため、19H2にも同様の変更が行われる可能性がある。先行したバージョンに実装された機能を前のバージョンにも適用することは「バックポート」などと呼ばれ、複数バージョンを並行して開発するソフトウェアでは普通に行われている。

Microsoft IMEの[変換]などのキー割り当てが簡単に変更できるようになる

 この20H1に搭載されるMicrosoft IMEの最大の特徴は、設定がWin32形式のウィンドウ(ダイアログボックス)から[Windowsの設定]アプリ側に移動したことだ。タスクバー左側の通知領域のアイコンを右クリックしたとき、メニューには「設定」と表示される。

Microsoft IMEの設定が[Windowsの設定]アプリ内に移動 Microsoft IMEの設定が[Windowsの設定]アプリ内に移動
20H1に付属のMicrosoft IME(10.0.18875.1000)は、[Windowsの設定]アプリ内にMicrosoft IMEの設定項目が移動した他、タスクバーアイコンでの右クリックメニューなどにも違いがある。

 これに対して19H1までは「プロパティ」と表示されていた。このメニューから直接、設定ページを開くことができる。これは、[Windowsの設定]アプリ内にあるものの、かなり深い位置にある。具体的には、[Windowsの設定]−[時刻と言語]−[言語]−[優先する言語]で「日本語」をクリックして開いて「オプション」ボタンを押す。表示された「言語のオプション:日本語」から[Microsoft IME]−[オプション]で開く。

Windows 10 October 2018 UpdateのMicrosoft IMEの右クリックメニュー Windows 10 October 2018 UpdateのMicrosoft IMEの右クリックメニュー
現行のWindows 10 October 2018 Update(バージョン1809)に付属のMicrosoft IME(Ver.10.0.17763.1)の右クリックメニューとは少し違っている。

20H1の[Windowsの設定]アプリの[Microsoft IME]画面 20H1の[Windowsの設定]アプリの[Microsoft IME]画面
新しいMicrosoft IMEの設定は「全般」「キーとタッチのカスタマイズ」「学習と辞書」「デザイン」「使用状況データの収集」などの項目を持つ。また、簡易設定と詳細設定の区別はなくなった。

 19H1までは、タスクバーにある[Microsoft IME]アイコンの右クリックメニューで[プロパティ]を選択することで、Win32形式の簡易な設定ページが開き、そこからさらに[詳細設定]で設定ページを開いていた。こちらはどちらもWin32アプリのウィンドウだった。

Windows 10 October 2018 UpdateのMicrosoft IMEのプロパティ画面 Windows 10 October 2018 UpdateのMicrosoft IMEのプロパティ画面
現行のMicrosoft IMEでは、プロパティで[設定]ダイアログが表示される。

Windows 10 October 2018 UpdateのMicrosoft IMEの[詳細設定]ダイアログ画面 Windows 10 October 2018 UpdateのMicrosoft IMEの[詳細設定]ダイアログ画面
現行のMicrosoft IMEでは、[設定]ダイアログの[詳細設定]ボタンで、さらに複数のタブを持つダイアログボックスが開く。

 Microsoft IMEの新しい設定は、「全般」「キーとタッチのカスタマイズ」「学習と辞書」「デザイン」「使用状況データの収集」の大きく5つに分かれている。

 例えば、キーとタッチのカスタマイズでは、Microsoft IMEのオン/オフなどを[変換]/[無変換]/[Ctrl]+[Space]/[Shift]+[Space]の4つのキーに割り当てることができる。オン/オフキーの割り当て変更は従来も可能だった(Tech TIPS「Windows 10対応:MS-IME日本語入力のオン/オフ切り替えキーを追加・変更する」参照)が、20H1版では割り当て対象のキーを限定し、簡単に割当を変更できるようになっている。

20H1のMicrosoft IMEの[全般設定]画面 20H1のMicrosoft IMEの[全般設定]画面
変換候補で利用できる文字セットを指定できる。

20H1のMicrosoft IMEの[キーとタッチのカスタマイズ]画面 20H1のMicrosoft IMEの[キーとタッチのカスタマイズ]画面
[変換]/[無変換]/[Ctrl]+[Space]/[Shift]+[Space]の4つのキーに対してMicrosoft IMEのオン/オフなどの指定が行える。指定自体は、現行バージョンでも可能だが、より簡単にこの4つのキーに対する指定が行えるようになっているのが改良点である。

20H1のMicrosoft IMEの[学習と辞書]画面 20H1のMicrosoft IMEの[学習と辞書]画面
GUIは変更になったが、基本的な機能は現行版と同じようだ。

20H1のMicrosoft IMEの[デザイン]画面 20H1のMicrosoft IMEの[デザイン]画面
デザインでは、変換候補ウィンドウの色やフォントサイズが指定できるようになっている。

20H1のMicrosoft IMEの[使用状況データの収集]画面 20H1のMicrosoft IMEの[使用状況データの収集]画面
使用状況データの収集は、現行バージョンの[詳細設定]−[プラバシー]タブと同程度だが、説明が明確になっている。

 Microsoft IMEの改良は、19H1で一度プレビューされたものの、最終段階で引っ込められ、19H1には、October 2018 Update(バージョン1809)と同等のMicrosoft IME(10.0.17763.1)が搭載されている。これに対して20H1のプレビュー版ビルド18875では、10.0.18875.1000が搭載されている。Microsoft IMEのバージョン番号のピリオドで区切られた3つ目の数字はこれまでも、ビルド番号と一致していたため、現在のMicrosoft IME(10.0.17763.1)は、バージョン1809(ビルド17763)のときに開発されたものが使われていると判断できる。


 Windows 10は、発表時から、年複数回のアップデートを行う「Windows as a Service」を掲げてきたが、実際に年2回のアップデートが行われるようになったのは、Windows 10出荷から1年以上たった2017年の春のWindows 10 Creators Update(バージョン1703)からだ。

 それから2年、今度は、年2回のアップデートが変わろうとしている。年1回のメジャーバージョンアップは、他のOSにも見られ、それほど特殊なことでもない。

 ユーザーからすれば、機能の追加にメリットは感じるものの、日常的に使うものとすれば、トラブルは避けたいという気持ちもある。このあたりを考えると、機能アップデートの体制を変更することは、大きな方針変更ではあるが、それほど大きなデメリットではないように思える。

 ただ、1年以上の長いプレビュー期間に対して、毎回のプレビューで少しずつ新機能を小出しに発表されても、そこから方向性を見極めるのも難しい。また、October 2018 Update(バージョン1809)のプレビューでは、新機能Sets(複数のアプリをまとめてタブで切り替えて利用できるようにする機能)を途中までプレビューしておきながら、途中でWindows 10への組み込みを中止、その後どうなったのかも、今後の組み込み予定などについても報告がない。

 その他、内部的な改良については、MicrosoftのWindows関係のブログでも扱いは少ない。機能アップデートの体制変更とともに、もう少し広範囲にわたる情報公開などを期待したいところだ。

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