「Azureは、他のクラウドに見られないリッチなハイブリッドを実現」とMicrosoftのガスリー氏Microsoft Build 2019

Microsoftのクラウド&AI担当エグゼクティブバイスプレジデントであるスコット・ガスリー氏が2019年5月6日(米国時間)、同社イベントMicrosoft Build 2019で行ったクラウド/AI基調講演には、Microsoft Azureにおける「(IoT/エッジを含めた)リッチなハイブリッドクラウド体験」というテーマがちりばめられていた。

» 2019年05月07日 10時00分 公開
[三木泉@IT]

 Microsoftのクラウド&AI担当エグゼクティブバイスプレジデントであるスコット・ガスリー氏が2019年5月6日(米国時間)、同社イベントMicrosoft Build 2019で行ったクラウド/AI基調講演には、Microsoft Azureにおける「(IoT/エッジを含めた)リッチなハイブリッドクラウド体験」というテーマがちりばめられていた。

Microsoftのクラウド&AI担当エグゼクティブバイスプレジデント、スコット・ガスリー氏

 CI/CD(継続的デリバリ/継続的インテグレーション)パイプラインツールの「Azure Pipeline」では、YAMLを用いた宣言的なCI定義が特徴だが、今回の機能拡張で、デプロイメントパイプラインについてもYAMLで記述できるようになった。YAMLにより、Azure以外のクラウドを含めた複数クラウドへのデプロイも管理しやすくなる。

 また、Azure PipelinesではKubernetesとの連携を強化した。Azure Kubernetes Service(AKS)、Amazon EKS、Red Hat OpenShiftなど、さまざまなKubernetesクラスタへの接続が数クリックで行えるようになったという。Azure Pipelinesではリポジトリを分析して適切なYAMLテンプレート群を提案、各種Kubernetesクラスタへのデプロイメントのためのマニフェストファイルの生成につなげられる。

 なお、Microsoftは2018年10月にGitHubの買収を完了したが、これに合わせてGitHubとMicrosoft Azure間の統合が進められている。GitHubのマーケットプレイスではAzure Pipelineが提供されており、コードリポジトリを含めたパイプラインが構築できる。

 今回のイベントではGitHub EnterpriseによるActive Directoryのサポート、GitHubアカウントによるAzureポータルおよびAzure DevOpsへのログイン、GitHub EnterpriseにおけるVisual Studio統合サブスクリプションの提供を発表した。

Microsoftは、多様な側面から、エッジを含めたハイブリッド/マルチクラウドに対応しているという

 サーバレスでは、「Serverless for Azure Kubernetes Service」が一般提供開始(GA)となった。これは物理リソースの管理を考えることなくコンテナを展開できる機能。MicrosoftがCloud Native Computing Foundation(CNCF)にコントリビュートしたVirtual Kubeletに基づいている。オープンソースであり、他のクラウドやオンプレミスでも利用が可能。

 Microsoftはまた、Red Hatと共同で開発したオープンソースツール「Kubernetes-based Event-driven Autoscaling(KEDA)」を紹介した。KEDA(「ケイダ」と発音)では、Kubernetesにおける物理リソースを、Kafkaストリームをはじめとするイベントに応じて自動プロビジョニング/スケーリングできる。AKSやOpenShiftなど、さまざまなクラウド/オンプレミス上のKubernetes環境に適用できる。

 IoT/エッジ関連でも、「多様なハイブリッド構成シナリオに対応できる」とガスリー氏は話した。

 KrogerやOlympusでは、ローカルでのデータ処理ニーズに応え、データの秘匿性やパフォーマンスが理由でクラウドへのデータ送信ができない場合にも対応が可能な「Data Box Edge」を採用しているという。

 IoT関連では、データベースで「Azure SQL Database Edge」を発表。Database Edgeは、IntelあるいはArmのプロセッサーを使った、リソース制限の厳しいデバイスでの稼働を目的としている。WindowsあるいはLinux上で動作する。

 IoT/エッジでは、上記の開発者ワークフロー、コンテナ環境の展開、データに関する対応に加え、Cognitive Servicesのコンテナとしての提供、一貫したセキュリティ管理などを通じ、「他のクラウド事業者にはないハイブリッド(クラウド構成)のリッチさを提供している」(ガスリー氏)と訴えた。

 なお、Azureのリレーショナルデータベースサービスでは、逆にスケーリングの大幅な強化も進めている。新たに提供する「ハイパースケールエディション」では、扱えるデータ量を数GBから数百TBへ、性能を1秒当たり数百トランザクションから数百万トランザクションに向上する。

 SQL Database、PostgreSQL、MySQLでハイパースケールエディションを提供するが、今回のイベントでは「Azure SQL Database Hyperscale Edition」の一般提供開始(GA)を発表した。ストレージエンジンを完全に書き換えており、「どんなサイズでも対応する」(ガスリー氏)という。PostgreSQL版についてはパブリックプレビューを発表した。

 また、SQL Databaseでは、「サーバレスプライシング」という料金体系を追加。1秒当たりのパフォーマンスに基づき支払うことができる。

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